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神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

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24/53

「迷宮試験開始! なのにデートっぽくなるのなぜだ

翌朝。

王立アルクス学園の実技訓練場――地面に描かれた巨大な魔法陣が光り輝いていた。


学園長が宣言する。


「これより第二試験“迷宮攻略ペアテスト”を開始する!

 制限時間は3時間。

 目的は“迷宮最深部の宝箱を持ち帰ること”。

 道中の採取物・魔物素材・戦闘評価・連携評価・心理的相性も採点対象とする!」


心理的相性ってまた言ったよね?!

だからそれ恋愛ポイント評価だからね?!


俺の隣に立つのは、第一ペアとなった少女――


氷の姫 アルティナ・エルフェリア。


真っ白な髪、淡青の瞳、無表情で静かながら、近づくとほんのり体温と香りを感じる。

制服は裾に魔法陣刺繍が施された貴族仕様。

近くで見ると息を飲むほど綺麗だ。


「……ぼんやり見つめてどうかした?」


無表情のまま首を少し傾けてくる。


「い、いやその……改めて一緒に頑張ろうな、という意味で」

「そう。なら期待してる」


淡々と返しながらも、耳だけ赤い。

やっぱりツンデレだこの子。


(マスター、魅了率上昇中)

(言うな)


学園長の杖が振られた直後、迷宮へのゲートが開く。


「行くぞ」


アルティナが先に歩き出す。

俺も後を追い、ゲートに足を踏み入れた。



――迷宮内部。


天井の低い石造りの通路、松明の光、前方には分岐。

王道RPGのダンジョンって感じ。


「では評価項目のひとつ“方針決定”を行いましょう」


そう言ってアルティナは地図を広げた。

迷宮全体を俯瞰する立体マップ。高度な魔法具らしい。


「右は魔物が多い。左は罠が多い。中央は……どちらも多い」


「中央地獄じゃん」


「罠は回避訓練に良いし、魔物は戦闘評価に良い。どちらを優先する?」


アルティナは冷静な口調で説明するが――


「あなたは“何でも一瞬で終わらせる”から判断が難しい」


グサッ


事実だから反論できない。


「できれば……手加減して。私も一緒に戦いたい」


その小さな声には、わずかな“願い”が滲んでいた。


俺は気付いた。

アルティナは俺の“強さそのもの”を求めているんじゃない。


“肩を並べて戦える相手”を求めている。


七歳児の俺は理解した。

ヤバい。これは普通に惚れるやつ。


「右に行こう。戦闘評価が稼げる方だ」


「理由は?」

「アルティナと連携できる方がいいから」


言うと同時にアルティナの肩がびくっと震えた。


一瞬、耳まで真っ赤。

しかしすぐに平静を装う。


「……人心掌握、上手ね」

「やめろ職業:メンタリストみたいになるから」



魔物遭遇。


狼型の魔獣ダークウルフが三体飛び出してくる。


アルティナが告げる。


「私が正面。あなたは右側をお願い。左の一体は残し、連携の確認をしたい」


戦闘役割分担。

実に合理的。


「了解!」


俺は魔力を極小に抑えた拳を叩き込む。


ボフッ!


一体撃沈。

衝撃は最小、怪我ゼロ。

アルティナの後方支援者が見ても満点レベルの調整(ゼロの自動制御のおかげ)。


アルティナは詠唱なしで氷の刃を呼び出す。


「――凍り砕け」


一閃。

二体目の首元に氷刃が走り、動きが凍る。


そして残った一体――


「終わらせるわよ」


アルティナと俺が同時に動いた。


俺の拳が狼の動きを止め、

アルティナが氷槍で動きを封じ、

最後に俺が軽く背中を叩いてノックダウン。


敵の肉体は綺麗なまま。

傷はない。

それでいて三秒で討伐。


観察者の水晶が淡く光る。


「ふふ……いい動きね」


アルティナは珍しく満足気に微笑んだ。

なんか、普段の冷たい雰囲気が嘘みたいな柔らかい笑顔。


その笑顔に気を取られていた――その時。


「後ろっ!!」


背後から影が飛ぶ。

迷宮名物のアンブッシュ(奇襲)だ。


アルティナの表情が瞬間固まる。


「っ――!」


身体が動かない。

予想外の攻撃でも微妙に怯むのは仕方ない。


でも――


その0.2秒の停滞を見逃すほど俺は鈍くない。


俺はアルティナの肩を抱き寄せ、身体ごと後ろへ下げ――

来た影に手刀を入れて気絶させる。


一瞬で終わり。


アルティナが俺の胸の中で目を見開く。


「あ……」


近い。

顔の距離10センチ。

抱き寄せたカタチのまま固まっている。


「だ、大丈夫か?」


俺は焦って離れるが、彼女は少しだけ手をつかんだまま離さなかった。


「……助かった。ありがとう」


「いや、当然だろ」


言った瞬間、アルティナの睫毛が震えた。


「そんな言葉……初めて言われた」


それは小さすぎて壊れそうな声だった。


「え?」


「私はエルフェリア家に生まれてからずっと、

 “勝て”“負けるな”“隙を見せるな”“期待を裏切るな”

 そんな言葉ばかり聞いてきた。


 だから、“当然”なんて言われたことがなくて……」


アルティナは拳を握りしめる。


「隣にいて当然……なんて、言われたことがない」


胸の奥に何かが刺さる感覚。

この子は、強く見えて弱い。

完璧に見えて孤独。


「じゃあ俺が言うよ。何回でも」


「……っ」


アルティナは反射的に俺の口を塞ぐように手を伸ばした。


無表情だけど耳真っ赤。


「……だめ。そんなこと言われたら――期待してしまうから」


心臓に悪すぎるツンデレの破壊力。


俺は笑った。


「期待していいよ。俺、逃げないから」


アルティナの瞳が大きく揺れて――


ぽそっと呟いた。


「バカ……」


その声は、怒りでも呆れでもなく。

照れ隠しだった。


……やばい。普通にかわいい。


(マスター、恋愛ルート突入音がしました)

(やめろ効果音再生すんな)



さらに迷宮奥へ。


戦闘・協力・補助・判断――すべて噛み合って、危なげなく最深部到達。


最後の宝箱が鎮座していた。


「じゃあ……二人で開けましょうか」


アルティナは静かに俺の手に触れ――

二人で宝箱の蓋に手をそえる。


パカッ


中に入っていたのは――煌々と輝く“水晶の鍵”。


学園長の声が響く。


『第二試験、第一突破者――ブランデー・ハイボール & アルティナ・エルフェリア組』


やっぱり1位だった。


アルティナは鍵を見つめながら、少し微笑む。


「ブランデー。今日のことは忘れない」


「俺も忘れないよ」


「……約束。破ったら許さない」


その声は甘えるでも脅すでもなく――


“信頼の裏返し”だった。


迷宮ゲートが開き、俺とアルティナは地上へ戻る。



会場に戻った瞬間。


「ブランデー様ぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ローゼリアが泣きそうな顔で突進してくる。


「無事でよかったぁぁぁぁ!!!」


ギュウゥゥゥッッ!!!

抱きつかれた。

腕の中で震えてる。


「だ、だめですローゼリア。いま密着は――」

「もう離しません……!」


アルティナの視線が冷えた。

会場の空気が凍った。

背後からイルミナの殺気が突き刺さった。

レイラ副団長は剣の柄に手をかけた。

観客席の女子たちもざわついた。


――修羅場、開幕。


(マスター、生存率5%です)

(たすけろ)



そうして俺は――


・アルティナとの連携で1位突破

・ローゼリアの全身ハグ

・イルミナの殺意

・女子の嫉妬

・男子の殺気

全部一気に浴びながら地上へ帰還することになった。


俺は強く誓う。


“明日こそ平和に過ごす”。


ゼロが冷酷に返した。


(マスター、それは死亡フラグです)


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