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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第一章 獣人国編
22/114

22 紡がれた言葉

コンは五十鈴とマーマガ肉を食べた日の夜、この頃毎日が騒がしくなったと思いながら外に出ていた。

嫌われもののため、夜中に散歩する方が気楽でいいのだ。


「星がきれいやなー」


夜空に光る星が明るかった。前まではこんな風に星が綺麗だと言えただろうか。

夜空を見上げながら、こんなに穏やかな気持ちは初めてだった。


「お嬢はんに出会ってから色々ありすぎや。」


そう言いながら自然と頬が緩んでしまう、彼女と出会ってから意外と毎日が楽しいと思えている


「明日は色々わかる日やから、楽しみしてろ言うてたな」


明日も忙しいっと星を見ながら歩く、明日はなにがあるんだろうかっと楽しみにしながら。


「おわっ!」


突然足に引っ掛かる何か、暗がりで見えなかったために躓いたコン


「なん?」


コンが振り返り見てみると、倒れている獣人が一人。彼に躓いたのだろう。


「だ、大丈夫か!?」


コンは急いでその獣人を抱き起こしたが。もうすでに息絶えた後だったのか、目を見開き動かない


「ひっ」


思わずひきつった声が出た。

暗くてわからなかったが、よく見るとその獣人は鳥一族の者で翼が両方とも無惨にも千切られている


呆然としていたコンの前に現れたのは一人の獣人


「またやったぞ!! あの日の再来だ!!」


その獣人は星空の下で、声を張り上げそう言った。その声を聞いた獣人達ぞろぞろと集まり出す。


「なっ!わいやない!」


コンはすかさずそう言ったが皆は近くにある死体を見て次々に叫び出した。

コンの言葉など少しも聞いていない


「リドの息子がやりやがった!!」


「やはりリドと一緒に殺すべきだったんだ!!」


「家族共々死刑にしなければ!」


飛び交う言葉はコンの心を砕いていく、このままでは家族まで危険にさらすことになる


「わいやない!! 」


コンの必死の叫びは誰に拾われる事もなく、その場に響くだけだった……



ーーーーーーー




亭主から話を聞いて、五十鈴達は一階の喫茶店に集まっていた。


「狐さんは今何処に?」


「たぶん、この国にある牢屋かと。」


五十鈴は亭主の言葉に爪が食い込むほどに拳を握り締める。


「主様、突撃しますか?」


「いえ……」


牢屋に突撃して助け出すことも出きる、でもそれじゃあ意味がない。


「嬢ちゃん!」


カランっと喫茶店の扉を乱暴に開いて入ってきたのはガッツ


「あいつの処刑が決まったって聞いて、俺っ」


急いできたのか息がきれている


「嬢ちゃん! あいつが処刑されるようなことするはずなねぇ! どうにか助けらんねぇのか!」


縋るように五十鈴を見るガッツ


「ガッツさん、明日の処刑の前までに調べものも終わらしてください。

クウにもこれから言いに行くので。

狐さんとは毎日一緒にいたんですよ、彼が処刑されるようなことをするはずありません。」


ガッツ達は五十鈴を見て総毛立った。いつもの穏やかさなど感じない、金の瞳は冷たく光輝いていた



ーーーーーーーー



処刑当日



コンとコンの家族は両腕両足を縛られ並ばされていた。

兄弟達は泣いているが、コンは一切涙を見せてはいない。


処刑を見に来たのか柵の周りには沢山の獣人が揃っていた。


「昨夜、鳥一族の者が一名亡くなった。痛ましいことだ。」


そう言うのはこの国の主、レオパルド。ローブを着ていて顔は見えないが左右には副官が立っている


「両翼をもがれ、その痛さに亡くなったのだろうと報告が入った。」


その言葉に獣人達がざわつき始める。


「その罪を犯したのがこの狐一家の長男。数年前の処刑人の息子だ。

まさか、父親と同じことをするとは思わなかった。

野放しにしていた私の責任だ、彼は今日ここで処刑される。

この一家は二回目の処刑だ、見過ごせる問題ではない。

獣人国主として、一家共々処刑することを言い渡す。」


無情にも下された言葉と共に、コンは引っ張られ前に投げ出された。

コンの兄弟達が泣きながら兄を呼んでいる。その声にコンは眉を寄せた。


「何か言いたいことがあるなら、最後に許可しよう」


剣を構えた獣人はそう言いコンを見た、見下すようにコンを見ている


「やっとらん言うても信じてくれへんのに、何を言えっていうんや。

最後に言えることあるとすれば、この世界もこの国も嫌いや言うことだけや!」


吐き捨てるように言いはなった言葉、それを聞いた獣人達が聞き捨てならないと言い返す


「お前ら一家がいなけりゃこの国はもっと良い国になる!」


「あの時の処刑の時にお前らを見逃してやったんだ、慈悲を無駄にしたくせになに言ってやがる!」


コンに返ってきたのは身勝手な言葉。

俺達がいなければ良い国になる? 下らない

見逃してやった? 子供だからって放置しただけだ

慈悲? そんなもの無いくせに


「やっぱり他人なんて信用できへんな……ほんまくだらん」


コンは小さく囁いた。


「お喋りはそこまでだ」


そう言ってコンの頭を押さえ付け地面に押し付ける。


「じっとしていろ、失敗して痛いのはお前だ」


コンは瞳を閉じる。


振り下ろされる剣と共にコンの口がゆっくりと動いた。




「───────」





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