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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第一章 獣人国編
17/114

17 刷り込み?

殺されたのはルスホ副官の妹です。

それを助けようとしてルスホ副官は片翼を無くしたと言われています。

鳥一族にとって翼はとても大事な神聖なものなのです。

ルスホ副官の場合、私と違って背に翼が生えた一族ですから、その翼を命と同等の扱いで見ています。

それがなくなったと言われたのですから一大事ですよ。

彼の父親を拘束し、そのあとすぐに処刑が決まったそうですよ。


「殺した動機とかないんですか?」


「聞いた話だと彼のお父さんは経理課内の改ざん等を行っていたようで。それを経理課だった副官の妹さんにばれたための口封じだったと思います。」


まとめると、改ざんがばれたから妹を殺そうとして兄のルスホが妹を庇って翼がなくなり、最終的には妹は殺されたと。

全くもって納得できない内容だ。


「側に居たルスホ副官は疑われなかったんですか」


「疑えませんよ、だって彼は翼をなくしたんですよ?」


?意味がわからない、翼がなくなったからって彼が疑われない理由が無い


「ごめん、クウ。意味がよく理解できないんですけど。なんで翼を無くしたからって彼は疑われないんですか」


「彼の翼は命と同等の価値があります。それをなくしてまで妹を庇ったんですよ? 彼のどこに疑うところがあるんですか? それに彼が自分の身内である妹を殺すはずがありません。」


殺すはずがない、まるでそれが当たり前だと言い切るクウ。

なんで殺すはずがないと言い切れるのだろうか……


「ねぇクウ、獣人国での処刑はこの時が始めてなんですよね?」


「そうですよ、あとにも先にもこの時だけです。」


「じゃあ、殺人があったのもこの時が始めてって事ですよね?」


「そうですよ? 何か気になることでも?」


獣人達は身内を殺すはずがない、翼は尊きものだ。それを信じて疑ってない?


「また刷り込みですか……」


ため息しか出ない。この国はめんどくさいことが多すぎる。


「刷り込みってなんや?」


「思い込まされてると認識してくれればいいですよ」


犯人を割り出すのは簡単かもしれない。でも、問題は周りを納得される事が出来るかどうか。


「一応確認しますけど。コンのお父さんは経理課で徹夜続きだったんですよね?」


「そうや」


「コンのお父さんは仕事ばっかりで、計算とかの書き仕事ばかりで重いものを持ったり筋力とかがつく仕事じゃないですよね?」


「せやで」


「そうですか……大体は解決しました。後は獣人達が納得する証拠を揃えるだけですよ。」


狐さんのお父さんは殺しなんてしていない。




ゴリラの休憩所に戻った五十鈴。


「さてと、色々と証拠集めをしますかね」


そう言って五十鈴はボックスの中から特産品カタログを出した。


「なにするん?」


「値段を少し確認しようと思いまして」


ナビっと心の中で呼び掛ける


《お呼びですか?》


五十鈴はカタログ全ページの値段と商品名だけを羅列させたものを印刷出来るか聞いてみた。


《印刷開始、印刷完了です。》


ぽんっと紙の束が表れてコンが悲鳴をあげたが無視して数字の羅列を見る


「さて、これを今度は配達係に渡さないと。一週間あれば調べられるでしょう、たぶん」


「それって、商品の値段一覧やろ? 何に使うんや?」


不思議そうに首をかしげている。


「少し違和感があったので調べてもらおうと思って」


ふふっと笑いながら五十鈴が紙の束を持ち上げ立ち上がろうとすると喫茶店の扉が開きマトンが入ってきた


「よかった! 五十鈴さんいますね」


そう言ってマトンが駆け寄ってきた。


「レオパルド様から手紙を預かってきました」


忙しくて会えないからりに手紙を送るとレオパルドは言っていたのだ。

手紙にはしっかり獣人国の印章が押されている。

それを受けとるとマトンは仕事があると言って去っていった。


五十鈴は手早く手紙を開く


『五十鈴君、獣人国を楽しんでいるかい? まだ二日目だ が君がくれたチモ茶のあまりの美味しさに筆を取ってしまったよ。

ビスもとても美味しいと飲んでいたんだがルスホには少し苦かったようだ。

このチモ茶はこの国で流行るだろう。


沢山この国を見て回ってくれ』


手紙を読んで眉を寄せる


「苦い……ですか」


チモ茶は獣人には苦くないはずだ……。どういう事だ

難しい顔をする五十鈴をコンが不安そうに見詰めている


「お嬢はん?」


コンの声に意識を戻す五十鈴


「いえ、なんでもありませんよ」


気になるが先にやらなければいけないことがある。

五十鈴はコンと銀月を引き連れて次の目的地に歩き出す。

異色の組み合わせのため、やはり目立っている。


次に五十鈴が向かったのはガッツの働いている職場。この国の大工はゴリラばかりらしい、頼もしい。


「ガッツさん居ますか?」


そう五十鈴が声をかけると肩に木材を抱えたガッツがやって来た。


「おう嬢ちゃん、 建築依頼か?」


「建築依頼もしたいですけど、今日は別件です」


そう言って先程とは違う数枚の紙を手渡す


「調べてきてほしいことがあって」


紙を受け取ったガッツは不思議そうな顔で紙ペラペラ捲っていく。


「これを調べればいいのか?」


「はい」


「いいぜ、一週間はかかるだろうけど大丈夫か?」


「大丈夫です、お願いしますね。」


これでとりあえずやらなきゃいけない事は完了。以外とすぐに終わりそうだ。


「お嬢はん、何も解決してへんけど」


「いいんですよ、これで」


後々わかりますから。

あと他にやることがあるとすれば。


「狐さん、納品物を確認できる方法ってないですかね?」


「経理課が回収してまうからなぁ……あ、でも一つだけ」


何かを思い出したのかパッと五十鈴を見詰める


「週に一度、納品物を賭けた勝負があるで」


「勝負?」


「おう、今回はたしか桜国の茶が景品だったはずや」


自分の国の納品物が景品だなんて好都合だ


「その商品の納品物って納品された量全部ですか? 」


「そや、だから毎回出場者が多いねん。欲しさで鬼になるで」


「勝負の内容は? それとパルドさんとかも見に来たりします?」


「体術や、毎回強いやつばっかり出る。来るのは街の連中だけや。」


「獣人国の者じゃなくても出れますかね?」


「大丈夫や」


うん、出場するしかありません。ゴリラの底力を見せるときである。


「いつ開催ですか」


「五日後やね」



五日後の予定が決まりました。


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