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神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

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38/53

「告白戦争・四者会談。涙と嫉妬と弱さ、そして“本音”」

次の日の放課後。


ゼロの予測どおり――

事件の予兆ははっきりと現れた。


学園内の大きなガゼボ(屋根付きテラス)に、

四人のヒロインから同時に呼び出されたのだ。


ローゼリア

アルティナ

リュミエラ

ルナ


全員から。


逃げられない。避けられない。

ここでついに――感情が正面衝突する。


ガゼボに入ると、四人は円形のテーブルを囲んで座っていた。

空気は何度も凍って溶けて、また凍りついたような張り詰め方。


俺が座った瞬間――

ルナが柔らかく笑いながら切り出した。


「今日は“喧嘩”じゃなくて“話し合い”だよ。

 でも遠慮とか配慮とか嘘とかは禁止ね。

 全部“本音”で言う会」


優しそうな声なのに、宣戦布告そのもの。


ローゼリアが続く。


「涙でごまかしたり、引き下がったりしません。

 本当に勝ちたいから、逃げません」


アルティナは腕を組みながら。


「弱さも強さも全部出すわ。

 その上で“奪う”」


リュミエラ姫は上品に微笑んだまま。


「今日は恋敵として向き合いましょう。

 王族の仮面ではなく、“恋する女”として」


四人の瞳は真剣で――恐ろしいほどまっすぐ。


ゼロが脳内で囁く。


(マスター。

 “介入しない”“遮らない”“否定しない”――それが鉄則です)


(今日は“ヒロイン達自身でぶつかり合う日”なのです)


俺は頷き、見守る覚悟を決めた。



最初に立ち上がったのは――ローゼリア。


涙を含んだ優しい微笑で、だが逃げずに言う。


「わたしは弱いです。

 臆病で、誰かに必要とされていないと壊れてしまう。

 でも……ブランデー様に愛されたくて、生きていたい。

 だから譲りません。

 “幸せになりたい”って願ってしまう私を……バカにしないで下さい」


震えても泣かず、まっすぐ。


その想いを受けて――


アルティナがゆっくり立つ。


「私は逆。

 弱さを見せたら捨てられるって思ってた。

 完璧じゃないと生きる価値がないって、ずっと自分を追い込んできた。

 だから……“大切にされたい”なんて言えなかった」


俯き、拳を握る。


「でも本当はずっと欲しかったのよ。

 “愛されたい”って」


その告白に、ローゼリアの瞳が揺れた。



次に――リュミエラ姫。


深呼吸してから、静かに微笑む。


「わたくしは愛を知らずに育ちました。

 “国のための道具”として生きてきました。

 でもあなたを好きになって、初めて“自分のために生きたい”と思った。

 その幸福を手放す気はありません。

 どんなに醜く、幼く、必死でも……負けませんわ」


完璧な淑女ではなく――恋する少女の声だった。



最後にルナ。


軽い口調のまま、言葉だけが鋭かった。


「私は未来の“勝者”だよ。

 でもそれを鼻にかける気はない。

 だって未来の夫が、今もう一度恋してるんだもん」


声が震える。


「未来で勝ったからって、今勝てる保証なんてない。

 今のブランデー様は“全員を選びたい”って思ってる。

 なら――未来の妻のわたしだって、本気で奪いにいく」


四人とも泣かない。

怒鳴らない。

罵らない。


その代わり――

胸の奥を切り開くように、全部ぶつけた。


戦いじゃなかった。

感情の開示。

“恋する権利”の宣言だった。



そして、全員が一斉に俺を見る。


ローゼリア

アルティナ

リュミエラ

ルナ


四方向から視線が刺さる。


沈黙。


だが俺は逃げなかった。


「……聞かせてくれてありがとう。

 本音をぶつけてくれてありがとう。

 奪い合いも、嫉妬も、全部本気だってわかった」


喉が痛い。胸が熱い。

でも止めない。


「正直に言う。

 “誰か一人を選べ”と言われたら――苦しくて死ぬと思う」


四人の目が揺れる。


「だって……全員好きなんだよ」


その言葉は、恋の告白でも優しさでもない。

“苦しさの告白”だった。


「誰かを選ぶってことは、誰かを捨てるってことだろ?

 そんな選び方、俺は絶対にしたくない。

 俺は――全員を守りたい。

 全員幸せにしたい。

 一人も泣かせたくない。

 離れたいわけがない。

 今の気持ちに嘘つきたくない」


沈黙。

でも拒否も怒りもなかった。


全員が――涙をこらえながら笑っていた。


ローゼリア

「はい……それでいいんです。

 誰か一人だけを選ばないでください。

 私も“選ばれるだけの女”になりません」


アルティナ

「勝ちに行くわ。諦めない。

 でも、それは“誰かを傷つけて勝つ”んじゃなく――

 “幸せな形で勝つ”」


リュミエラ

「選ばれない可能性があっても、戦い続けます。

 だって、わたくしの恋ですもの」


ルナ

「未来がどうとかじゃなくて、今を勝ち取る。

 今のわたし達の恋が本物なら、未来は変わるんだよ」


四人は敵同士。

でも互いを認め合った。


“全員が本気だからぶつかる”


その理解が生まれた瞬間――

ガゼボの空気が温かく変わった。



だが――

そこで終わらないのがこの世界。


空気が揺れ、ゼロが警告する。


(マスター――警戒)


ガゼボの外に、異様な魔力。


次の瞬間、空間が裂けた。


縦に、横に、雷のように。


裂け目の向こうから声が響いた。


『やっと見つけた――“勇者の心臓”』


影の軍勢。

黒いマント、仮面、槍、剣。


十数名の黒装束の集団が姿を現し、

四人のヒロインを囲むように降り立つ。


そしてリーダー格が剣を抜いて宣言。


『勇者ブランデー。

 “お前が幸せになる限り”世界は崩壊する。

 だから――殺す』


四人のヒロインが即座に俺の前に立つ。


ローゼリア「絶対に触れさせません」

アルティナ「殺しに来たなら殺される覚悟して」

姫「王族の敵は国家を敵に回す覚悟を」

ルナ「未来視してるなら教えてあげよっか?――“負ける未来なんてない”よ」


俺は一歩前へ出る。


「お前ら全員――

 俺の幸せの邪魔は絶対に許さない」


敵は震えた。


“勇者の覚悟”が、空気を圧倒していた。

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