表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/53

「王城会議。新たな婚約候補、そして“ヒロイン戦争”開戦」

黒鎧の襲撃から、三日後。


学園祭は中止にならず、逆に伝説級イベントとして歴史に刻まれたらしい。

……ありがたいのか迷惑なのか判断が難しい。


だが俺にとって問題なのはそこじゃなく――


国王からの直々の呼び出し

である。


理由:黒鎧事件の詳細報告

そしてもう一つ――

「勇者ブランデーの今後の扱いについて」


“扱い”って響き、不穏でしかない。



王城。

巨大な柱、黄金の装飾、魔力で輝く天井。

美術館と大聖堂を足したような荘厳さ。


その中央の会議室に、国のトップ勢が勢揃いしていた。


・国王

・王妃

・宰相

・四大公爵家

・騎士団長レイラ(なぜか気まずそう)

・聖女庁代表ローゼリア(なぜか目が潤んでる)

・魔導院主席アルティナ(なぜか殺気放ってる)


※ヒロイン二人の席の距離が近すぎてすでに火花

※俺の席は真ん中で完全に逃げ場なし


会議は形式的な黒鎧事件の報告から始まり、

王妃が柔らかく微笑みながら口を開いた。


「ブランデー様。

 あなたは国にとって希望であり脅威でもあります」


言い方ァ!!!


国王が続きを言う。


「君は強すぎる。

 それは救いでもあり、世界を揺るがせる力でもある。

 だからこそ――君を“国家として守る必要がある”」


守る……?拘束ではなく?


宰相が補足する。


「君を国の公式戦力として保護するためには、

 “身分を確立”していただく必要があります」


身分?爵位?

いや違う……


ローゼリアとアルティナの顔色が一気に変わった。


悪い予感しかしない。


国王が宣言する。


「ブランデー。

 われらが王国は――

 君に王族との婚約を提案する」


――会議が爆発した。


ローゼリアが立ち上がる。


「な、なにを勝手に!!ブランデー様は――!」


アルティナも拳を握りしめる。


「国家権力を恋愛に持ち込まないで。

 それは政治の暴力よ」


だが宰相は冷酷。


「我々は国家だ。

 “国の命運を預ける存在”が、誰と絆を結ぶかは重大問題だ」


国王は手を叩き、場の空気を静めた。


そして――扉が開いた。


純白のドレス、長い金髪、サファイアの瞳。

誰が見ても“絵画から出てきた姫”。


歩く度に周囲がざわめく。


「お待たせしました。

 ご紹介いたします――第三王女、リュミエラ・アルトリアーナ」


俺の心臓が跳ねた。


出会いのレベルじゃない。

存在そのものが“主役級”すぎる。


姫はすっと俺の前で膝を折り――

俺の手をそっと取った。


「今日という日を、ずっと夢見ていました。

 やっと……あなたに会えました、ブランデー様」


会場が息を飲む。


ローゼリアの目から感情が消える。

アルティナの空気が氷結レベルで下がる。


姫はまっすぐ俺を見て言う。


「愛しております。

 ――まだ出会っていないはずのあなたを、ずっと。」


言葉が美しすぎて心臓が痛い。

だが同時に違和感があった。


初対面のはずなのに、“知っている目”をしていた。


姫はさらに続ける。


「私はあなたを幸せにするために生まれてきました。

 神託にも刻まれています。

 “勇者ブランデーの伴侶となる者は第三王女リュミエラ”と」


会議室が静まり返る。


神託――国家級・宗教級の最強カード。

逆らえば国家への反逆扱いになるやつ。


宰相が冷酷に宣言。


「これほどの根拠がある以上、

 ブランデー様の婚約候補は王女殿下で確定となる」


ローゼリアの顔が青ざめ、

アルティナの手が震える。


政治は容赦がない。


俺の交渉余地はない。

表向きは。


だがここで“はい”と言えば全員傷つける。

“いいえ”と言えば王国と敵対する。


ゼロの声が脳内に響く。


(マスター、この状況……あなたに選択肢はあります)


(1:政治的に従って姫と婚約

 →ヒロインの精神崩壊・世界の崩壊フラグ)


(2:拒否して国家と敵対

 →国VSブランデーの戦争開始)


(3:第三の回答

 →“全員が幸せになる道”を作り出す)


俺は迷わず三を選ぶ。


そして静かに手を上げた。


「発言、いいですか」


国王も宰相も無言で許可を示す。


俺はゆっくり立ち上がり、全員を見渡す。


「まず――俺は姫を否定しません。

 リュミエラ姫。あなたの想いは嬉しい。

 神託に名前が刻まれた責任も、重さも理解します。」


姫は少し震えながら微笑む。


だが俺は続けた。


「でも――俺は“政治の道具としての婚約”はしません」


会議室の温度が下がる。


宰相が怒鳴る。


「ふざけ――!」


俺は遮った。


「誤解しないでください。

 姫が嫌なんじゃない。

 “俺の気持ちを無視した婚約”が嫌なんです」


王妃の瞳が揺れ、国王も表情を変える。


俺は姫に向き直った。


「リュミエラ姫。

 あなたが俺を本当に想ってくれているのなら――

 “俺を幸せにする義務”じゃなく、

 “俺を好きでいたい気持ち”でいてください」


姫の瞳から涙が溢れた。


「……そんな残酷で、優しい言い方……」


俺は最後に宣言する。


「恋は国の命令じゃ決まらない。

 “心で選ぶもの”だ。

 だから俺は、姫を恋愛の候補から外さない。

 でも――政治の婚約はしない。」


会議室が静寂に包まれたあと、

最初に立ち上がったのはリュミエラ姫だった。


「……はい。

 命令ではなく、私自身としてあなたを愛します。

 政治は関係なく――あなたの心を手に入れてみせます」


ローゼリアとアルティナが息を飲む。


姫は優しく、しかし鋭く言った。


「ローゼリアさん、アルティナさん。

 勝負はここからです。

 手加減はしませんので――覚悟を」


ローゼリアは泣き笑いで答える。


「もちろんです……!

 譲るつもりなんて、1ミリもありません!」


アルティナは冷笑しながら髪を払う。


「へえ……いいじゃない。

 もう“遠慮”なんてしないわ。

 戦争を始めましょう」


三人の間に、炎と氷と光の魔力が走る。


そして――国王はため息交じりに笑った。


「ブランデー。

 君はこの国に“恋の戦争”を起こしたな」


俺は頭を抱えた。


「戦争は嫌いだ……」


王妃が優しく言う。


「なら、勝ちなさい。

 “誰も泣かせない”戦いで」


ゼロの声が静かに響く。


(マスター。

 ここからが物語の本編です)


(タイトル:――《恋愛戦争編》)


姫、聖女、氷姫。

そしてこの先、さらなるヒロインたちが現れる。


“世界の命運は恋で決まる”。


それは魔王討伐より残酷で、

戦争より苛酷で、

命より重い戦い。


俺は静かに決意する。


「全員幸せにして世界も救う。

 本気でやる」


三人のヒロインは同時に微笑んだ。


「「「――楽しみにしてます」」」


世界は静かに、しかし確実に狂い始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ