赤と青 (続くか わからない)
出会い
大きな森の木々のなかでそれを見た そう それは夢にまで見た現実世界でのドラゴンとの出会いだ
だが それは一瞬の出来事だった 空高く僕に影だけを残していったドラゴンは あっという間にどこかへ消えてしまった
ふと考えてみると果たして自分が見たドラゴンは本当にドラゴンだったのか
考えてみると確証がない それでも僕は思いたった 自分の気持ちを抑えられなかった 自然と体がドラゴンのほうに向き 走り出していた
この世界にドラゴンはいるのか?
空想上の存在を自分の目で肌で確かめたい
その一心で体を動かしていた すると森の木々の暗さもなくなり 見渡しの良い景色が見える 丘のところにまで来ていた しかしそれはいつもと変わらない丘 結局ドラゴンを見失ってしまった
僕はガッカリしていた
家に帰ろうと思い
振り返ると何かにぶつかった そこには一人の少女がいたからだ
「あなたはだれ?」
「…..」 少女は何も答えない その少女は青い髪を腰の位置まで垂らし 服装も今まで見たこともない布地のものだった
僕はその子に違和感を感じながらもとりあえず気になっていたことを聞いてみた 「少し前に空に大きなドラゴンみたいなものが飛んでいったけど君は見なかった? 」 少女はその質問に対して少し驚いているようだった
「あなたは自分が言ったことがどういう意味かわかっているの?」 少女は少し怒っているように見えた 「この世界の人間はドラゴンなんて見えないのよ なのになんであなたは見えてるの」 「そんなこと言われたって」「それに私のことだってあなたは見えている 普通はありえないわ この世界の人間に見えるわけないのに それにあんたさっきぶつかったでしょ」 「ご…ごめん」 「そんなことはもうどうでもいいわ こっちの世界を知られた人間には死んでもらうっていうのが常識なのよ まぁ 死ぬっていうより消えるって言うほうが正しいかもしれないけど あなたの存在も第三者の記憶もあなたに関する情報は全て消え去るわ」 何やら呪文みたいなものを唱え始め 少女の手が光り始めた
「ちょっと待って!!!」僕は思い切り叫んだ 「お お願いだから命だけは助けて!」
すると少女は動きを止めた
「ほ 本当に殺されなきゃだめなの? 」 「でも 秘密厳守は絶対だし」 「じゃ じゃあ僕が君の世界に連れていかれたら情報が漏れることはないよね?」 「う~ん 考えられない話ではないわね」「でもどうしよっかなぁ 君はここで死ぬ運命だったんだよぉ それをねじ曲げて助かりたいんだったら それなりの対価は必要だよね」「わかった! 連れていってもらうためにはなんだってするよ 約束する! だから」「ふ~ん じゃあ あなたに関するこの世界での情報は全て消させてもらうわね それとあなたの扱いはこっちの世界ではそれ相応の待遇になるから覚悟しといてねぇ」
彼女は満面の笑みで この状況を楽しんでいるように思えた