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神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

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45/53

「ごめん、じゃなくて ――“選んでよかった”って言わせてくれ」

俺が呼んだ名前は――


「ローゼリア」


学園祭の表彰式の中心。

光の粒が舞い落ちる舞台の真ん中で、

静かに、だけどはっきりと、俺は言った。


「最初のデートは――ローゼリアと行きたい」


その瞬間。


◆ローゼリアは息を呑み、

 胸に手を当てて膝から崩れ落ちそうになった。


◆アルティナは拳を握りしめ、

 悔し涙を流しながら笑った。


◆リュミエラ姫は唇を噛みながらも、

 ブランデーを祝福する拍手を送った。


◆ルナはこっそり目元を拭い、

 未来の変化を実感していた。


歓声の中、ローゼリアが震える足で俺に歩み寄る。


涙に濡れた笑顔で――

俺に抱きついた。


「っ……嬉しい……嬉しいです……

 わたし、報われたんですね……」


控えめで、誰より優しい彼女が

初めて自分のために泣いた。


俺はゆっくり抱き返す。


「選んでほしかっただろ?

 だから選んだ。俺も、幸せになりたいから」


ローゼリアは泣き笑いのまま言った。


「でも……他の三人が……」


「大丈夫。

 “誰かを傷つける選択”じゃなくする。

 そういう未来を俺が作る」


抱き寄せた腕に力をこめると、

ローゼリアの肩が震えた。


「ブランデー様って……ズルいです……

 優しくて、真っ直ぐで、逃げないなんて……

 そんなの……好きにならない理由ないじゃないですか……」


周囲が温かい拍手に包まれたまま、

その日は幕を閉じた。


だが――本番はここから。



【夜/初デート】


学園祭が終わったその日の夜。


ライトアップされた庭園。

噴水の水面に星が映り込む、静かな夜。


ローゼリアは白いワンピース姿。

いつもの清楚さより幼さがあって、

けれど綺麗で、反則級だった。


「緊張してます。手の震えが止まらなくて……

 その、わたし……デートなんて初めてで……」


「俺も初めてだよ。だから一緒だな」


そう言って、手を差し出した。


ローゼリアは一瞬戸惑い――

恐る恐る手を重ねた。


(ああ……手、小さくてあったかい)


歩きながら、他愛もない話をするだけで

妙に胸が苦しい。


・好きな花

・好きな授業

・苦手な食べ物

・昔の夢

・これからの夢


そのどれもが宝物みたいに感じた。


やがて、噴水前のベンチに座る。


沈黙――ではなく、安心の静けさ。


先に口を開いたのはローゼリア。


「ブランデー様……あの、ひとつだけ……

 どうして、わたしを選んでくれたんですか?」


その質問は避けられない。

ちゃんと言葉にしなきゃ逃げになる。


「ローゼリアは、俺の気持ちを尊重してくれた。

 自分の幸福より“俺の幸福”を優先してくれた」


ローゼリアの瞳が揺れる。


「俺はそんな人と――

 “幸せになっていいんだ”って思えたんだよ」


ローゼリアは口を押さえて泣き出した。


「そんな……そんな理由……反則です……

 好きになりますよ……ますます……」


彼女が俺の肩に額を預けて泣いている間、

俺はゆっくり背中を撫でた。


しばらくして――

涙が落ち着いた頃。


ローゼリアが顔を上げた。


「……キス、してもいいですか?」


俺の心臓が大きく鳴った。


ああ、そうか――

彼女はいつも“俺の気持ちを待つ側”だった。


だから今くらい俺が――先に動かないと。


俺はローゼリアの頬に触れ、

そっと近づいた。


彼女の瞳がゆっくり閉じる。


唇が触れた瞬間――


 


バァンッッ!!


 


世界が震えた。


噴水の水が光の柱になり、

夜空の星が輝きを増し、

庭中の花が一斉に咲き誇る。


ゼロの声が響く。


(マスター……確定しました)


(“恋によって世界が強化される”

 この世界の魔法法則が完全覚醒しました)


 

ローゼリアは気づいていない。

ただ、涙で濡れた笑顔で囁いた。


「……幸せです。

 わたし、今日ほど生きててよかったと思った日はありません」


その笑顔を見て――俺は確信した。


この恋は、後悔じゃない。

誰も不幸にしないと、胸を張って言える。


ローゼリアを家まで送る別れ際。

彼女が衣の裾を掴む。


「次のデートも……いいですか……?」


「もちろん。何度でも」


ローゼリアは嬉しさを堪えきれず微笑む。


だが――


その直後。


影の中から三つの気配。


・アルティナ

・リュミエラ姫

・ルナ


気配だけでわかった。


三人は泣いている――でも傷ついていない。


そして三人は同時に微笑んだ。


「次は、私がデートを勝ち取る」

「ええ。幸せを諦める気はありませんもの」

「未来はぜったい変わる。私が変えてみせる」


戦いは――まだ終わらない。


ローゼリアは震えるけど逃げなかった。


四人全員が宣戦布告のように視線を合わせる。


俺は思わず笑った。


全員が泣きながら笑うなんて、

こんな恋、映画でもゲームでも見たことない。


――だけど、ここからが本物だ。


ゼロの声が響く。


(マスター。

 “恋で世界を救う”物語が、本格的に開幕です)


(次のデート相手を決めるのは――運命ではなく、マスターです)


俺は空を見上げて深呼吸する。


さぁ来い。

世界だろうが運命だろうが、

恋に生きる俺は絶対に負けない。

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