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神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

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28/53

「コスチューム採寸イベント!? 俺の理性ゲージ残量ゼロです」

学園祭まであと3日。

特待生クラスにて準備会議が行われていた。


出し物は――

英雄劇 × カップル喫茶ハイブリッドステージ


勇者役:俺

ヒロイン役:アルティナ&ローゼリア

最終シーンはカップル喫茶で観客と交流


とんでもない構成なのに、なぜか教師陣も満場一致でOKしたらしい。

もはや学園全体が視聴者の空気。


制作会議は順調だったが、重大な工程が残っていた。


イルミナ先生が黒板に書き出す。


《本日:衣装のサイズ採寸》


教室が揺れるほどのざわめき。


「やったぁぁぁ!!」

「コスチューム採寸とか絶対イベント発生するやつ!!」

「男子も女子も殺意と嫉妬で死ぬやつ!!」


なぜ分かって叫ぶのか。

ここの生徒は全員メタ視点があるのか。


イルミナが説明していく。


「衣装担当は服飾学科の生徒たちですが、

 特待生クラスの採寸は“クラス内で行う”ことになりました♪」


“クラス内で”ってつまり――

見られる、争う、事故る、修羅場る

未来しか見えない。


そして最も重要な案内。


「採寸はペアを組む相手が行います」


クラス中が爆発した。


「ヒロインが勇者のサイズ測るじゃん!!!」

「物理的接触イベント!!!」

「リアル距離ゼロじゃん!!!!!」

「観戦禁止とか地獄じゃねぇか!!」


男子も女子も半狂乱。


(マスター、生存率0.02%です)

(その数値やめろ)



採寸会場――体育館の一角。


壁際には仕切りカーテン。

メジャー、型紙、布、生地、針道具セット。


採寸台の中央に俺。

両側にヒロイン二人。


右:ローゼリア(明らかに緊張MAX)

左:アルティナ(無表情だが耳が赤い)


周囲には見守るクラスメイト達(魔力で防音&防暴走の結界準備中)。


レイラ副団長は剣に手を添えて「暴走があった場合は制圧」の構え。

イルミナ先生は笑顔で「何かあれば即座に止めます」の目。


俺、処刑されるのかな。



「では……採寸、始めます」


ローゼリアが胸に手を当て、緊張で震えながら近づく。


「ご、ごめんなさい……失礼します……!」


そっと肩にメモリを当てながら、指が微かに触れてくる。

柔らかい。

体温が伝わる。


ローゼリアは顔真っ赤で、息が浅く、

触れるたびびくっと震えて、ひたすら全力で慎重。


「ブランデー様……本当に、立派に……なられて……」


言ってる本人が爆発寸前。


次にアルティナが胸囲を測る。


無表情のまま、落ち着いた声。


「……呼吸を楽にして」


距離が近い。

腕が回されて、抱きしめられてる形。


ローゼリアがひゃっと声を上げる横で、

アルティナは静かに測りながら耳まで赤い。


「……この距離、嫌じゃない?」


「い、いや嫌じゃないけど……」


「ならいい」


短い言葉なのに破壊力すごい。


次はウエスト。

腰にメジャー。

二人が左右から同時に手を添えてくる。


ローゼリアの指先は震えてて、

アルティナの手はしっかりしてて冷たい。

違う性質なのに両方魅力的。


そして次――脚の採寸。


俺は理解した。


ここが限界ライン。


ローゼリアが恐る恐るしゃがみ込み、

太ももあたりに触れた瞬間。


「ごめんなさいっ!!!わ、私もう心臓がっ、破裂しそうでっ……!」


涙目で本気で震えだした。

純情すぎて逆に心臓に悪い。


次にアルティナが静かに膝をついて測る。


「逃げるな。ちゃんと立ってて」


と低く言ったけど、

手が震えてる。

無表情でも限界なのが丸わかり。


「……アンタがこんなふうに動揺させるなんて……ずるい……」


かすれた声で言うのやめてくれ、刺さる。


そして最後――肩幅と仕上げの採寸。


二人が左右から身体を寄せ、

肩にくっつく形になった。


息がかかる距離。

心臓の鼓動が伝わる距離。


空気が完全に止まる。



その瞬間――体育館の壁が振動するほどの轟音。


「うおおおおおぉぉぉ!!!!」

「もう見てらんねぇぇぇ!!!」

「世界滅ぶってこれ!!!」

「尊すぎてしんどい!!!!」


外野の歓声と悲鳴が爆発し、

レイラ副団長は制圧モードに入り、

イルミナは優雅なため息で結界維持。


まるで戦争の現場。


採寸終盤、アルティナは小さく囁いた。


「……ねえ。次の迷宮試験も絶対私と組むのよ」


ローゼリアも息を吸い――


「わ、私だってっ……次は譲りませんから……!!」


二人の視線が交錯し、火花が散る。


俺は震える声で言う。


「と、とりあえず衣装完成させよう……!?」


「もちろんです」

「当然です」


二人の声がぴったり重なる。

完全にバチバチのままだけど

“共通の目標だけは一致” しているのが怖い。



採寸後。


衣装担当メモに“ふたりの字で”俺の寸法が記録されていた。


字が違うのに、並ぶと不思議と調和してる。

喧嘩しているのに息は合っている。


なんか――すごく良いチームだ。


(マスター、恋愛フラグの進展:本日+8本増加)

(死ぬだろそれ)



その日の夜。


男子寮の窓の外――

女子と男子、そして保護者&教師すら学園祭の完成予想を賭けて騒いでいる。


「勇者 × 聖女 × 氷姫の三角劇ヤバいらしいぞ!」

「劇のクライマックスでカップル喫茶になるとか反則!」

「スケジュール整理係の教師に人気投票依頼殺到らしいぞ!」


なんか学園祭が戦争イベントになっている。


ゼロが呆れ声で言ってくる。


(マスター、丸裸の採寸イベントをフラグ無しで終えたのは奇跡です)

(普通はどんな展開になってたんだよ)

(衣装担当が暴走事件 → ヒロイン救援フラグ → 告白ルート → サブヒロイン乱入ルート → 総戦争 → 寮が燃える)

(寮燃えるの!?)


この学園マジで殺意レベルの恋愛校。


俺は枕に顔を埋めて叫ぶ。


「平和に学園祭やりたいだけなんだあああぁぁ!!!」


しかし返ってくるのはゼロの冷酷な分析。


(平和という願いそのものが最大のフラグです)


もう泣きたい。


それでも――

衣装採寸中の“ふたりの表情”を思い出すと胸が熱くなった。


恋が怖いけど、嬉しくて、温かくて、なんか心が満たされていく。


異世界生活って……むずいけど、悪くない。


いや、最高だ。


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