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神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

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34/53

「学園再開。宣戦布告の朝。そして予想外の婚約者、乱入」

王城会議から一週間後。

黒鎧事件の衝撃も――表向きは落ち着いた。


だが、学園に戻ってみれば状況は完全に変わっていた。


廊下を歩けば視線が集中。

中庭に出ればささやき声が止まらない。


「勇者ブランデーって……本当にヒロイン三人から狙われてるらしい」

「聖女派?氷姫派?それとも王女派?」

「いやいや主人公本人はどう思ってるんだ!?」


俺の名前を賭けた投票所までできてる。

やめろ文化祭じゃないんだぞ。


そして――

運命の“学園再開1日目の朝”

俺は登校してすぐに悟った。


恋愛戦争、開戦。



教室の扉を開けた瞬間――

三つの視線が同時に刺さる。


・ローゼリア(席の横でニコニコ)

・アルティナ(後方で腕組み)

・リュミエラ姫(窓際で優雅にお茶)


いや怖い怖い怖い。

三人が同じ教室に収まるな危険物同士みたいだろう。


雰囲気は完全に戦場。

ただし笑顔のまま戦場。


俺が座る前に、ローゼリアが椅子を引いて自然に言う。


「ブランデー様、今日のお昼ご一緒しませんか?

 神殿から取り寄せた特級スイーツがあるんです♪」


そこでアルティナが笑顔のまま刺す。


「へえ……スイーツで釣るの?

 ブランデーは甘いものより刺激を求めるタイプよ」


そして隣から姫が上品に追撃。


「そうやって“相手の好みを決めつける”のは……マイナスポイントですわ。

 人は物で釣るのではなく、寄り添うものでしょう?」


会話は柔らかく、声色は優しい。


でも殺意は満タン。


俺はモテたいと思ったことはあったが、

命の危険を感じるモテ方は望んでない。


教師が入ってきて授業が始まっても、

視線と火花と殺気の空気の三重奏。


先生すら震えてチョーク落とした。



そして昼休み。

宣戦布告タイムが始まる。


誰も譲らないことは明らかだった。


先に動いたのはアルティナ。


「今日の昼はブランデーと二人で食べるわ」


ローゼリアが即座に返す。


「順番では今日わたしです。

 譲りません」


姫も微笑む。


「ここは“公平”に決めるべきですわ。

 三人で話し合いましょう?」


三人は綺麗に笑っているが、

背後の魔力は核爆弾レベル。


空気がおかしいので俺が口を開きかけた瞬間――


ガラッ!!


再び教室の扉が開いた。


「失礼しまーす!探しましたブランデー様!」


――見たことがない少女。


ふわっとした白銀の髪、琥珀色の瞳。

背丈は小柄で可憐だが、身のこなしは冒険者らしい。

肩書きが似合うというより、存在が目を奪うタイプ。


俺達を見つけると満面の笑み。


そして――爆弾を落とす。


「今日からこの学園に転入します!

 ブランデー様の婚約者、ルナ・エヴァーライトです!

 よろしくお願いしまーす!」


教室が凍りついた。


笑った声も、ざわめきも、突っ込みも出ない。


最後に動いたのは――ヒロイン三人。


ローゼリアが笑顔のまま。


「……え?ブランデー様の婚約者?

 聞いたことありませんね?」


アルティナも笑顔。


「書類ある?証人は?

 どの国?どの家系?

 はい、全部提出してもらいましょう」


リュミエラ姫は微笑を崩さず致命打。


「ブランデー様が“政治目的の婚約”を拒否しているのを

 ご存知の上で名乗っているのですか?」


三人の圧に教室の机が震える。


だが――新少女ルナは物怖じしない。


「ご心配なく!

 政治でも神託でも契約でもありません!」


胸を張って、宣言。


「私は“未来のブランデー様の妻”が

 タイムスリップしてきた存在です☆」


――会場が死んだ。


俺の思考も死にかけた。


ローゼリアが震える声で小さく問う。


「未来……ですか……?」


ルナは頷き、俺の手をぎゅっと握る。


「大丈夫。未来ではちゃんと幸せになってたよ?

 だから今も幸せにしてあげるために来たんだよ?」


……可愛い。

けど怖い。

愛が重い。

破壊力が高い。


そして追撃。


「あ、ちなみに未来では

 ブランデー様は“全員を幸せにした”末に……」


全員が息をのむ。


「世界最強のハーレム王になってました☆」


ローゼリア→顔真っ赤

アルティナ→口が引きつる

リュミエラ姫→頬を押さえて震える


混乱の極致の中――

ルナは俺に抱きつきながら笑った。


「だから私も正式に参加しに来たの!

 ――恋愛戦争にね♡」


クラスの全員が精神崩壊寸前。

机に祈る者、鼻血を出す者、地面に膝をつく者。


すべてが混沌渦巻く中、

ゼロが静かに囁く。


(マスター。

 世界の崩壊条件――“恋情の飽和”が加速しました)


(ヒロイン四人が揃った瞬間から、

 世界の魔力安定値が下降を始めています)


(このままいくと――約一年で世界が崩壊します)


俺の背中に冷汗が流れる。


(回避条件は一つ)


(ヒロイン全員の“心の幸福値”を一定以上に保つこと)


(つまり――

 “誰も傷つけず、誰も捨てず、全員を幸せにする”こと)


難易度、魔王討伐の6000倍。


ルナは俺の手を握ったまま微笑んだ。


「大丈夫。未来のあなたはできてたよ」


未来の――俺。


だが今の俺は言い切れる。


「未来がどうとか関係ない。

 俺が選ぶのは――今のみんなだ」


四人の心を壊さない。

誰も泣かせない。

誰も置いていかない。


これは恋愛なんかじゃない。

もう戦争でもない。


命を賭けた幸福のゲーム。


俺は宣言した。


「全員――幸せにする。

 倒れても、失敗しても、世界が壊れかけても関係ない。

 俺が――守り切る」


ローゼリアは涙を浮かべて微笑む。


「はい……信じてます」


アルティナは挑戦者の笑み。


「なら私は全力で奪いに行くわ。覚悟して」


リュミエラ姫は胸に手を当て震えながら。


「恋をする権利を……ありがとうございます」


ルナは俺の腕に頬を寄せて。


「うん。未来に負けないくらい、素敵な今にしよ?」


――戦いのゴングは鳴った。


世界で一番難しいボスは“恋”。

 世界を救う鍵は“幸福”。


俺は心の底から決意する。


「世界で一番強くて、優しくて、格好いい男になってやる」


四人のヒロインが同時に笑う。

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