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神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

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39/53

「恋と戦いは両立する。守るために戦う――勇者陣営、初陣」

ガゼボを包囲する黒装束の集団。

十数名ではあるが、全員が異常な気配を放っていた。


ゼロが即座に解析する。


(マスター、全員がS〜SSS級。

 “勇者殺し専用の対勇者戦闘スキル”を所持)


(……油断したら殺されます)


四人のヒロインが同時に前へ出た。


ローゼリアの瞳――淡いピンクが強い光を帯びる。


「手を出すなら……覚悟して下さい。

 これは恋の戦いではなく、“守る戦い”です」


アルティナは黒剣を抜き、低く構える。


「斬るよ。

 ブランデーを傷つけるために現れたなら容赦しない」


リュミエラ姫は魔力で髪飾りを起動し、淡く輝く魔法陣を展開。


「王城とは違い、今日は“姫”ではなく“女”。

 恋人候補を殺しにくる敵は敵。容赦しませんわ」


ルナは微笑を保ったまま、影のように姿勢を低くし――


「未来視の結果だけ教えるね。

 ――勝率100%。負ける未来は存在しない」


その瞬間、勇者狩りのリーダーが叫んだ。


「四人まとめて殺せ!

 勇者は“守りたいものがあるほど弱くなる”!!」


――違う。


“守りたいものがあるほど人は強くなる”。


俺が口を開く前に――ヒロイン達が動いた。



【ヒロイン無双開幕】


■アルティナ


最初に飛び出したのは黒剣の少女。


「――《黒穿・虚影連鎖》」


剣が一度だけ振られた。

ただそれだけ。なのに――敵十名の剣が次々と砕け散る。


弾けた斬撃の痕跡が数秒遅れで発生し、

敵達の胸部・腕部・足を正確に切り裂き、戦闘不能に。


アルティナは剣先を落とし、低く呟いた。


「……次斬るときは命までいくよ」


リーダー格が震えた。


■ローゼリア


敵後衛が追加魔術を重ねる。


「《拘束陣・六芒封魔!!》

 《精神断罪・勇者妄執!!》」


ローゼリアが静かに右手を前へ。


「――《境界結界・願花ねがいばな》」


淡い桜色の結界が咲いた。


その内側では――全攻撃が“花弁に変わる”。


剣も、呪いも、精神攻撃も、爆発魔術も。

全て淡い花弁となって散り、香りに変わる。


ローゼリアは優しく微笑んだまま。


「ごめんなさい……誰も傷つけたくなかったのに。

 でも、これは“奪ってくる人を拒絶する魔法”なんです」


敵は一歩も触れられない。


■リュミエラ姫


残る前衛が突撃。

だが――姫は逃げない。微笑むだけ。


ドレスが揺れ、魔力が波打つ。


「――《王命おうめい・権能解放》」


光が収束し、姿が変わる。


王女 → “戦乙女”


純白と群青の鎧、宝石の槍。

その存在自体が戦場の秩序となる。


「王族の恋は義務じゃありません――“選択”ですわ」


刺す。

突き放すような冷酷ではなく、

“守りたいから倒す”という迷いのない一撃。


敵は全員――昏倒。


■ルナ


最後の敵が影に潜り、暗殺を狙う。


――消えた。

だが、ルナは微笑んだまま振り向く。


「未来の情報、返してあげる」


靴が一回だけ鳴る――“コツ”。


それだけで、暗殺者は地面に叩きつけられていた。


「《時制逆転》――君が攻撃してきた未来を“過去に流して消した”だけ」


敵は完全沈黙。



十数秒。


それだけで勇者狩りは全滅した。


恋のため、守るため、譲らないため。

その感情が全員を最強にした。


リーダーだけが辛うじて動けていた。

震えながら、俺に刃を向ける。


「テ、テメェさえいなければ……

 この四人は争わずに済むんだよ!!

 お前がいるから――世界が狂うんだ!!」


俺はゆっくり歩み寄り、刃先を指で止めた。


「俺のせいじゃない。

 “俺を愛した四人の想い”が原因だ」


剣は粉々に砕けた。


「そこに俺の意思もある――全員を守りたい。

 一人も泣かせない。

 その覚悟を笑うなら、世界の方が間違ってる」


その瞬間――


胸が熱く燃えた。


ゼロが叫ぶ。


(解放反応ッッ!!

 ブランデーの新能力発動!!!)


視界が白く染まる。



【新能力解放】


恋心共鳴エンゲージ・シンク

――愛する人の感情を“力”に変換する権能。


四人の恋が、俺の力へ。


俺の力が、四人の守りへ。


関係が深くなれば強くなる。

傷つけば弱くなる。

だからこそ――大切にすべき力。


ゼロが告げる。


(この世界の“勇者システム”の真の姿――

 “愛の強さが、世界の強さを決める”)


(四人を愛するほど――この世界は救われる)


敵は震え崩れた。


「そんな……ふざけるな……!

 愛で世界が救われるわけねぇだろ……!!」


俺は静かに言った。


「救われるよ。

 だって、今ここに――

 誰かのために命を張れる四人がいる」


敵はその言葉で心が折れたように沈黙した。


戦いは終わった。


だが、四人はまだ戦場の息をしていた。

魔力も体力も削られている。


俺は一人ひとりの手を取り――言葉を置く。


「ありがとう。

 守ってくれて、本気でぶつかってくれて。

 俺は、四人の想いなしじゃ生きていけない」


言った瞬間――


四人は同時に泣いた。


嬉しさ、安堵、誇り、苦しさ、希望。

全部を抱えた涙だった。


ルナ「泣かせないって言ったのに……バカ……」

アルティナ「……泣かせるんじゃない……っ」

ローゼリア「胸が苦しいのに……幸せすぎて……」

リュミエラ「こういう涙なら……いいですわね……」


俺は全員を抱き寄せた。


「泣いていい。

 でもこの涙は“幸せの涙”に変えていく。

 必ずそうする」


その瞬間――四人は笑って泣いた。


“世界の戦争”より先に

“恋の幸せ”を勝ち取ると誓う涙だった。



だがゼロが告げる。


(マスター。

 勇者狩りは“始まりにすぎません”)


(次は――魔王軍。

 そして“神々の思惑”)


(この恋は世界を揺るがす)


俺は答える。


「世界が敵でも、守る。

 恋を、四人を、俺の幸せを」


四人は微笑みながら口をそろえて言った。


「――では私たちも、生涯あなたを守ります」


今、陣営が完成した。

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