18 狐一家とチチゴパイ
「なぁ、父ちゃん」
コンは父親に声をかけた。
「ん? どうした、コン」
「父ちゃんはなんで経理課になったん?」
「そうだな……簡単に言えば主様の助けになりたかったからだな」
リドの回答に首をかしげる
「なんで他人なんかの助けになりたいって思うん?」
「父ちゃんな、主様の国を背負うあの背中見て、ついてきたいって思ったんだ。あの人を信じて一緒に歩めたらいいと思ってな」
「他人なんて信用してもええことないやろ?」
コンの言葉に苦笑してしまう
「他人に信じてほしいなら、自分も他人を信じないといけないんだぞ、コン。」
ますます解らないと顔に出るコン
「わいは誰も信用せんよ。」
コンの言葉に笑ってしまったリド
「きっとコンにも信用できる人が現れるさ。そしたら父ちゃんに教えてくれな?」
懐かしい夢を見た。そう思いながらコンは布団から出る。
この頃は毎日外に出ているため疲れて仕方がない。
そういえば明日はお嬢はんが納品賭けて出場する日かっと思い出す。
でも、そんな毎日が嫌じゃない自分がいる、そう思いながら扉を開くと
「おはようございます狐さん」
「よく寝てたな」
五十鈴と銀月が茶をすすっていた。
何故居る。それがコンの心境である
五十鈴と銀月は亭主に冗談半分でコンの家は何処だと聞いたら、さらりと教えてくれたためコンの家に来たのだ。
最初玄関を叩くと警戒したように狐達が顔をだした事から始まり。
コンの友達だと言ったら家に向かい入れられ、コンの弟妹であろう13人の狐と自己紹介をして、今に至る。
そして今、五十鈴はコンを真剣な眼差して見詰めていた。
「狐さん、あなたの弟のスナさんをください」
まるで娘さんをくださいと言うかのように、五十鈴は言う。
ちなみにスナさんとはコンの弟の事だ。
見た目がチベットスナギツネである。シュールなお顔が愛おしい
「やらんわ! 」
迷わず断られた。
「残念です……」
心から残念だと顔に書いてある五十鈴。
「で、なにやってるんや? わいの兄弟達は」
コンの目の前には広げられた沢山の紙があった。
「桜国でそろそろ建築とか始めないといけなくて、国に入る大体の予算でどれぐらいの事が出来るか計算してもらってたんです。」
「は?」
「狐さん家のお父さんは経理課だったでしょ? この子達に聞いたら経理課になりたかったから計算は得意って言うので」
今日あったばかりの人に国の予算やら何やらバラしていいのかっと言いたげだが。
父親の一件があり、経理課には慣れないこの一家にとって、五十鈴が持ち込んだものはとても嬉しいことだった。
兄弟達は五十鈴が持ってきた紙をみながら楽しそうに話し合っている。
兄弟達のこんなに楽しそうな顔は久々に見たと思いながらコンは五十鈴の隣に座った。
「是非とも皆で私の国の経理を任せたいです。」
何をバカな事を言ってるんだと言い返そうと五十鈴を見たコンは言葉を飲み込んだ。
五十鈴の目は本気だ、本気で勧誘している
「……なに、バカいってるんや。無理や、無理」
思わず目をそらしながら言ってしまったコン
「狐さんのお父さんの無実が明らかになったらなってくれますか? 一家共々」
五十鈴は引き下がらない
「……信用ならん。他人は助けて言うても助けてくれん、そんな他人に父ちゃんの無実をはらせるんか? 助けてくれ言うたら助けてくれんのか?」
「助けますよ」
間髪入れずに返ってきた言葉
「私は狐さんが助けてって言うなら何処へだって駆けつけて助けますよ」
まっすぐ言う言葉に目をそらす。
「それでも信用できん」
「いいですよ、信用しなくて。私は信用しますから」
「……アホやろ」
コンの言葉を気にせずに笑う
コンとその家族をつれてゴリラの休憩所に向かった五十鈴達。
周りの目が厳しいが五十鈴と銀月が居るため特に問題も起きなかった。
カランっと扉を開けて喫茶店に入ると、ガッツ達とクウ、マトンが居た。
「遅かったな嬢ちゃん! 新しい菓子が出来たって聞いたからすっ飛んできたぞ!」
「五十鈴さんはチモ茶といいナーナパウンドといい、美味しいものを作り出す天才ですからね! 期待が高まります!」
ガッツとクウがテンション高めに喋りかけてくる。
コン達をつれてゴリラの休憩所に来たのは新作お菓子の試食をしてもらうためだ。
亭主と徹夜で作り上げたお菓子、昨夜も盛り上がった。
亭主がコンの家を教えてくれたのは、コン達の家族も誘ってきたらどうかという亭主の気遣いだったのだ。
はっきり言いたい、ハシビロコウ先輩がイケメン過ぎて辛いっと。
気遣いができる男はモテる
「今回のお菓子はチチゴパイですよ」
アルコールは飛ばしてあるから銀月も食べれるだろう。
見た目は完璧にリンゴパイである、中の実が赤く光って宝石のような違いはあるが。
皆して目が輝いているから見た目は合格点だろう。
切り分けるためにナイフを入れると、サクリッと良い音がなった。
パイ生地がとても綺麗にできている証拠だ。
人数分のお皿に移しテーブルに置いていく、喫茶店全体がチチゴパイの甘い香りが漂っているため他のお客も匂いにつられて気になるようだ
「今回のも旨そうだな……」
ガッツの瞳はチチゴパイに釘付けだ。流石スウィーツ男子。
チチゴパイを一口ずつ味わうためか、ゆっくりとフォークで小さく切ってから食べるのだからさすがと言える。
甘い物好きは伊達じゃない。
「くっ」
ガッツは今回、右拳を天高く上げている
「俺の生涯に、悔いなんてねぇ」
どこの拳王だ……
他の皆も美味しさに震えている、味も合格だろう。
皆のそんな姿を見て亭主と目を合わせ
拳をトンっとぶつけ、右のハイタッチ左のハイタッチ、そして最後に両手でハイタッチ
喫茶店に軽やかな音が鳴り響いた。
「亭主。今回もやりましたね」
「ええ、やりました。是非とも五十鈴さんにはここで働いてほしいものですよ」
「流石に無理なので文通でもしますか」
「いいですねぇ、お願いします」
亭主との絆がカンストレベルな気がする……
鬼桜×→黒桜○ 咲×→朔○ 間違えているとこを昨日直しました。申し訳ありません




