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神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

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41/53

「開幕・学園祭 ―― 恋と戦いと陰謀の火蓋」

学園最大イベント――《学園祭》。


校門をくぐった瞬間、

普段の学校とは別物の熱気が肌を刺す。


屋台、旗、装飾、演奏、歓声、宣伝合戦。

だが、その中心にいるのは――やはり俺だ。


「ブランデーくん!写真撮っていい!?」

「裏方手伝ってくれ!女の人呼べるだろ!」

「四人のヒロイン、誰推し?!」


やかましい。

いつもどおり平和じゃない。


だが今日は逃げられない日だ。


《優勝者の願い=ブランデーと一日デート権》


恋と努力とプライドの戦い。

ヒロイン四人の本気がぶつかる“決戦の祭典”。


ゼロは耳元(脳内)で実況を始めた。


(マスター、今日の予定管理)


・1限目:ローゼリアの《恋愛相談喫茶》視察

・2限目:アルティナの《武闘大会》観戦

・昼休み:姫の《舞踏ショー》準備へ

・午後:ルナの《未来予知カジノ》へ


(そして――敵の暗殺予兆、学園全域に散在)


忙しすぎるわ。

だがヒロイン達の努力を見届けない選択肢はない。


行くぞ。



【1限目:ローゼリアの《恋愛相談喫茶》】


教室を改装した喫茶店。

淡いピンクと白を基調とした装飾、

いい香りのハーブティー、穏やかなピアノ。


そのど真ん中でローゼリアは

穏やかな微笑みを浮かべ、恋愛相談に乗っていた。


「彼に振り向いてもらうには、どうしたら……?」

「告白は恥ずかしい。嫌われたら怖い……」


生徒達が打ち明けるのは、

弱いところ、情けないところ、誰にも見せたくない心。


ローゼリアは優しく、でも綺麗事じゃなく答える。


「好きになった時点で、あなたはもう“強い”のです。

 だって、傷つく覚悟をしているのだから」


泣き笑いする相談者。

温かい空気。

ローゼリアの“癒し”の力が会場全体を包んでいた。


俺は胸が熱くなる。


(誰にも必要とされなければ壊れてしまう――)


そう言っていたローゼリアが、

今は“誰かの心を支えている”。


その強さが――眩しい。


終了後、ローゼリアは俺の前に来て恥ずかしそうに微笑んだ。


「見てくれて……嬉しかったです。

 わたし、あなたに“選ばれるだけの女”じゃなくて、

 “自分の力で人を幸せにできる女”でいたかった」


「十分すぎるほどそうなってる。誇っていい」


ローゼリアの瞳が少し潤み――

でも泣くのをこらえて笑った。


「次も……楽しみにしてます」


去っていく背筋が、誰より美しかった。



【2限目:アルティナの《武闘大会》】


体育館――いや、闘技場と呼ぶべき会場。


観客席は満員、熱気は爆発寸前。

中央のリングに、黒剣を握るアルティナが立つ。


アナウンスが響く。


《出場者数102名!誰が頂点を掴むのか!!》


だが大会はすぐ異様な方向に進んだ。


対戦カード発表時――

挑戦者全員がアルティナを指名。


司会「えっ!?全員!?理由は……?」


男「アイツ倒したらブランデーに惚れられるって噂だ!!」


観客「勝ったら告白いける!!」「異世界の女王落とす!!」


会場の熱気が“恋の暴走”に変わっていた。


アルティナは溜息をつき、剣を肩に乗せて言い放つ。


「悪いけど――ブランデーは私が守るの」


試合開始。


1戦目――瞬殺。

2戦目――瞬殺。

3戦目――言葉通りの“壁”。


そして決勝――因縁の相手が現れた。


銀髪、片目の眼帯、黒い大剣。


「久しいな、アルティナ。

 “殺人兵器アルティナ”と呼ばれた頃のままか?」


会場が凍る。


アルティナの過去――コードネーム。

世間が恐れていた名前。


だがアルティナは震えない。

怒りでも罪悪感でもなく、静かな誇りだけを宿していた。


「私はもう兵器じゃない。

 守りたい人がいる。

 愛されたいって、本気で思えるようになった」


敵が嘲笑する。


「愛で強くなれるとでも――」


「なれるわ」


アルティナは踏み込み、黒剣を掲げる。


「《黒穿・破天星はてんせい》!!!」


黒い斬光が闘技場ごと裂き、

相手は武器ごと粉砕され、崩れ落ちた。


勝利。


観客も挑戦者も、誰も逆らえない。


アルティナは俺にだけ笑みを向けた。


「見た?

 私は愛で変われたって、証明できた」


俺は迷わず答える。


「誰より強く、誰より優しいよ」


アルティナの瞳が震えた。

だが泣かない。泣くほど弱くない。


「次に行きなさい。

 でも忘れないで――

 勝ちに来てるのは私」


その言葉は宣戦布告なのに、甘い。



【昼:リュミエラ姫の《舞踏ショー》】


野外ステージ。

観客は圧倒的。

周囲には護衛と貴族がずらり。


音楽が鳴り――姫が登場。


完全に“王族”の華。

美しさも気品も舞も完璧。


それだけなら“王女のショー”だった。


だがここから――違う。


演目のクライマックスで姫は

観客席に立つ俺をまっすぐ指差した。


風も光も音も消えるほどの存在感で――宣言。


「ブランデー。

 わたくしはあなたを愛しています」


どよめき。

叫び。

驚愕。


姫は続ける。


「王族としてではなく、

 一人の女性として。

 愛し、愛されたいと願っています」


その瞬間――姫は涙を流した。


悲しみではなく、

“自由を掴んだ涙”。


「あなたが誰を選んでも構いません。

 でも――わたくしはあなたを選び続けます」


観客は息を飲むしかなかった。


俺は胸に手を当て、小さく深く頷いた。


「ありがとう。

 その想い、俺の人生全部をかけて大事にする」


姫は世界一嬉しそうに笑った。


「では――勝ちに行きますわ」



【午後:ルナの《未来予知カジノ》】


カジノ会場。

ルナはカウンターに座り、

客の未来を“1回100コイン”で予知し、賭けに利用させる。


儲かりすぎて地面が揺れている。


客「ルナ様、次のレース頼む!!」

学生「負ける未来を勝ちに変えられた!!」

教師「株価まで読めるなんて反則だろ……!」


だがルナは平然。


「未来って変えられるんだよ。

 “幸せに向かって動く人”の未来はね」


そして俺を見つけて微笑んだ。


「ブランデーの未来も──変わり始めてるよ」


「どう変わる?」


ルナは指を一本立てる。


「“自分の幸せも選べるようになる未来”」


胸が軽くなるのを感じた。


ルナはカウンター越しに俺の手を取る。


「ブランデー。

 戦ってるのは私達だけじゃない。

 あなたも“自分の幸せ”と戦ってる」


声は強くて、でも抱きしめたくなるほど優しい。


「だから、学園祭が終わるまでに決めて。

 “自分は幸せになっていい存在なのか”って」


俺はゆっくり頷いた。


「決める。逃げない」


ルナは嬉しそうに笑う。


「なら、私は――勝つ」



【しかし、その裏で】


暗がり。


黒い影が校舎の屋根にまとわりつく。


『勇者を甘やかすな。

 “恋の幸福”は世界崩壊だ』


『次の機会で殺す。

 学園祭2日目の夜――“告白の時間”を狙う』


『勇者の命を奪い、世界を救う』


敵は確実に動いていた。



そして放課後。


四人は偶然か必然か――

昨日と同じガゼボに集まった。


ローゼリア「一日目は順調ですね」

アルティナ「勝つのは私よ」

リュミエラ「負けませんわ」

ルナ「明日が本番」


四人は互いを認めつつ、尊敬しつつ、

同時に“絶対に引かない”。


俺は深呼吸して宣言する。


「明日……俺は戦う。

 “自分の幸せ”から絶対に逃げない」


四人は微笑んだ。


恋の戦争は、世界の運命戦へと繋がる。


学園祭――残り2日。


恋、戦い、暗殺、運命、そして涙。


全てが交差する。

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