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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第二章 ドワーフ国とエルフ国編
33/114

33 七人

「こりゃ、真っ黒な鎧だな初めて見た。素材はなんだ?」


興味深そうに鎧を触りながら見ている


「邪石と鳥獣人の羽骨ですよ」


五十鈴の言葉に鎧から手を離したドルガド、顔が瞬時に青くなるのだから器用だ


「魔神の出した鎧です。硬さがあり強度がすごい」


「嬢ちゃん、魔神に会ったのか?」


ドルガドは驚いたのか瞳を見開き、青白い顔をそのままに聞いてきた。


「会いましたよ。とてつもなく強かったです。」


「よく生きてたな……。そうか、魔神の出した鎧か。」


黒く光る鎧を気難しそうに見つめるドルガド。


「この鎧は着るには適してないだろうな……。

邪石ってのは、邪悪な石だ。

人の絶望や憎しみを閉じ込めた石だと言う者もいるし。

石そのものが死んだ者だとも言われている、本物は見たことがないが噂では聞いたことがある石だ。」


「魔神が邪石を使って作った鎧ですか」


「多分そうだろう。あまり良いもんじゃねぇから着るんじゃねぇぞ」


着ないけれども、そこまで言われると台所とかに出てくるG見たいな扱いに見えてくる。真っ黒ですし

とりあえず邪石については少しだけ知れたので良しとしよう。


そのあとはドルガドが知り合い達を紹介したいと言ったため隣の酒場に移動した五十鈴達。

獣人国と同じで二階が宿屋になっている酒場だ。


「お前らもう集まってたのか、暇な奴等だなぁ」


ドルガドがそう言って声を掛けたのは七人のドワーフ、全員が義肢をつけている


「ドルガドもかわんねぇだろーが」


そう声をかけてきたのは眼鏡をしたドワーフだ


「お前らに紹介したい奴等がいんだ」


ドルガドはそう言い、五十鈴達を前に出した。

女と言うには若い五十鈴と鬼神族の黒桜に狼族の銀月。何事だと目を見張るドワーフ達


「この嬢ちゃんは桜国の主、桜木五十鈴だ。こっちが副官の黒桜と銀月」


五十鈴達が挨拶すると、驚いてたドワーフ達も受け入れるのが早いのか自己紹介を始める。


「俺はトトック、ここにいるのは全員ドルガドとは仕事仲間だった奴等だ」


先程喋った眼鏡のドワーフだ。知的そうな雰囲気である。


「ぶえっくしっ! 鼻がムズムズしてしかたねぇなっと、俺はスジー、よろしく頼むぜ」


豪快なくしゃみをしたドワーフはスジー。花粉症らしい


「俺はハピカザってんだ、よろしくな嬢ちゃん」


常に笑顔なのか、にこにことしながら五十鈴に挨拶してきたのはハピカザ。名前が独特だ


「眠くてしかたねぇな……。俺はピリスってんだ。よろしく」


それだけ言って眠そうに船をこいでいる。


「お、俺はバッシュってもんだ」


何処か照れたように挨拶する、一番身長が高いのに照れ屋なのだろうか


「俺はグランドル、こっちのおとぼけた顔してんのがドピルだ。よろしくな」


グランドルは顔は怖いが、気遣いのできるドワーフらしい。

ドピルは喋らないが身ぶり手振りで挨拶してくれている。


ひと言言いたい。


「七人の小人ですか!!」


小人ってサイズの人いないけれども!

この場合、白雪姫はドルガドなんだろうか……。




挨拶も終わり席についた五十鈴達。

このお店、酒場と言いつつもお酒が一切ない。


「確実に珈琲ですね。入ったときから香りがしてましたけど」


この酒場は、酒ではなく珈琲ばかりを出す店らしい。


「苦くて不味いけどな。あと、珈琲じゃなくてチャチャ豆から作ったチャートって、飲み物な」


まるで赤い頭巾の女の子みたいな名前の豆だ。

スジーの言葉に同意するドワーフ達、亭主であろう見た目が完璧にバーのマスターなドワーフが此方を睨んでいる。

ブラックしか取り扱ってないのか、苦い飲み物の店だと思われているようだ。


五十鈴はボックスから砂糖とミルを取り出した


「これを混ぜて飲んだら飲みやすいんじゃないですか」


とりあえずスジーのに適量いれて混ぜてみる


「甘くて良い香りだな」


口をつけるスジーとそれを見つめるドワーフ達


「う、うめぇ。」


スジーの言葉に珈琲がたらい回しにされる。

亭主が驚いた顔で見てくるので、五十鈴は手で合図を出した。


〔後で教えます〕

〔了解〕


実はこの合図、ハシビロコウ先輩に教えてもらったものである。

指だけで何故か会話ができる。


「チャートの苦さに慣れたお陰で、苦いものならなんでも大丈夫になっちまったよ。

慣れすぎちまって眠気も飛ばねぇ」


ピリスの言葉に同意する皆を見て、五十鈴はボックスからある物を取り出した。


「じゃあ、これも飲んでみてください」


コトリとテーブルの中心に置いたのはチモ茶である。

黒桜と銀月が素早くお湯とコップを用意するのだから、良くできた副官である。

二人とも良い笑顔で用意している、確実に確信犯だ。


「さぁどうぞ」


五十鈴達はチモ茶をドワーフ一人一人に並べた。香りだけならばとても美味しそうだ。

ドワーフ達はコップを手に取り一気に飲む。全部の椅子が後ろに倒れたのだからチモ茶の苦さはギネスに載る。



チモ茶から復活を遂げたドワーフ達は、本当の苦さを知ったと語り、マスターに謝った。


チモ茶の完全勝利である



ーーーーーーーーーーー



「俺達の腕や足はな、鉱山の崩落で失ったんだ。」


鉱石や特殊な石を採掘しに鉱山に入り、突然の揺れで崩れた岩に押し潰されたと語るドルガド。


「命は助かったが、ドワーフとしての誇りがなくなっちまった。

こいつらも俺とおんなじ理由で作らなくなったんだよ。」


七人のドワーフもどこか諦めた表情で自身の義肢を見詰めている。


「だが、嬢ちゃんは俺に作れると言った。

常に新しいものを作り失敗し完成させる、努力で出来た国だと。

俺は嬢ちゃんの言葉に思い出したんだよ、作るのは生み出すのは楽しいことだ。

俺達はほんとに誇りを失ったか? いや、失ってねぇ!

俺達は作り生み出すことが誇りだったんだ!

なぁお前ら、もう一度作ってみねぇか?」


もう一度、自分自身の誇りを取り戻そうぜ


ドルガドの言葉に思い出すのは作り出す喜び。使われる嬉しさ。

返事はもう決まっていた。




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