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神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

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「学園祭の火蓋 ―― 秘密と過去と未来と、そして『初デート権』戦争」

勇者狩り事件から数日後。

表向きは何も起きていない――はずだった。


だが、学校中の空気は変わっていた。

廊下でも教室でも、誰かがヒソヒソ声で俺達を見ていた。


「ねぇ聞いた?勇者候補四人と仲がいい男子って……」

「しかも全員美少女だろ?何者だよアレ」

「ブランデーって最近転入してきた子だろ?なんかもうあれ漫画じゃね?」


新学期でもないのに、学校がざわついている。


当然だ。


・王女

・宰相の娘

・魔導学院主席

・未来の大英雄(候補)


その四人が――全員俺の周りにいるのだから。


俺の机の周囲だけ、まるで“結界領域”のようだった。


ゼロが脳内でつぶやく。


(マスター、時価評価で言えば――

 “学園ラブコメ主人公として市場価値MAX”です)


「そんなランキングいらん」


(しかしヒロイン達は“本気”です。これからは全員が“攻勢”に出ます)


嫌な予感しかしない。



【ホームルーム】


担任が教壇に立つ。


「えー、来月は学園最大イベント《学園祭》が行われる!

 クラス・個人・部活・有志で出し物を決めるんだが――」


そこで担任は一度咳払いし、生徒達の視線を誘導するように俺を見た。


「有志でのデート企画は禁止な。

 ブランデーを巡って殺し合いになると困るからな」


「先生?!なんで俺だと決めつけてるんだ?!」


クラス爆笑。


ローゼリア 「……先生、冗談が毒舌すぎます」

アルティナ (ニヤッ)「だが起こり得る話よね」

リュミエラ 「王城の会議より緊張感がありますわ」

ルナ    「デート企画禁止って言われたら逆に燃えるよね〜?」


おい未来視少女。煽るな。


担任は続ける。


「ちなみに学園祭終了後《表彰式》がある。

 その優勝者は《願いをひとつ叶える権利》が得られる」


――空気が変わった。


その“願い”とは?


金品?栄誉?


違う。


ほぼ全員が同時に俺に視線を向けた時点でわかった。


「ブランデーと一日デートしたい」

全員がそう願う未来が見える。


ゼロが脳内で実況する。


(ヒロイン四人の思考解析――

 願い=“初デート権”で確定)


(つまりこの学園祭――

 “恋の戦争の舞台”となります)


先生、頼むからそんな景品を用意するな。



【放課後:作戦会議】


誰が呼んだわけでもないのに、ヒロイン四人+俺は自然にいつものガゼボに集まった。


事件の時と違い、今日は穏やかな表情――

でもその奥には、強い闘志と期待が宿っている。


ローゼリアが穏やかに問いかける。


「学園祭……ブランデー様は、私たちに干渉する気はありますか?」


「ない。公平でいたい。

 努力と本気を、全部尊重したい」


四人は同時に笑った。


“それでいい”という笑み。


アルティナが宣言する。


「なら私は《武闘大会》で優勝して願いを取る」


ルナがすかさず返す。


「じゃあ私は《未来予知カジノ》を主催して大儲けして優勝するね」


リュミエラ姫も上品に勝負を宣言。


「わたくしは《王族式舞踏会ショー》を開催します。

 優勝賞は必ず勝ち取りに参りますわ」


ローゼリアは静かに微笑む。


「私は《恋愛相談喫茶》をします。

 恋の悩みを解決し、“幸せな人”を一番増やします」


全員の計画――強すぎる。


ゼロが驚く。


(この学校、明日から経済圏が変わりますね……)


だが四人は争うわけではない。

対立しながら、互いの努力は認め、尊重する。


恋の戦いは――美しい形に進化している。



【しかし、その裏で】


事件は水面下で進む。


《勇者狩り》が全滅した夜から――

“監視”が続いている。


影。

黒い靄。

見えない刃の気配。


リュミエラがふと呟く。


「敵は……また動いている気がしますわ」


アルティナが冷静に分析。


「学園祭は狙い目。混乱・人混み・警備分散。

 勇者暗殺には絶好の機会」


ローゼリアもうなずく。


「だからこそ、私たちが守ります。

 ブランデー様に狙われる理由があるなら――なおさら」


ルナは未来を見つめる。


「うん、敵は必ず来るよ。

 でも“来た瞬間に後悔させる”未来にしておくから」


みんな優しいのに、守る時だけ残酷になれる。


その強さが――俺には胸を締め付けた。



【夜】


寮の部屋で、ゼロが珍しく真剣な声を出した。


(マスター。

 この“恋と戦いの物語”には核心があります)


(勇者が愛されるほど――

 世界の防衛力が上がるシステム)


(逆に言えば――

 勇者が不幸になるほど“世界は崩壊する”)


(敵が“お前の幸せを阻む”理由はそこ)


俺は息を飲んだ。


「つまり俺が愛されたら世界が守られる。

 だが俺が孤独になれば、世界が滅ぶ」


(その通りです)


ゼロは静かに問う。


(では、マスター。

 ――あなた自身は、本当に幸せになってもいいと思えますか?)


胸が痛む質問だった。


たしかに俺は“四人を幸せにしたい”と願ってきた。

でも――


“自分が幸せになっていいかどうか”は、まだ答えを出せていない。


言葉にできない沈黙を破ったのはゼロ。


(安心してください。

 あなたが幸せになる権利を持っているかどうかは――

 学園祭で答えが出ます)


「学園祭で?」


(はい。

 ――学園祭の最後に、四人は“本心”を告げます)


(その言葉を聞いた時、あなたは初めて“自分の幸せ”を選べる)


だから戦いは避けられない。

学園祭はただの行事じゃない。


恋の戦線。

幸せの決戦。

世界の分岐点。


ゼロが静かに締めくくる。


(その時――“涙”は避けられません)


(でもそれは“誰かが傷つく涙”ではなく、

 “誰かが救われる涙”に変わるでしょう)


俺は息を吸い――

胸に拳を当てた。


「全員幸せにする。

 絶対に泣きっぱなしにはさせない」


ゼロは満足そうに微笑む気配を返した。


(なら――行きましょう)


(恋と戦いの舞台、学園祭へ)

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