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神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

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27/53

「学園祭強制パートナー制度!? 修羅場が公式イベントになりました」

翌朝――特待生クラスのホームルーム。


イルミナ先生がにこやかに教壇へ立ち、黒板に文字を書き出す。


《来週:王立アルクス学園祭》


ざわっ!!!!


生徒たちが一斉に反応する。


「まだ入学して間もないのにもう学園祭!?」

「観光客も来るやつだぞ!」

「なんでこんな早い日程なんだ!?」


イルミナ先生は優しい声で続けた。


「今年の学園祭は特別仕様です。

 “特待生クラスは二人一組で一つの出し物をしなければいけません”」


ざわざわざわざわ!!!!


つまり――

またペア制度。

また恋愛フラグ強制イベント。


イルミナは追撃する。


「なお、特待生クラスは“観客の来場数・評価ポイント・魅了指数”が競われます」


魅了指数って言ったよね!?

また恋愛評価!?

運営と教師どれだけ恋愛押しなのこの学園!!


さらに黒板の最後の一行が全員を凍らせた。


《ペアは“互いの合意”が必須》


これはすなわち――

誰かを選ぶ→選ばれなきゃ成立しない。

両想いか、少なくとも“両思い風”を演じられる者が勝つ。


ラブコメ戦争が公式採点に組み込まれた学園。

悪夢かここは。


俺の隣の席では、ローゼリアがすでに赤面+期待の眼差し。


そして反対側では、アルティナが静かに俺を見つめている。

表情は冷静なのに瞳は「絶対逃がさない」と語ってる。


その後方――

イルミナが“私も候補ですよ”の目。

入口付近――

レイラ副団長が「護衛目的でパートナーになるのが最も安全」と真顔。

他の女生徒たち――殺気というより“覚悟”の目。


俺は悟った。


人生最大の選択の時間が迫っている。


(マスター、逃げる案?)

(ないだろ)

(正解です)



休み時間。

ペア選びがスタートする。


最初に動いたのはローゼリア。


両手を胸元にぎゅっと握りしめ、震えながら言った。


「ブランデー様……わ、私と……組みませんか……?」


声が柔らかくて甘い。

聖女候補の誘いは破壊力が高すぎる。


だが次の瞬間、背筋が凍る冷気。


「その前に――私が先よ」


アルティナだ。

ローゼリアの前にすっと立ち塞がり、静かな声で言う。


「迷宮試験は私と組んだ。

 次のイベントも――当然、私よね?」


挑むようで、でもどこか期待している声。


そこへ――


「待て二人とも」


重い足音。

レイラ副団長が前に出る。


「ブランデー様の安全確保のため、私と組むべきだ。

 学園祭は危険だ。民衆が集まる場所ほど護衛が必要だ」


理屈は最も正しい。

だが表情は“守る対象は渡さない”タイプの執着。


そして――

後方でイルミナが自由参加を宣言する。


「文化発表の準備は大変ですから……坊ちゃまが望むなら私はいつでもパートナーになりますよ」


笑顔のまま、瞳だけ笑ってない。

出し物は“恋愛アピール”が評価の対象だと知ってこの余裕だ。


あとから女子数名も動き始め……


「ぎゃあああ修羅場だああ!!」

「特待生クラス全員の視線がブランデー一点集中!!」

「避難しろ!!爆発するぞ!!!」


男子勢は机ごと後退して避難。

一部の女子は参戦、自爆覚悟の告白ゴング。


完全に戦争である。


(マスター、また“全員と組みます案”は?)

(絶対無理)

(正解です。今回は二名だけです)


(マスター、今の全員の感情分析出ます)

(出してみろ)


● ローゼリア:一緒に作業して思い出を作りたい

● アルティナ:成果と信頼を積み重ねたい

● レイラ:護衛として寄り添いたい

● イルミナ:監視と独占と幸せの両立(?)

● 他多数:ワンチャン命がけ


俺は頭を抱え――

一度深呼吸した。


王立学園は、強さも知性も品位も試す場所。

だったら答えはひとつ。


“自分の意思で決めなきゃいけない時が来た”


俺は一歩前へ出た。


教室が水を打ったように静まる。


「俺は――

 本気で学園祭を成功させたい。


 だから“相手と一緒に成長できる”って思える人を選びたい」


ざわぁっ!!!


告白宣言と似ている言葉に全員が固まる。


そして――俺ははっきり告げた。


「俺と組むのは――

 《アルティナ》と《ローゼリア》の二人だ」


一瞬の沈黙。


次の瞬間、三つの反応。


● ローゼリア

「ほ、ほんとですか……!? やったぁぁぁ!!」


涙ぐみながら飛びつきそうになって、寸前で踏みとどまる。

かわいいし安心してる。


● アルティナ

「……フッ。最初からそう言っておけばいいのよ」


余裕ぶってるけど耳真っ赤。

嬉しさ隠せてない。


● クラス全体

「なぜ二人?!」「三角関係確定!?」「修羅場宣言じゃない?」

「いや“三人で出し物”のルールは無い……?」

「いやでもダブルパートナーとか規格外……!」


そして――

イルミナがにっこり笑った。


「二人にしたということは、坊ちゃま……

 “両想いを演じる覚悟”があるということですね?」


なんでそうなるんだ。


最悪の追撃はレイラだった。


「護衛としては複雑だが……判断は支持する。

 ただし何があっても守る。

 二人が相手でも、私は譲らない」


言葉がかっこよすぎて逆に怖い。



学園の張り紙には新しい情報が追加された。


《特待生クラスの出し物:二名以上の複数ペアも可》


学園運営、俺に全振りしてきたな??

絶対裏で賭けしてるだろ神々か教員陣。


生徒たちの反応も過熱。


「今年の学園祭、絶対見に行く!」

「三角関係リアルイベントじゃん!」

「視聴チケット売れるレベルだぞ!」

「歴史に残る修羅場になる!!」


いや俺は平和に学園祭やりたいだけなんだが??



放課後。

図書館の小会議室――制作会議。


机に並ぶのは三人。


ブランデー × ローゼリア × アルティナ


三人という時点で緊張感やばい。


アルティナが淡々と切り出す。


「出し物は“カップル喫茶”が人気らしい。

 観客の評価も“恋愛力+魅力”が高いほど得点が高い」


この学園ほんとどこ向かってるんだ。


ローゼリアがもじもじしながら提案。


「そ、そういうのも素敵ですけど、私は……

 “英雄譚の劇”とかもいいと思ってて……

 ブランデー様が勇者役で、私たちがヒロイン役で……」


こっちも破壊力すごい。

演劇とか絶対事故起きる。


二人が睨み合う。


「カップル喫茶でしょ」

「劇です!!」


ついに言い争い開始――だったが。


俺はその中心で机を叩いた。


「両方やろう!」


二人が同時に固まる。


「……え?」

「……どっちも?」


「劇で俺が勇者役。

 その物語の中で、ラストシーンが“カップル喫茶”につながる演出にする!」


沈黙。


そして――予想外の反応。


ローゼリアとアルティナが……笑った。


「素敵です! 絶対楽しいです!」

「悔しいけど……その案、完璧だと思う」


珍しく完全な同意。

この瞬間だけ二人が仲良く見えた。


俺はホッと息をつく。


(マスター、生存率一時的に上昇 0.4% → 71%)

(戻るのおかしいだろ)



会議が終わり、扉へ向かうと――


アルティナが袖を掴んで止めた。


「……今日のこと、嬉しかった」


その声は小さくて優しい。


「次の迷宮試験も……必ず私と一緒よ?」


「もちろん」


そう返すと、アルティナは静かに微笑んだ。


そして入れ替わるようにローゼリアが裾を掴む。


「あ、あのね……私も、負けませんから!」


瞳は震えていたけど力強かった。


俺は微笑む。


「楽しみにしてるよ」


ローゼリアの頬がさらに赤くなる。



夜。

寮の自室でベッドに倒れ込む。


(マスター、今日の死亡フラグ7本、恋愛成功フラグ5本、友情フラグ2本獲得です)

(ドラクエの経験値みたいに言うな)


天井を見つめながら独り言。


「……学園生活、すげぇな」


地獄で、最高で、危険で、暖かい。


そして気づいた。


俺は――楽しい。


異世界生活って、最高じゃん。


明日も生き残るけど。


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