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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第二章 ドワーフ国とエルフ国編
32/114

32 誇りはある

面会も終わり、ギガントに引きずられるように仕事部屋に連れていかれたミラルドを見送った五十鈴達は宿探しの最中である


「今回はどんな宿でしょうか」


「獣人国では亭主に良くしていただきましたからね」


「私は今回が初めてですので、少し楽しみです。」


ハシビロコウ先輩が懐かしい。

そんなことを思っていると、目の前を歩いているドワーフの男性が突然倒れたのだから驚きだ


五十鈴達は急いで男性に近づいた。


「大丈夫ですか?」


「大丈夫だ、義足が折れただけだからな」


そう言った彼の右足の膝下からは義足とは言い難い棒のようなものが、バッキリと半分に折れている。


「また折れやがったか、脆くていけねーな」


彼は立ち上がるが折れた義足では上手く立てないためふらつく。

五十鈴は即座に彼が倒れないように支えた。


「わりーな、お嬢ちゃん」


体が大きいため支えて歩くのは難しそうだ。


「主、私が」


黒桜がそう言って支えるのを変わってくれたが、彼の体格はとても良いのだ。

銀月と黒桜が支えて歩くのなら大丈夫だろうが、それでは歩くのに時間がかかる、彼に負担がかかってしまうだろう。

銀月が狼の姿になれば乗せられるし、他にもあるだろうが。

五十鈴は男前である


「乗ってください」


地面に膝をつき、ドワーフの男性に背中を向ける。

彼は小さい五十鈴の背中を見て何の冗談だろうかと目を見張っている


「嬢ちゃん、確実に無理だろ。気持ちだけ貰っとく」


「いえ、いけます。余裕です!」


キリッとした顔の五十鈴は彼を見る


「これが嫌ならばこちらの抱き上げ方でも私はいいですが」


そう言って五十鈴は立ち上り銀月の側に近付くと、姫だきをした。

いつかの再来である。


「ぬ、主様!?」


前の時、銀月は眠っていたため覚えていないのだ。


男にたいしてその抱き上げ方はあんまりだって言っただろ嬢ちゃん!っと、ガッツの声が聞こえそうである。


抱き上げられた銀月は何処か嬉しそうだ、そんな銀月を見て黒桜が羨ましそうに見ている。


銀月は五十鈴より確実に背もあるし体格も良い、そんな彼を軽く抱き上げる五十鈴を見て

このままだと無理にでも抱き上げられると悟ったドワーフは背を貸してくれと茫然としながら言ったのである




「ドルガドさん、何処に向かったら良いでしょうか」


ドルガドとは、五十鈴が背負っている先程のドワーフの名前である。

小さい体に背負われる大きな体、シュールだ

街を歩くドワーフ達もギョッとしながら見ている


「この先にある工房が俺の家だ、隣が酒場と宿屋だから直ぐにわかる」


丁度宿屋を探していたため好都合だ。

五十鈴はドルガドの工房に目指して歩き出した。



「よいせ!」


そんな声と共に五十鈴の背から降りて椅子に座ったドルガド

無事に彼の工房にたどり着いた。

工房の中には様々な鉱石らしきものや道具が揃っているが、どれも埃を被っていて使われていないようだ。


「まさか他国の主に背負われるとは思わなかった」


と楽しげに言うのだから、彼はいい人だ


「さて、また直すかね」


そう言いドルガドは義足を外した。

見れば見るほど義足としては心許ない出来だ


「義足ってこんな感じのしかないんですか?」


「義足だけじゃねぇさ、義手もこんなんだ。神経が繋げられるなら話は別だかな。」


高度な鍛冶を持っていても作れないもの。形ができても上手く動かせなければ意味がない


「手の形や脚の形も作ってみたがな、手首や足首が動かねぇからバランスもとれねぇ。変にゴテゴテしてっと痛みが出ちまって付けてられないってのも問題だな」


「神経を繋げられる魔法とか魔術とかないんですか?」


五十鈴はこの世界に来てから魔法や魔術をしっかり見た覚えはないが、魔道師がいるとレオパルドから聞いている。

ならば、神経を繋げる魔法か何かがあるのではないかと思ったのだ


「多分ねぇな。あったら噂になるはずだ。

魔物に襲われて義肢が欲しいって奴は沢山いるからな。

この義肢を作り出したのもこの国が初めてなんだよ。

どうにか使いやすい物を作れねぇかと、試行錯誤してるが難しくって駄目だな。

防具は体に着けるだけだが、義肢は人の身体そのものに着けるもんだ。そんな簡単には作れねぇ

魔法国は隠されてるからわからねぇが、魔法道具だけは出回ってる。

だが、神経を繋げられるようなもんは何一つねぇ。」


漫画とかでは筋肉から発せられる神経伝達用の電気で動く義肢があるが、つけるときなど痛さがあると書いてあった。

どうにかスムーズに動かせて痛さのない義肢は作れないだろうか。

折角異世界に来たのだから、普通は作れないような物も作れるんじゃないか?


「ドルガドさん! 作ってみましょうよ、誰もが自分の手足のように動かせる義肢!」


「それが難しいからこの形に落ち着いたんだろ?」


これ以上は無理だっと言い張るドルガド


「それ以上を作るのがドワーフなんでしょう?

常に新しいものを作り失敗し完成させる、努力で出来た国。

だったらもっと失敗しましょうよ」


無理なんて言葉は言わせない、とでも言うようにドルガドに語りかける五十鈴


「俺はな嬢ちゃん、こんな足になってから一切鍛冶や何かを作り出すことを止めたんだ。

周りの奴は腫れ物を扱うように俺を見る、鍛冶をしようとしても危ねぇから止めろって言ってきやがる。それが嫌で作るのを止めた。

だが、嬢ちゃんはこんな俺でも何か作れるって言うのか?」


「やろうと思えば何でも出来る。やらなきゃ始まらないし、自分の事を他人にとやかく言われたからって出来ないと決めつけるのは変ですよ」


五十鈴言葉に目を見張るドルガド


「ドワーフは手と足が命であり誇りだ。物を生み出し光らせる、その足がないんだぞ?」


「足がないって……あるじゃありませんか。

あなたの誇りはちゃんとある、見えるものだけが全てじゃない。

あなたは他の人と何一つ変わってるところなんてない。」


ドルガドは物を作るのが好きだ、それを諦めたのは自分自身だったんじゃないかとドルガドは思った。

誇りは目に見えるものじゃない


「そうか……確かに俺は何も失ってねぇ。

俺の誇りはちゃんとある……。嬢ちゃんの言葉で目が覚めた、作ってやろうじゃねーか!」


ドルガドはやる気に満ちた声を張る。初めて鍛冶をした日に似た気持ちだった。


「まずは自分の義足を直さねぇとだな」


そう言って折れた義足を持ち上げると、折れた方を抜き新しいのを差し込む


「すごく簡単に直りましたね」


「ただ差し替えるだけだからな。武器や防具と同じ素材で出来てるが、痛くねぇように違うもんを混ぜてるせいで折れやすい」


地面から伝わる圧などを和らげる素材を混ぜてるらしい。

義肢の話で忘れていたが、五十鈴は聞きたいことがあったのだ


「あ、そうですドルガドさん。これを見てほしいんですけど」



そう言って五十鈴が出したのは黒い鎧。魔神の出した鎧だ。

邪石について知ってることがあるかもしれない。



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