36 キャメ
ドワーフのイメージとは、高度な鍛冶や工芸技術をもつとされており、外観は男女共に背丈が低いものの力強く屈強、酒が好き。
そんなイメージだったのだが
「真逆ですね」
まず小さくない、むしろ大きく体格が良い。
顔も悪くない、ダンディだ。イメージ通りなのは髭ぐらいだと思う。
女性のドワーフは褐色系女性ばかりで、髪に編み込みをいれている者が多くいる。
均等にとれた筋肉が美しい美人だらけだ。
そしてお酒が苦手。
少しでも飲むと爆睡するレベルだ、チチゴの実は確実に食べれないだろう。
そしてこの国の飲物は珈琲に似たチャートとキャメティーが有名らしい
キャメとはキャラメルに似た何かだ。
普通なら、砂糖や牛乳を煮詰めて作るのだが。この国の畑にはキャラメルが実っている。
普通のキャラメルと違いとても濃厚だ、そのため薄めて使うのが普通らしい。
そのまま食べるには甘すぎる
ガッツが喜びそうなので買って帰ろう
それと今回は新しい食材を手にいれた。
ゴーレムが居て行けなかった奥に生えていたもの、引っこ抜いて出てきたのは紫色のねじれた茎みたいな物。
鑑定して出たのは『強い刺激性のある香味を持つ』だった。
これは完璧に『わさび』である
ためしに磨ってみたら香りがわさびでした。
即ミラルドに交渉したら、それを使った料理とか作った場合に食べさせるのを条件に桜国に定期的に送ってくれると約束してくれた。
それと、酒場のマスターが店の名前を酒場からチャチャメ店に改名し、教えたスウィーツとチャーチの専門店にする事にしたようだ。
今回もドワーフ国で作ったスウィーツは大好評である。
「今日のおやつはキャメプリンとキャチャーチです」
キャメプリンはキャラメルプリン、キャチャーチとはキャラメルコーヒーだ。
この国に来てからドルガド達のおやつ作りを毎日している。
きちんと3時に作っているので、カステラが食べたくなります。
「「「「まってました!」」」」
わーいっと八人のドワーフ達がキャメプリンを食べ始める。
髭にプリンをつけながら。
「彼等はいいとして、なんで貴女まで食べてるんですか。というか、なんでいるんですか」
「だっふてぶるいばないか」
「飲み込んでからしゃべりなさい!」
もはや母親の貫禄である。
「だってドルガドばかりずるいじゃないか! 知らなかったぞ! ドルガド達が毎日こんなにおいしいお菓子を食べてるなんて!」
そう訴えるのはこの国の主、ミラルドだ。
「だからって毎日来なくても。」
「毎日食べたい旨さだ、ドルガド達と共に私も桜国に行きたい」
「なに馬鹿なこと言ってんですか」
獣人国でもそうだけど、この世界のお菓子の種類が少なすぎて泣けてくる。
「黒桜と銀月も、プリンを揺らしてないで早く食べてください。」
プルンプルン、そんな音が聞こえそうなプリンの揺れをお皿を持ち上げて見ている二人。
「主よ、この揺れを見てください!」
「プルンプルンしてるぞ!」
子供かっ!
このお店はいつから幼稚園になったのだろうか……。
「そういや、明日完成なんだな。象徴板」
ミラルドが口にプリンをつけながらそう言った。
「そうですね」
ミラルドの口を拭きながらそう言うと、五十鈴の腕をガシリと掴む
「五十鈴が帰ってしまう! 私のおやつは誰が作ってくれるんだ!」
「いや、知りませんよ」
必死の形相である
「ミラルド様、安心してくだせぇ。俺達がしっかり桜国の食べ物、食べるんで」
ハピカザが笑顔でそう言った瞬間、ミラルドの拳が火を吹いた
ハピカザの顔面に拳がめり込んでいる
フォームが綺麗だ、何処のボクサーだろうか。むしろ何処のはじめの一さんだろうか
ゆらりと動き出すミラルドと、ゆっくり倒れるハピカザ。
他のドワーフ達は真っ青である
「私も五十鈴のお菓子を食べたいのにっ ずるいだろ!」
七人の悲鳴がこだました。
「配達係に頼めば作りますよ、仕方ないですね。」
その言葉に瞳を輝かせるミラルドと、倒れ伏す八人のドワーフ達。
「五十鈴の国に行ったら沢山の食べ物を食べ尽くすからな! もちろん『わさび』を使った食事もだ!」
「はいはい」
ドワーフ国は高度な鍛冶や工芸技術が有名?
いいえ、もはや幼稚園です。
ーーーーーーーーーーーーー
それから数日、8つの象徴板が無事に完成。
「やっと完成しましたね」
ここ数日、毎日お菓子をせがまれくっつかれ母親になった気分だ。
ギガジンさんの右拳も唸る。
「お世話になりました」
五十鈴の言葉にミラルドは嫌がる
「もっと居ても良いんだぞ」
「帰ります」
にっこり笑顔でバッサリ、ミラルドはどんより気味だ
「行くな! 五十鈴!」
「さようなら」
「五十鈴が冷たいっ」
彼女の扱いに慣れたものだ。女性だからと優しくするとめんどくさくなるので、ミラルドにはこのぐらいが丁度良いだろう
入り口には、また琥珀達を呼んでいるので直ぐに帰れる。
五十鈴達はドワーフ達に挨拶して走り出した。
「行ってしまったな」
「はい」
ミラルドとギガントは外を見つめる
「国一番の鍛冶師達を連れてかれてしまったよ」
「彼等はこの国に留まるような方たちではなかったのでしょうね」
「確かにな、あいつらはもっと色んな奴等と関わって色々作って、そうやって生きるのが楽しいんだろうな」
「そうかもしれません」
「五十鈴と繋がりができたのは良いことだ、ゴーレムの砕け方を見たか?」
思い出すのはゴーレムを次々に倒していた五十鈴の姿
「ええ、粉々でしたよ」
「粉砕してるのもいたな」
ほんと、恐ろしい強さだよ
ーーーーーーーーーーーーー
桜国に戻って直ぐに頭を差し出してきたのだから驚きだ。
一人一人撫でるのに時間を有した。
「「「はっ!」」」
グシャリ
無惨に飛び散る大根、獣人国の狐達も大根潰しを伝授されたようだ。
ちなみに、ガッツ達は最初っから出来てました。
「五十鈴はん! 出来るようになったで!」
「「五十鈴様!」」
キラキラした瞳で言うコン達は可愛い。
可愛いが、帰ってきて早々何を見せられているんだろうか。
ドルガド達が震えてる、きっと君達もやらされるから覚悟しとけっと、心の中で言う五十鈴の声は届かない。
「嬢ちゃん、やっぱり拐ってきたんだな」
「いや、拐ってませんよガッツ」
ガッツの言葉に即、否定したが二人はひそひそと話している
「やっぱり連れ帰って来たみたいやねガッツはん」
「予想通りだな」
そんな二人を無視することにした五十鈴はパンパンっと掌を叩いた
「はいはい、とりあえず」
ドワーフさん達が仲間になりましたよ




