30 手紙
ガッツやコン達のお陰で、桜国は華やかになってきた。
茶屋や呉服屋等も作り観光できるものも少しずつ出来上がってきたため、街としての機能がしっかりし始めている。
玉子焼きの練習もしたが全く上手くならない。
何度作っても上手くならないが、味のヤバさだけが上がっていく。兵器だ……
毒耐性スキルがなかったら確実に死ぬレベルである
他には獣人国からは頻繁に手紙が来る。
最初の頃、亭主の手紙は文字が所々滲んでいた。雨でも降っていたんでしょうか?
コンやガッツ達もすっかり桜国に馴染んでいる。
「獣人達もたまに来ますし、華やかになってきましたね。この国も」
「主のお陰ですよ」
五十鈴と黒桜は茶を飲みながら縁側に座り話をしている。
コン達も馴染んできたので、そろそろ次の国に行こうかなぁっと考えている。
魔神に邪石、銀月達も魔神に会っているみたいだけれど無理に聞かなくてもいずれ話してくれるだろう。
「問題は、防具とか武器とか作れる人が居ないんですよね。色々と技術が足りないのが問題です」
外には魔物が居る、それに魔神に出会って身を守れるものがないのは心もとない。
五十鈴自身は刀があるからいらないが、他の皆には必要だ。
鬼神族で武器を持っているのは黒桜と火花だけ。獣人達にもいざって時に無いのは危ない。
「武器ですか、それならばやはりドワーフ国でしょうね。高度な鍛冶や工芸技能を持った一族ですから」
異世界の定番である。
カタログにも武器ページはあるが、武器を通販的な感じで買うのはなんか違う気がする。
修学旅行で木刀をテンション高めに買ってしまったみたいになりそうで個人的に嫌だ
これはもうドワーフ国に行くしかないなっと五十鈴が考えていると、クウが丁度やって来た。
「遊びに来たんですか、クウ?」
何も買うものを頼んでいないのだから遊びに来たのだろうと五十鈴は思ったが、どうやら違うようだ
「いえ! 今日は手紙を届けにきたんですよ」
レオパルドさんと亭主からの手紙は数日前にもらったばかりだから違うとして
「誰でしょうか?」
手紙を見ると、斧と斧がクロスした印章が押されている。知らない所からの手紙
「ドワーフ国の主からの手紙です」
「はい?」
接点はないはずだ。
そう思いながら手紙をひらく。
『 是非私の国に来てくれ! 』
「短! これだけですか?」
バッとクウをみる五十鈴
「そんなに短い手紙だったんですか? 他には何も渡されていないのでそれだけだと思いますよ」
それにしたって短い。
なのに一枚の紙にでかでかと文字を書いているのだから豪快なのかなんなのか
「まぁ、ドワーフ国には行きたかったですから好都合ですけど。」
どんな主だろうか、少し楽しみだ。
五十鈴は返事を書き、その手紙をクウに渡した。
「さて、次はドワーフ国ですか。」
新しい国に行くのはやはりわくわくする。
手紙をもらってから数日。ドワーフ国に向かう日である
「今回は銀月と黒桜、二人と行ってきますね」
銀月は五十鈴以外を乗せたくなかったようだが、この間の玉子焼き? 事件が切っ掛けで戦友となったようだ。
五十鈴の言葉を聞いて美少女二人が体育座りで悲しみにくれている
「また兄上だけ。」
「兄様の裏切りもの」
どんよりした空気が漂っている。他の者達もやはり寂しそうだ。
「皆五十鈴はんの事、好きすぎやね」
わいもやけどっと言うコンも何処か寂しそうだ
「嬢ちゃんは国の中心だからな、居ないと変な感じするんだよ。
今回はドワーフ国たろ?」
ガッツがコンの頭を撫でながらそう聞いてきた
「そうですよ」
「なら嬢ちゃん、ドワーフの職人を何人か拐ってきちまいな」
笑いながら誘拐罪を進めてくる、何事ですか
「拐うって、ガッツさん」
「色々と技術があるやつがいた方が、俺達大工も助かるってもんだ。
まぁ、嬢ちゃんは確実に一人は連れ帰りそうだけどな」
「え、なんでですか?」
五十鈴の言葉にため息をはく二人、意味がわかりません
「ガッツはん。自覚ないで、わいらの主はん」
「だからこそ付いてきたんだけどな。」
五十鈴がそんな二人を見て首をかしげると
「五十鈴はん。あんたはその人の技術とかを拐うんやなくて」
「心を拐ってんだよ、自覚がなくてもな」
二人は五十鈴の肩にポンっと手を置いてそう言った。
この二人は何をいっているんだ、どこぞの刑事が言った名言みたいな事を言ってっと五十鈴が考えてるとは知らずに。
「主様、どれぐらいの滞在ですか?」
雪音が涙ながらに聞いてくる
「決めてないんですよね」
五十鈴の言葉にざわつく
「に、二週間以上も帰ってこない可能性が、あ、あるってこと、でしょうか?」
火花が顔を真っ青にしながら聞いてくる
「そうなるかもしれないし、ならないかもしれません」
五十鈴の言葉に何人かが倒れた。
火花、雪音、朔、琥珀はなぜか戦闘体制に入っている、目線の先にいるのは黒桜と銀月だ
「二回目なんですからなれてください。これからも居ない時はあるんですから」
苦笑しか出ない。鬼神族と狼族が毎回これでは困る、どうしたものか
「ご褒美が貰えるのなら、待てます」
朔がキリッとしながら言った。
「ご褒美って、例えば?」
五十鈴の言葉に恥ずかしそうに口をもごもごさせる琥珀
「帰ってきてから、あの、あ、頭を撫でてくだされば」
嬉しいですっと、言う琥珀の頭を撫でた私は悪くない。
「じゃあ、帰ってきたら皆の頭を撫でてあげますよ。」
人数が多いから大変だけれど仕方がない。
五十鈴の言葉に瞳をキラキラさせているのだからやるしかない。
嬉しいのはわかりましたから朔を崇めるのをやめなさい
「それと、米と塩だけの食事は駄目ですからね」
帰ってきたらガリガリとか嫌ですよ、私
その言葉に良い返事が返ってきたから大丈夫だろう、たぶん
「やっと行けますね」
そう言って銀月の背にまたがる五十鈴、その後ろに素早く乗る黒桜
「じゃあ行ってきます」
五十鈴の言葉と共に走り出す銀月。
向かうはドワーフ国!




