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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第一章 獣人国編
21/114

21 マーマガ肉

五十鈴は今、喜びと感動で悶え震えていた。


「五十鈴はん、おちつき」


「無理です。無理です! だって、見てくださいよ! この」



漫画肉を!



五十鈴はコンと共に楽しみにしていた漫画肉を食べに来ていた。

あの伝説のお肉! アニメや漫画、様々な物に登場するお肉! 食べられないと思って諦めていたお肉が目の前にあるのだ、テンションも上がる


「漫画肉ってなんや? 似た呼び方やけど、この肉はマーマガ肉やで」


「私の中では漫画肉なんです! 」


両端の骨を握り持ち上げる、ズッシリとしているはずだ。くっ、身体能力ゴリラなのが悔やまれる、漫画肉が軽く持ち上がってしまう。

もう少し漫画肉の重さを感じたかった……


「一人で食べきれるん?」


「たぶん?」


ひと口かじってみると肉の弾力が顎に伝わり、肉の旨味が口の中に広がった


「めちゃくちゃうまい」


真顔で言いはなった五十鈴にコンは苦笑しながら見ている。

味は美味しい、とてつもなく。


「これが漫画肉ですか、美味しいです。美味しいですけどとてつもなく食べにくいですよ、これ!」


そう、とてつもなく食べにくかったのだ。噛みつくと口の両端がどうしても汚れる。すぐ拭いたが、これはかぶりついて食べれない。

仕方ないので細かく切りながら食べ進める事にした。


「そうやろね。それとまだ頬についてるで」


コンはそう言って五十鈴の頬を拭く


「狐さん全く私に警戒心が無くなりましたね」


ニヤニヤしながら五十鈴が言う言葉に、自分の行動を思い返して顔を真っ赤にしたコン


「……あんたは悪いやつや無い、わかっとるよ。この数日間ずっと一緒にいたんや。

わいのために父ちゃんの事も調べてくれはった。お嬢はんの事、嫌いやないよ」


でも、信用はせんけどな。そう言うコンに五十鈴は頬が緩む


「嫌いじゃないならいいですよ」


そんな五十鈴に苦笑したコンはどこか嬉しそうだった。


「嫌いじゃないなら狐さん」


「なん?」


「この漫画肉、一緒に食べてください」


この量やっぱり無理です。食べても食べても減りません。


「だから言ったやん」


呆れた顔をしつつも、しっかりとお肉を食べてくれるコンを見て嬉しそうに五十鈴は目を細めた。




─────────



暗い部屋に一人の男、いや。男と言うには幼い者が居た。


「もう少し楽しめると思ってたのになぁ。」


子供特有の高い声


「まぁ、バレないのが不思議だったんだけどね。」


クスクスと笑う


「それにしても、あの森の主ちゃんかわいいなー。他の奴等も気に入りそうだし。

他人のために頑張っちゃう系かな? 嫌いじゃないよ、そういう感じ 」


新しいおもちゃでも見つけた子供のような声


「この頃つまんないんだよね。でも、あの主ちゃんのおかげでこの世界も少しは面白くなるかな?

うーん、なったら楽しいかもしれないなぁ。他のやつらも暇してるだろうし。いや、他のやつらも何かしらやってそうな気がするなー」


そう言い、彼は黒い石を取り出し手のひらに転がす


「そろそろこの国にいるのも飽きたし。うん、もう終わりにしようかな。

主ちゃんともお話ししたいし」



そうしようそうしようっと言いながら歩き出した。



───────



五十鈴達は漫画肉を食べきり、色々見て回ってからゴリラの休憩所で二人してぐでーっとしている


「食べすぎました。いまだにお腹が重いです」


お腹の苦しさに嘆く五十鈴。


「なに言ってるん、ほとんどわいに食べさせといて」


「でも狐さん余裕で食べてたじゃないですか」


「男やからな、あれぐらい食べれる」


そんなコンを見ながら思ったのは、そういや狐って雑食性だけど肉食性が強いとか聞いたことあるな、だった


「伝説のお肉は一人では食べれません。」


アニメとか漫画とかだとペロリと食べてるけど無理ですよ。

胃が破裂する未来しか見えません。


「食べれんのはお嬢はんだけや、獣人だったらマーマガ肉なんてペロリと食べれるで」


コンの言葉に嘘でしょっと亭主とガッツを見る


「食べれますよ」


「嬢ちゃん。この亭主はな、マーマガ肉の大食い大会で優勝した逸材だ。」


マーマガ肉の大食い大会。ただでさえ一つが大きいのに、それを大食い大会にするとは考えただけでも恐ろしい


「獣人の胃袋、小宇宙(コスモ)でも燃やしてるんじゃないですか」


それかブラックホールでも胃袋にあるんじゃないだろうか……


「嬢ちゃんは獣人達よりも体が小さいんだ、しかたねーさ」


「そうですね、五十鈴さんは私と違って口も小さいですし。食べてる間にお腹が膨れてしまうのも仕方ありませんよ」


確かに亭主の口?クチバシ?は、確かに大きい。どうやって早食いするのか気になる。


「そうだ、ガッツさん。調べもの進んでますか?」


「そうだなぁ、明日には終わると思うぜ」


「クウさん達に頼んだ調べものも明日ぐらいには終わるっていってましたし。」


何とかなりそうだと五十鈴は笑みを浮かべていた。

この時までは




その日の真夜中


ドンドンドンドンッ


五十鈴は部屋の扉を叩く音に目を覚ました。


「五十鈴さん! 起きてください!」


亭主の焦ったような声が扉の前から聞こえ、急いで扉を開けた


「どうかしたんですか、亭主」


五十鈴の言葉に焦ったように言葉を発した


「今知らせが来て、何故かはわかりませんがっ、明日の朝」




コンさんと、コンさんの家族の処刑が(おこな)われると連絡が来ましたっ


伝説のお肉はきっと食べにくい。


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