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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第一章 獣人国編
11/114

11 豹?猫?

白い羽織を揺らしながら鳥居の前に立つ五十鈴。

側には狼の姿になった銀月が居る。


「留守は頼みましたよ」


その言葉を聞いて何人かが泣いているが気にしない、寂しいなんて聞こえません。


「火花、雪音、この羽織とても着心地がいいです。気に入りました。」


「よくお似合いです主様」


「主様は何を着ても素敵です!気を付けて行ってきてくださいね。


それから兄上、主様に何かあったら食い千切りますからね!」


五十鈴と銀月の扱いの差が激しい、気弱だった雪音も凛々しくなったものだ……


「長くても二週間程で戻ります。」


そう言ってしゃがんでくれている銀月の背に乗る。

狼族の毛は掴んだり引っ張ったりしても痛くないらしいので落ちないように遠慮なく掴む。


「では主様、行きますよ」


その言葉に返事を返すと一気に景色が変わった。

すごい早さだ、降り下ろされる気しかしない。今すぐ口を(ひら)けるなら言いたいことが五十鈴にはあった。


空気抵抗爆死しろと……


このままだと死ぬ、確実に死ぬ。息が吸えるわけがない、他の異世界物とかビュンビュン乗って走ってるけど無理だろ、これ

それが今の五十鈴の素直な感想だ。それでもそんなことを顔に出さないのだからさすがと言えるだろう。


仕方ないので一か八かを試すことにした。


スキル守盾(シールド)発動、その名の通り守ってくれる透明な盾だ。大きさとか形とかも自由自在で作れる。

これを自分の周りに覆い被せるように出せば……よし、成功

空気抵抗に打ち勝った。

まぁ、このスキルは強い力で叩けば割れるため使い勝手はあまりよくないけれど、何重かにして使えば強度が上がるので便利と言えば便利だ


獣人国は桜国と一番近い国である、近いと言っても山を一つ越えなければならないからそれなりに遠い。

普通に徒歩で行く場合、一月はかかるかもしれない。

銀月の足ならば一時間もしないため、もうすでに獣人国が見えてきている。


国全体を大きく囲う塀が見える、近付くと入り口を発見。

桜国の鳥居と同じようにゲートがあるが、見た目が完璧に岩穴だ。とても大きい


五十鈴が銀月から下りるとクウとマトンが五十鈴の名を呼びながら駆け寄ってくる


「五十鈴さん! ほんとに来てくれたんですね」


とりあえずこの岩門(いわもん)をくぐってくださいと言われ、姿を人型に戻した銀月と共に足を踏み入れた。


「これで持ってる象徴が記録されました。出るときにも記録されますからね。

あと、岩門はここ以外に三つありまして、国の周りを一周する一定の合間で岩門があります。どの入り口から出入りしても良いので好きに通ってください」


クウが丁寧に説明してくれるが五十鈴には気になるものが目に入り、そちらに目がいってしまう。


活気があって様々な獣人が居る街中、兎とライオンのカップルとか歩いているし。

三匹の子ブタにしか見えないブタの子供が走っていたり気になることは様々だが、一番気になるのはこの国に足を踏み入れてから(かお)る芳しい香り

その香りが五十鈴の鼻を掠めていくのだ。


お肉の焼けるいい香り。その香りを辿ったとこに五十鈴の目を釘付けにするものがある。


ゲームや漫画、アニメに登場するあれだ……人生で一度は食べてみたいあのお肉。

肉厚でありながら柔らかそう、持ち手の骨がある優しさ

そう、


漫画肉!!


夢にまで見たフォルムがそこにある。とても美味しそうだ


この世界に来てから、畑の肉は食べていても本物のお肉はずっと食べていない。

肉とか卵も買おうか迷ったけれど、獣人国に直接行くのだから頼まなかった。

皆のためにもボックスに詰め込んで帰ろうと考えてから意識をクウに戻した五十鈴


周りの獣人達がチラチラ見てくるし銀月を少し怖がっているようだが気にしたら負けだ。

クウとマトンも気にしないスタンスで話を進めていく。


「まずはこの国の主に会っていただかないと」


「主は五十鈴さんに会うのを楽しみにしてるみたいだからな。」


「そうなんですか?」


他国の主となんて会いたくないと思われるかもしれないと考えていたために拍子抜けした五十鈴


「主は優しい方ですよ。この国を良くしたいと、いつも仕事に追われているぐらいですから。」


「忙しすぎてまだまだ問題解決までいってないことも多くあるけどな」


「獣人国は人口が多い国ですからね、仕方ありませんよ。一族も多いですし……」


「一族?」


一族とは何か気になったので聞き返した五十鈴


「例えば私なんかは鳥一族、マトンは羊一族、他にも猫一族とかゴリラ一族とか様々な一族がいます。」


ようは種類別ということだ。


「この国の主も獣人なんですか?」


「そうですよ」


「何の一族なんです?」


何の一族の何の動物なのだろうか、五十鈴は気になって聞いてみたが、五十鈴の質問に謎の沈黙がおきる


「クウさん?」


ハッとしたように意識を戻すクウ


「いや、えっと……実は解らないんです。何の一族なのか」


解らないとはどういう事だろうか


「豹一族のような猫一族のような、どちらでもないような。

獣人国の主は何の一族か、何の獣人なのか、この国の最大の謎ですからね……」


マトンはうんうんっと頷いている。

どんな姿なのだろうか、とても気になる五十鈴


「会えばわかると思いますから。」


気にしない気にしないっと言って歩きだす。


「この国には経理課と言うものがありまして、他の国からの納品物や売られる金額、買う金額等を記録している係りがあるんです。

働いてる者達も多くいますが、その全てを管理しているのが主の副官なんですよ! 凄いですよね!」


「茶葉が気に入ったって言ってた人ですか?」


「当たりです! 副官は二人いるんですけど、その片方のルスホ様です。」


少し会うのが楽しみだ。


獣人国の街中を歩きながら見ていて思ったのが、この国の服装は鎧を来ていたりローブを来ていたり、ファンタジー要素が多いような気がする。

色んな国から色々仕入れるからいろいろ盛り込んでる感じだ。

見てて面白い。


「やっとつきました、ここが主の主殿(しゅでん)です。」


岩で作った建物、良くできている。

所々に動物の彫刻が彫ってあったりと細部も綺麗な建物だ


「この中には俺達は入れないので、副官の一人が来てくれると思います」


そうクウが言うと入り口からすぅと姿を表す黒い犬のような……いや、待てっと五十鈴はじっくりと相手を見る。

予想以上に格好いい感じだったのと、五十鈴の考える服装のイメージと違うから一瞬わからなかったけれど、この姿は確実に


「主の副官、ビスと申します。」


アヌビス神やん……


「ご丁寧に……桜国が主、桜木五十鈴です。こちらは私の副官の銀月といいます」


「銀月と申します。」


よろしくお願いします。っと言いつつも相手の見た目が気になってしょうがない


「主が待っていますので、こちらへ」


そう言われ、主殿の中へ。

ビスに連れてかれ着いたのは大きな扉の前


「主よ! 桜国が主、桜木五十鈴様をお連れしました!」


ビスの声がこだまする


「入りなさい」


妙に優しい声をしている……


扉がゆっくりと開いていく。

五十鈴の目に写ったのは、ピンクの体毛、細い瞳、豹のような猫のような


「ようこそ獣人国へ、桜国が主よ。君が来るのを私は楽しみにしていたよ」



どこのしまっちゃう系おじさんですか……

知らない人、ごめんなさい。ピンクのあの見た目、好きなんです。


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