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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第一章 獣人国編
13/114

13 苦いはお断りします

五徹目で死にそうなレオパルドをビスに引き渡し、銀月と共に主殿を出た五十鈴。

銀月にしつこく何を頼まれたのか聞かれたが無視を決め込む


「さて、最初はクウとマトンの仕事場に行きますかね」


主との面会が終わったら自分達の仕事場に顔を出してくれと言われていたのだ。

クウが迎えに来てくれるらしい


「五十鈴さーん!」


グットタイミング、クウが手を振りながら駆け寄って来る


「面会終わったんですね」


「ちょうど今終わったんですよ。」


「どうでした? 私が言った意味がわかったでしょう」


「うん、この国一番の謎ですよ、確実に」


名前だけなら豹を意味してるけど、ぜったい豹じゃない。

帰り際にこそっと何の一族なのか聞いたら、にこりと笑うだけで回答はなかった。

その笑顔が逆に怖い、下手するとしまわれる。


「謎は謎のままにしといた方が良いこともありますよ。

さて、じゃあ向かいますか。」


そう言ってクウは配達係の仕事場に向けて歩き出した。



クウに連れられてついた場所には沢山の鳥一族とその補佐であろう獣人達が居た。

クウの服とマトンの服はそれぞれ制服だったらしい。


「クウ! やっと来たか、五十鈴さんに銀月さんもようこそ配達係本部へ!」


マトンが嬉しそうに五十鈴達を出迎える。すると、周りの職員たちも興味深そうに五十鈴達を見始めた。


「クウ、マトン、約束忘れてないよな?」


銀月が突然口を開きそう言うと、二人は銀月の前にビシリと立つ。


「はい、もちろんです銀月さん!練習も毎日してましたから!」


「くっ、黒桜さんが居ないのが残念です。」


なんか暑苦しい……そんなことを思う五十鈴に気付くことなくクウとマトンは懐からすぅと大根を出した。

周りの職員が受け皿らしきものをクウとマトンの下に置く。


「じゃあやってみろ」


黒桜の分まで見届けてやるっと言いながら二人を見る銀月。

二人はやる気に満ちた瞳をしながら片手で大根を握りしめ


グシャリッ


そんな音と共に握り潰される大根、憐れだ


「良くできたな、合格だ」


そう言って二人の頭をクシャリと撫でる銀月


「「ありがとうございます銀月さん!!」」


周りの皆も拍手している。この二人相当練習してたのだろう。

うん、なんだろうこの光景。ついていけない、ここはゴリラパークなんだろうか。

まぁ、本人達が楽しげだから別にいいだろう。

そんな思いと共に目の前の光景を無視することに決めた五十鈴


「あ、そうだ。クウさん、マトンさんこれどうぞ」


そう言って五十鈴が差し出したのは茶葉の入った入れもの


「おお! 良いんですか!」


「納品物にもいれましたけど、元々この茶葉が出来たのはクウさん達のお陰ですから。先に渡そうと思って」


「ありがとうございます! 美味しいんですよね」


「そうそう、緑茶もいいけどこのチモ茶!」


そう、この茶葉は緑茶ではない。

獣人国に生えているチモ(そう)という草から作られた茶葉である。

獣人国の野菜みたいなものだ、見た目は牧草に似ている。

抜いてから数時間で枯れてしまうとかで他の国には流通していない野菜である。


桜国は獣人国と近い国のため、空を飛びながらなら時間もそこまでかからないのでクウ達が持ってきてくれたのだ。

試しに乾燥させて他の茶葉とブレンドしたらチモ茶が完成した。


クウ達は大絶賛するぐらい美味しいらしいのだが、このチモ草欠点がある。

獣人以外にはとてつもなく苦いのだ。

他の国に流通してないためにその事実に全く気付いていなかった私達はクウ達に進められるままに食べて悶絶。ゴーヤの数倍は苦く感じた。

何人かの鬼神が気絶するほどだ。


ナビが獣人以外には苦く感じると教えてくれたのだが、食べる前に教えてほしかった


「五十鈴さん達にこの美味しさが伝わらないのが悲しいです。」


「こんなに美味しいのにな……」


五十鈴と銀月はあの苦味を思い出して顔を青くした。

あれは凶器だと言える……


「クウさん達が美味しそうに飲んでるのを見れるだけで満足ですから」


「俺たちのことは気にしないで飲んでくれ」


絶対に飲みたくない、その思いが滲み出ている。


「クウ、マトン、そろそろ俺達にも二人を紹介してくれよ」


そう声をかけてきたのは配達係の一人


「そうだな、この方が俺達が担当してる桜国が主の桜木五十鈴さんだ。

で、その副官の銀月さん」


始めましてっと挨拶するとちゃんと挨拶が返ってくる。怖がられてはいないようだ。


「俺が怖くないのか?」


銀月不思議そうに配達係達にそう聞くと全員が怖くないと言った。


「いやさ、クウとマトンが桜国から帰ってきてからいつも楽しそうにしてる姿見てたし。

それに俺達が鬼神と狼族、それを束ねてる桜国の主って怖いよなって話してたら。

見た目とか噂とか、関わっても知り合ってもいないのに決めつけるのは良くないって言うからさ。

なんか俺達恥ずかしくなっちまって……でも流石に、大根握り潰しながら


「この大根みたいになりたくなかったら今すぐあの人達の悪口をやめて人となりをちゃんと見ろ」


って言われたときは殺されるんじゃないかと思ったよ」


はははっ二人の怒ったとことか初めてでめっちゃ怖かったっと途中思い出したのか涙目で笑いながら言う配達係の言葉に周りも頷いている。

クウとマトンは恥ずかしそうだ。


「五十鈴さん達が悪く言われてるのを聞いて思わず……」


「ほんとに大根みたいに潰す気はなかったぞ!」


二人がそう言うと配達係達が一斉に笑った。


「 ま、そういうことがあって俺達はあんた達を怖がる理由がなくなったってわけだ。」


仲良くしてくれやっと言いながら五十鈴達に笑いかける配達係達だった。



「そういえば五十鈴さん、もう宿は決めたんですか?」


「まだ決めてませんよ」


まだ宿は決めていない、これから探そうと思っていたところだ。


「じゃあいいとこがありますよ! 二階が宿屋で一階が喫茶店になってるとこなんですけど、亭主も誰が来ても拒みませんし。

色々なお客様が来るから、話をしたりするには最適なお店なんですよ。」


「じゃあそこに泊まりましょうか。お店の名前は何て言うんですか?」


様々な獣人達と色々喋れるのは楽しそうだ。


「ああ、ゴリラの休憩所ですよ」





クウに案内され、たどり着いたお店は大きいがレトロでお洒落な宿屋だった。


「ここですか?」


「はい、ここです。

それじゃあ五十鈴さん、私は用事があるのでもう帰りますが、何かあったら遠慮なく言ってくれていいですから」


そう言ってクウはその場から立ち去った。


「じゃあ入りますか銀月」


「はい!」


そう言って宿の扉を開くとカランっと扉についたベルがなる。喫茶店ぽいなぁっと思い足を踏み入れるとそこは……




本物のゴリラパークでした。


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― 新着の感想 ―
[一言] 配達員が脅しかけられてるところなんですが、 始めて ではなく 初めて だと思います。最初の怒りって感じですし
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