「日常すべて戦場。誘惑・同盟・裏切り、そして帰宅ルートは甘すぎる地獄」
黒鎧事件。王城会議。新婚約候補ルナ参戦。
その影響は、学園の日常をぶっ壊す勢いで広がっていった。
いや、平和?そんなものは消滅した。
ここから日常の風景を紹介しよう。
◇
【朝 → 寮の玄関が戦場】
俺が寮から出るたびに待ち構えるヒロインたち。
ローゼリア「お弁当作ってきました♡」
アルティナ「迎えにきたの。さ、行くわよ」
リュミエラ姫「手を繋ぐのは教育上問題ありませんわ」
ルナ「あ、じゃあ私は腕を組みます♪未来ではいつもくっついてたし♡」
いや朝から密着戦争はやめろ!?
完璧に視線が痛いッ……!
女子生徒たち
「勇者ブランデー……羨ましいのか地獄なのか判断できない」
「あの子達の誰が勝っても国が動く未来が見える」
男子生徒たち
「幸せそうで羨ましい……でも死と隣り合わせだな」
「恋で世界滅びるって噂マジ?」
※噂ほぼ事実ですやめて。
◇
【授業 → 教室の空気が氷点下と常春で混ざる】
先生「さあこの数式を――」
バッ!!
ローゼリア → 耳元で優しく囁く
「ブランデー様、わからなかったら私が全部教えますね?」
アルティナ → 反対の耳で冷ややかに囁く
「必要ないわ。私が個人授業してあげる」
リュミエラ姫 → 微笑みながらノートを渡す
「“聖女・氷姫の両側独占”は授業妨害ですわ。
私は“真ん中”でサポートいたします」
ルナ → 無言で膝の上に座ろうとする
「未来ではこれ普通だったよ?照れなくていいよ?」
先生
「授業……授業させて……!!」
机に涙が落ちてる。
◇
【学食 → 地獄の席取りゲーム】
俺が席に座ると、料理が四方向から次々置かれる。
ローゼリア「栄養管理ばっちりの健康食です♡」
アルティナ「高カロリーでスタミナが出る料理よ」
リュミエラ姫「貴族の最高級フルコースですわ」
ルナ「未来で好きだった味♡」
そして全員が同時に言う。
「――“一番美味しい”って言わせてみせます」
いや胃袋のキャパ一つしかないんだよ!?!?
男子
「学食が戦争会場になってる」
「勇者は胃袋で殺されるのか……?」
◇
【放課後 → 訓練場が恋の戦闘力マウント会場】
ローゼリア:
「ご主人様を守るのはわたしです!
“癒し”も“防御”も“補助”も全部できます!」
アルティナ:
「守るだけ?違うわよ。
私は“共に戦う女”よ。背中を預けられるのは私だけ」
リュミエラ姫:
「王族はただ守られませんわ。
“家ごと力になる”のが私です。国家単位で支えます」
ルナ:
「みんなすごいね♪
でも未来では“全員が役に立った”よ?
だから安心して争っていいんだよ♡」
※ルナの発言、火種を永久供給し続けている疑惑
訓練場の地面:穴だらけ
観客席:カップ麺食べながら観戦する奴まで出現
◇
だが――今日の放課後はひと味違った。
「ブランデー様。
その……今日は“誰と帰る”か決めてもらえませんか?」
ローゼリアがほほを赤らめて尋ねてきた。
「えっ!?今日!?選ぶ!?」
そこへアルティナが肩を寄せる。
「逃げは許さないわよ?」
リュミエラ姫は優雅に微笑む。
「本日の“帰宅ルート争奪戦”。
場所はすでに準備していますわ」
ルナは手を組んで楽しそう。
「勝者は“帰り道を独占”だよ♡」
やめて!日常をイベント化するのをやめて!
でも選ばないと終わらない。
逃げても追いかけてくる。
拒否すれば泣かせる。
俺は深呼吸して言った。
「じゃあ――今日は順番の公平性で決める」
四人が息を飲む中、俺は続けた。
「最初は……ローゼリア。
俺の“初めての感情の変化”は、君がくれたから」
ローゼリアの瞳が大きく揺れた。
沈黙のあと――
「っ……!!嬉しい……!!!」
その瞬間、他三人の空気が殺気MAXになったが
ローゼリアを泣かせないために今日は譲った。
◇
【帰宅ルート:ローゼリア】
夕焼け。
校門から寮への一本道。
二人きりで歩くと、ローゼリアは照れて前を向いたまま。
「……今日わたし選ばれたの、夢みたいです」
「いや、選んだのは嘘じゃないよ」
足が止まる。
ローゼリアは勇気を振り絞って、
俺の服をぎゅっと掴んだ。
「……ねぇ、ブランデー様は“好き”って、どういう気持ちだと思いますか?」
突然の質問。
でも迷わず答えた。
「“一緒にいたいと思う”感情じゃないか」
ローゼリアは小さく笑い、涙が光る。
「そうなんですね……
だったら……私は間違いなく恋です」
俺の胸に顔を埋めながら呟く。
「幸せで……苦しくて……嬉しくて……怖い。
全部あなたのせいです。
全部あなたのおかげです。
私は――あなたが好きです」
心臓が痛いほど熱くなった。
戦いでも魔法でも何でも勝てるのに
少女一人の感情には勝てない。
でも負けてもいいと思った。
俺はそっとローゼリアの頭を撫でた。
「ありがとう。
俺も――大事だよ」
それ以上は言わない。
言えない。
言ったら崩れる。
ローゼリアは泣きながら笑った。
「“大事”のままでいいです。
焦らないです。
ずっと……隣にいたいです」
その想いが嬉しくて、胸が熱くて、泣きそうで――
そのまま寮の門で別れた。
ローゼリアは去り際、小さく振り返って笑った。
「明日は勝ちません。
明日も絶対勝ちますので♡」
死ぬほど可愛いのやめろ。
◇
部屋に戻った瞬間、ゼロが静かに告げた。
(マスター。報告があります)
(本日、ヒロインの“幸福値”の上昇が確認されました)
(しかし同時に――
他三名の“嫉妬値”と“恋情圧”が急上昇しています)
つまり――
ローゼリアを幸せにすると
他三人は危険になる。
一人でも崩れれば
世界が崩れる。
(マスター。
明日は誰と帰るつもりですか?)
――選ばなきゃいけない。
逃げられない。
でも諦めない。
俺は迷わず答えた。
「明日はアルティナ。
順番もあるけど――あいつの不器用な心も守りたい」
ゼロは静かに笑う。
(了解です。“恋の救済”は明日も続きます)
そして俺は誓った。
「誰も諦めない。誰も泣かせない。
“全員を幸せにして世界を救う”。
その道を俺が作る」
ゼロは言った。
(マスター。
あなたは本当に“最悪で最高の男”ですね)
……それでもいい。
守りたいものがあるから。




