27 同盟
あの処刑から一夜明け、ゴリラの休憩所には獣人達の行列ができていた。
「亭主、なんでこんなにお客が入っているのでしょうか……」
「五十鈴さんと銀月さんを見に来てるみたいですよ」
私達は珍獣だっただろうか、獣人から珍獣扱いって……
「昨日の一件で五十鈴さん達と関わりたいと思ったんですよ。コンさん達も囲まれてますしね」
喫茶店の端のテーブルを見るとコン達が囲まれている。
コン達が移住すると聞いて、獣人達が様々なものをプレゼントしているらしい。
「コン達が贈り物を貰うのはわかりますけど、なんで私まで渡されるんでしょうか……」
そう言う五十鈴の横には大量の箱やら食べ物やらが積まれている。
握手を求められる事も、どこの48な握手会だよ……
「嫌われるよりずっと良いじゃないですか」
「そうですけど……」
もはや山になっているプレゼントを見ながら苦笑してしまう、嬉しいが量がおかしい
全部ボックスに入れて帰ろう……。
獣人達の行列
たぶん、この人のせいもある気がするっと、五十鈴は横に居る人物に目を向けた。
「ん?なんだい、五十鈴君?」
優雅に長い足を組ながらチチゴティーを飲んでいる。
ちなみに、このチチゴティーも亭主と作った新しい飲み物だ。
チチゴの身が入っている紅茶で、透き通る赤色が目を引く甘酸っぱさのある紅茶だ。
「仕事はないんですかパルドさん、今一番忙しいときですよね?」
「だからここに来たんだよ」
それはどういう事だろうか?
「五十鈴君はとても素敵な考えを持った人だ、そんな君の国と繋がりを持っておきたくてね。」
交渉しに来ちゃったっと、またお茶目に言うのだから侮れない。
「ここ喫茶店ですよ? 」
「うーん、聞かれて困ることはないから大丈夫」
「どんな交渉をしに来たんですか?」
さらりとそう聞いた五十鈴に良い笑顔を向けながら口を開くレオパルド
「獣人国と同盟を組んでくれないか?」
「…………ん?」
さらりと言い切ったレオパルドに固まる五十鈴
「そんなに驚かなくても良いじゃないか。」
「いやいや、パルドさん。驚きますから、いきなり同盟しませんかって」
お茶に誘うノリみたいに言われて流すとこでしたよっと五十鈴が心の中で言うが、レオパルドはにこにこと笑うだけだ。
「何かあれば手を貸す対等な立場だ。私は国との繋がりも欲しいが、一番は君との繋がりが無くなるのが怖いんだよ。
君は同盟など組まなくても獣人国と友好的な関係を築いていけるだろう。
でも、確かな繋がりと言うものが私は欲しい。」
若紫の瞳が真っ直ぐと五十鈴を見詰めている。
「コン達も私の国に移住しますしね、繋がりがあったほうが何かと良いかもしれないのは確かです。
いいですよ、その同盟を受け入れましょう。」
五十鈴がそう言うと喫茶店に居た獣人達と外に居た獣人達雄叫びをあげた。
喜んでくれているらしい、獣の声だからか迫力がすごい。
レオパルドは無事に同盟が組めたからか、深く息を吐き出している。
「ありがとう五十鈴君。
皆も五十鈴君達との繋がりが欲しかったんだろう。
まだ二週間もたっていないのに人気者になったものだ。」
レオパルドが嬉しそうに笑うと同時に、喫茶店の入り口からクウとマトンが入ってきた。
「五十鈴さん、コンさん! 出来ましたよ!」
クウが五十鈴の元に行くと、コン達も集まってきた
「14個、しっかり作らせてもらいました!」
テーブルに並べられた14個の象徴板、きちんと金の根付け紐もついている。
「あとは移住の書類に獣人国、桜国の印章を押せば完了です」
クウの言葉にレオパルドが懐から20枚の紙を出した。
「これがその書類だよ、もうすでに獣人国の印章は押してある。あとは五十鈴君が印章を押せば移住できる。本当はこの書類の後に象徴板を作るんだけどね」
でもなんで20枚もあるんだろうか? そんなことを五十鈴が考えていると、喫茶店の扉がまたもや開かれる
「お前らの残してる仕事が多すぎて時間がかかったじゃねーか!」
ガッツがいつもの五人にまたもや拳骨を喰らわせているようだ。
「クウ! 出来てるか!」
ガッツがクウを見つけてそう言うと、クウは勿論だと言うように何かを出した
「それって……」
クウが持っているのは象徴板の根付け
「嬢ちゃん、俺達も連れてってくれねーか」
ガッツがそう言うと他の五人もお願いしますっと頭を下げ出した。
「いいんですかガッツさん、この国から離れて」
「俺はな嬢ちゃん、あんたを気に入ったんだ。嬢ちゃんの国で、嬢ちゃんの国の大工として生きてみてぇ。」
駄目かっと、聞いてきたガッツ。
「私としてはとても嬉しいです! 建築できる人が居なくて困ってたとこですから」
「そうか、よかったぜ。断られたら後々押し掛けてやろうかと思ってたとこだ」
ゴリラの押し掛けとは迫力がありそうだ。
そのあとは書類にしっかりと印章を押し、20人の獣人達が桜国の住人になりました。
そんな五十鈴達を見詰める二人
「このゴリラの休憩所も寂しくなりますね。毎日、五十鈴さんや銀月さん、ガッツさん達やコンさん達が来てましたから。」
「ふふっ、そうだね。私は主殿から出られなかったが、ここに集まる彼等の話は耳に入っていたよ。
他国の主と狼族、そんな二人と仲良く喋る獣人達が居ると噂になっていたからね。」
レオパルドは五十鈴達を見詰める。思い出すのは彼女と初めてあった日
〝今日初めて会ったのだから好きも嫌いもあるわけがない〟
〝知らないなら知れば良い〟
「まさにその通りだ」
大工が仲間に加わりました。




