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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第一章 獣人国編
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12 睡眠はしっかりと

五十鈴の前にはピンクの豹?猫? のような獣人国主がいる。

ほんとに何の動物なんだろうか……


「私はレオパルド、獣人国主をしている。ビスはもう自己紹介を済ませているだろうから、もう一人の副官を紹介しよう、ルスホ!」


レオパルドに呼ばれ前に出てきたのは鷹顔の獣人。片方の翼が千切れて生えていない。


「ルスホと申します。よろしくお願いします」


鋭い瞳と見た目に反してとても丁寧だ。


「私は桜国主、桜木五十鈴です。こちらが副官の銀月」


「桜国主の副官、銀月と申します」


両方の挨拶が終わったのを確認してから、レオパルドが口を開く


「挨拶も終わったことだ、部屋を移動しよう。

桜木君とはゆっくり話をしてみたいと思っていたんだ」


そう言って五十鈴達を連れて会話をするには最適な広さの部屋に移動した。


テーブルを挟んで向かい合わせで座る五十鈴とレオパルド

近くで見ると余計にしまっちゃう系のおじさんに似ている。

じっと見ているとレオパルドが楽しげに頬を緩めた。


「ふふっ、なんだい? 私の顔に何かついてるかい? 」


「あ、いえ。私の知ってる書物に出てくる人物に似ているなと思って見てしまいました。申し訳ありません。」


五十鈴は誤魔化しもしないで正直に言いきった。


「そうなのかい? どんな人物なんだい」


気になると若紫色の瞳が語っている


「悪い子をしまっちゃうんです。」


そりゃもう、どんどんしまっちゃいますよっと心で呟いた五十鈴


「ほぉ、面白い人物だね」


興味深いと言いたげないい声だ。是非ともその声で「つかまえた」とか言われたい。


「書物の話も良いですが、レオパルドさん。話があるんじゃなかったんですか」


このままじゃしまっちゃう系おじさんの話になってしまうため話を逸らした五十鈴


「もう少し聞きたかったんだけど仕方ない。それと私の事はパルドと呼んでくれ桜木君」


「私も五十鈴でいいですよパルドさん。」


じゃあ、五十鈴君と呼ばせてもらうよっと言ったレオパルドは、すぅっと姿勢を正し五十鈴の瞳を真っ直ぐと見詰める


「五十鈴君は獣人をどう思う?」


「どう、とは?」


質問の意図がいまいちわからない


「獣人は君達と見た目がまるっきり違うだろ? あまり他の国には受け入れてもらえなくてね。なのに五十鈴くんはこの国に来た。だから、五十鈴君は獣人をどう思ってるのかなって」


聞いてみたくなっちゃったっと、少しお茶目に聞いてくるがその瞳は見定めるように五十鈴を写している。

少しの沈黙


「どうも思っていませんね」


けろりと答える五十鈴にレオパルドも副官二人もポカンとしている。三人とは逆に、銀月は五十鈴の回答に笑みを漏らしている


「獣人と会ったのはクウとマトンが初めてです。クウとマトンをどう思ってるか聞かれたならば良い友人であり仲間だと言えますが、すべての獣人って言われたら私は答えられません。

知らない人をいきなり連れてこられて、この人どう思う? って聞かれてもどう答えていいのか解らないのと同じです。

その場合、素敵な眉毛ですねっとしか答えられませんよ」


知り合ってもいないのに印象もなにもない、強いて言うならばモフモフ凄いなぐらいである。


五十鈴は獣人も人も種族全てを平等で見ている。見た目も力も個性だと思っているのだ。

レオパルドはポカンとしたまま五十鈴の話を聞いていたが

、次の瞬間には笑いが込み上げてきた。


「はははっそうか、どうも思ってないか。確かに私達は今日初めて会ったのだから好きも嫌いもあるわけがないな。確かにそうだ。」


そう言ってレオパルドは満足げに五十鈴を見た


「逆に銀月の事どう思います?」


五十鈴は後ろに立つ銀月を見た。銀月は狼族だ、鬼神族と共に他国から怖がられている。

レオナルドは銀月に目を向け笑った


「そうだな、私もまだ何とも思っていないよ。私は銀月君についてなにも知らない、彼が狼族だとしか知らないんだ。」


お互い知らない事ばかりだっとレオパルドは言った。五十鈴に獣人をどう思うなどと聞いたのは失礼だったと反省しながら。


「知らないならば知れば良い、だからこの国に来ました。これが理由じゃ駄目ですかね?」


「いいや、とても良い理由だ。君の答えはこの世界を(くつがえ)すかも知れないね。」


種族と種族、国と国、付かず離れずのこの世界。それを覆す答え。


「銀月君、いい主を持ったね。」


声をかけられた銀月は五十鈴に目を向けながら微笑んだ


「はい。俺達は幸福者(しあわせもの)ですよ」


そんな銀月を見て、そうかっとひと言囁いたレオパルド。

彼女の本質はとても綺麗なものだろう。それがレオパルドが出した答え。


「五十鈴君、君に頼みたいことがある。すまないがビス、ルスホ、それから銀月君。席を外してくれないか」


ビスは仕方がないとため息をはきながらルスホの腕を掴み、銀月に目を向ける


「銀月、席をはずしてください。危険はありませんから」


「……御意」


渋々だがビスと共に部屋から出ていく。最後まで捨てられた子犬みたいな顔をしてたが負けません。


「頼みとは?」


「私の耳に入る情報は偽りが多くてね……私も忙しい身だ、全てを調べるにも時間がない。もうすでに五徹目に突入したよ」


ふふふっと笑いながら遠くを見ている、かなりキているようだ


「今すぐ寝てください! 死にますよ!」


仕事中毒ですよ確実に! っと言った五十鈴は正しい


「とりあえず、五十鈴君にしてもらいたい事は一つだけだ。ただこの国を観光してくれればいい。皆の声を聞いて色々と見てきてくれ。」


何故これを言うためだけに副官達を離れさせたのか、その理由に薄々気付いていたため。なにも言わない五十鈴


「はい、色々と見させてもらいますね。」


にこりと笑って言う五十鈴を見て苦笑気味のレオパルド。

この子はもうすでに色々と気付いているんじゃないかと思えてしまう。

この国は欠陥だらけだ、人口が多いため目の行き届かないことが多くある。

その事実を民が認識してくれれば少しはこの国も変わるんだが……


「滞在期間はどれくらいだい?」


「長くて二週間ですよ」


短いようで長い


「そうか、頼んだよ五十鈴君。」


「頼まれましたよパルドさん」



頼まれましたから早く寝てください……本気で死にますよ


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