15 狐さん
関西弁、京都弁?もどきがでます。もどきです。
銀月を宿屋に置き去りにし、一人町散策に出た五十鈴。
色々な食べ物や物が売っている。やはり魔法道具的なのもあるらしい
そんな風に見て回りながら歩いていると耳障りな声が五十鈴の耳に入る
「人殺しの息子めっ」
「父親と同じことをするに決まってる!」
声をたどり近付くと一人の狐が尻餅をついている、その狐に容赦なく石を投げつけている二人の獣人
五十鈴は素早く狐の前に出て投げつけられた大きな石をパシリとつかんだ
「なんだお前! 邪魔すんじゃねぇ!」
「金色の眼……こいつあの森のっ」
五十鈴はにこりと笑うが、全く瞳は笑っていない
「ただの通りすがりですよ」
そう言って金の瞳を細め、手に持っている石を握り潰す。手を開くと粉々になった石がパラパラと地面に落ちていく。
それを見た二人は情けない声と共に走り去っていった。
なんだろうか、悪役になった気分だ……
五十鈴は後ろに振り返り狐に手を差し出した。
ポカンっと五十鈴を見ていた狐はその手をパシリと払いのけて立ち上がる
「お嬢はん、なにもんや」
警戒した瞳で五十鈴を映す狐。
だがそんな瞳など気にしない。それよりも気になるのは狐の喋りだ、関西弁?京都弁?いやいや、この世界に関西も京都もないだろ。
異世界特有のキャラっぽいのに出会ったなっと、思う五十鈴
「だから、ただの通りすがりですよ。」
五十鈴の言葉に警戒は解かないが体の力は抜けたようだ。
「変なお嬢はんやな」
そう言ってため息を吐く狐。
「ねぇ狐さん」
「なん?」
「今って暇ですか?」
「暇っちゃ暇や」
狐の言葉に妙案が浮かぶ
「じゃあこの国の案内頼みます!」
「は?」
*******
狐は困っていた。手を引く少女に
「わいやない奴に案内してもろたらええんとちゃいます」
「私は狐さんがいいのでお断りします。」
にっこり笑顔で一刀両断
石投げられて人殺しとかなんとか言われてる相手に普通案内頼むかっと言ってやりたい
「手はなしてやー」
「狐さんが逃げないのであれば考えますよ」
お見通しである。狐は仕方ないっと覚悟を決めた
「しゃーないから案内したる。」
だから手を離せと言うようにブンブンとふっている
「離すとは言ってないので」
ふふふっと五十鈴は笑って狐の手を引く
全く勝てる要素がない
コンはため息を吐きながら歩き出した。
街中を手を繋ぎながら歩くとやはり注目を集める。
五十鈴は獣人ではないし狐は何故か嫌われている、そんな二人が歩いているのだから注目も集めるだろう……
「この国の中心的仕事は何なんですか?」
「そりゃ経理課や。納品物の確認に出ていくお金に入るお金、あそこで全部決まるんよ。経理課がないとこの国はまわらん」
ふむ、全部を見るのに人は足りるのだろうか?この国に集まる特産品や特産物、大きいものから小さいもの全てに目を通すのは無理なんじゃないかと五十鈴は思う。
「納品物ってどういう扱いなんです? 売れませんよね?」
「基本は売っちゃアカンものやね。この国だけで食べたり使ったりなら問題ないで?
お店で調理して出すぶんにはセーフや。
食べ物の特産物は飲食店にまわされる、その他の物なんかはそれに合った所にまわされるんよ。」
とりあえず納品物はこの国だけで消化しなければいけないということ。
「その特産物の数とかの確認も経理課なんですよね?」
「そうや、何か気になることでもあるん?」
「ええ、少しだけですが」
まだ確信はない。
「狐さん、何か経理課に詳しいですね」
「父ちゃんが経理課だったんや、お嬢はん観光したいんやろ? はよ行こうや」
コンは話をそらすそうに五十鈴に掴まれた手を引き歩いていく
「この国の主はどんな人なんやろ」
突然狐はそう五十鈴に質問した。
「良い方でしたよ、国をよくしようと毎日考えてるみたいですし」
五徹するぐらいには
「そっか、お嬢はん桜国の主はんやったな。」
「パルドさんの事、気になるんですか」
「そうやね……父ちゃんが一生ついてきたいって、仕えたいって思えた唯一の人や言ってたんよ。他人に仕えたいって気持ちがわいにはわからん。」
だから気になったと言う狐
「気になってたんですけど、人殺しって?」
「会ってまだ一日もたってないのに聞くんやね、せっかく話そらしたのに」
「気になることはズバッと聞いたほうが何かとスッキリするので」
そのせいでしまわれるかと思いましたけどっとは言わない。
「父ちゃんは経理課やったって言ったやろ」
そう言ってから語った彼の話をまとめると。
経理課だった狐の父はある日突然、殺人の罪に問われたらしい。
この獣人国での殺人は重罪で死刑になる。
最後まで狐の父はやってないと言っていたが誰も信じなかった。
「父ちゃんが人を殺すはずない。父ちゃんは仕事の出来る人やった、頼られたら断れん性格やから徹夜ばっかりや」
聞く限りだといい人そうだ
「誰を殺したとかハッキリしたことはわからないんですか?」
「わからん。わいが子供の頃の話やから。大人たちが隠してるのか、他のもんが何かしてんのか。
大人達は俺ら一家は殺人一家だって言って、煙たがるん。なんもかんも信用できへん。」
入ってくる情報は偽りだらけ、レオパルドさんが言ってた事の一つかもしれない
「じゃあ調べますか、お父さんの事」
「はあ?」
すごい目で狐が見てくるがニッコリ笑顔で誤魔化した五十鈴
「おお! これが肉の実と卵の実ですか! 匂いはしませんね」
調べる前に確認するのは肉と卵! これは大事なことだ。
まさに木に実っている。匂いがしない事が不思議だ。
「肉の実一つ一つに膜が張ってるから匂いがしないんよ。衛生面もバッチリや。
卵の実はもぎ採らないかぎり腐らん」
「どっちも市場とかで売ってる感じですか?」
「売ってるで」
買ってボックスに詰め込もう。そう心に決めた五十鈴
そのあとも獣人国を買い食いしながら見て回る二人。
途中狐に突っ掛かる獣人も居たが五十鈴が笑顔で黙らせた。
ただの観光をしながら歩き回りいつの間にか空は真っ暗。星が輝いている。
「もうええやろ。はよ離してや」
狐の言葉にあっさりと手を離す五十鈴
「自己紹介がまだでしたね。私は桜国主の桜木五十鈴。よろしくお願いしますね狐さん」
「よろしくしたないわ。」
いややわーっと言いながら歩き出す狐
「しゃーないから名前だけは教えたる。わいはコン、見ててわかるようにこの国の嫌われものや」
もう会う事もないやろ、そう言ってコンはその場から去るその背中に声をかける五十鈴
「明日もよろしくお願いしますね。明日からお父さんの事調べはじめますから。ゴリラの休憩所集合ですよ」
五十鈴の言葉にバッと後ろを振り返るコン
「絶対にいかへん!」
そう言いながら急ぎ足で帰っていくコン見届けてから思うことはこの国について。
レオパルドさんもめんどくさいことを頼んできたものだ。
「頼まれたから仕方ありませんけどね」




