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神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

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23/53

「ペア指名タイム! 修羅場で名前を呼ばれる恐怖と歓喜」

「では、これより――第二試験、ペア指名タイムを開始する!」


学園長の声が響きわたると同時、試験会場がざわつき始めた。


ルールは簡単。

指名形式。名前を呼び、了承されたらペア成立。


ただし――

今日のこの状況で俺を指名したら“修羅場の炎”に焼かれるのは必至。


ローゼリア(聖女候補):純愛系。

アルティナ(氷の姫):ツンデレ高嶺系。

イルミナ(家庭教師):危険な独占欲系。

レイラ副団長(騎士):忠誠心からくる執着系。


そして、他の女生徒たちも「EXランク天才少年=未来の勝ち馬」と見て群がっている。


俺は悟った。


これ、選び方ひとつで死ぬ。


(マスター、ランダムで選ぶ案は?)

(確率で死亡する未来しかない!)


まさに追い詰められた獲物の気持ち。

俺は七歳児。精神は高校生。

恋愛IQは平均値。

――勝てる気がしねぇ。


「では、上位者から順に指名してもらう。まず1位、ブランデー・ハイボール君」


「うわ俺からかよォォォ!!!」


当然だよね。

全視線集中。

まるで死刑宣告の瞬間みたいな空気だよね。


ローゼリアが期待の眼差し。

アルティナが静かな闘志の眼差し。

観客席のイルミナが“選べなかったら許さない”オーラ。

背後でレイラが“選ばれる準備はできている”顔。


時間よ止まれ。

止まらなかった。


(マスター、提案があります)

(何?!)

(“まず他の人を指名するように依頼”して先に自分を指名してもらう形にすれば安全です)

(……天才か??)


俺は手を挙げた。


「えっと、俺より先に――誰か俺を指名したい人、いますか……?」


ざわあぁぁぁっっっっ!!!


一瞬で空気が爆発した。


「はい!!!」

「わ、私です!!」

「ブランデー様お願いします!!」

「一緒に試験受けたい!」

「あなたしか見えない!!!」

「私の運命の相手!!!」

「未来の旦那様!!!!」


おい待て最後!!

人生の目的先走ってる奴いるぞ!!


学園長は苦笑しながら言った。


「い、一応……公平のため、“1人ずつ”発言してもらおう……」


すると――


「私が先です」


静かに前に出たのは、アルティナだった。

まっすぐこちらを見据え、観客席がざわつく。


「私は――ブランデー・ハイボールを指名する」


「――――ッ!」


その言葉は氷の刃みたいに美しい。

声に迷いがなかった。


ローゼリアの表情が一瞬揺れる。

周囲の女子から怒号に近いざわめきが起こる。


「聖女候補差し置いて?!」

「氷の姫が指名した?!」

「早すぎるだろ!!」

「独占か?!」


俺は息を飲む。

みんな俺の返答を待っている。


返答次第で死人出るかもしれない。

いや誇張じゃなく本当に出そう。


アルティナは、まっすぐ俺の目だけを見て言った。


「あなたの力が欲しい。

 そして、あなたの力を私が――理解したい」


その声は挑発でも命令でもなく、願いだった。


……わかる。

“高みに立ちたい者”の言葉だ。


だが――


「ま、待ってください!!」


ローゼリアが叫ぶ。


「わ、私も……ブランデー様を指名したいです……!」


震えながら、しかし最後まで視線を逸らさない。


「私だって――隣で一緒に歩きたい……!」


涙すら滲んでいた。


「聖女候補まで……!」

「これ何次元修羅場だ?!」

「勇者と魔王の戦いかよ!!」


観客席まで騒然。


そしてさらに――


「失礼します。規定違反は承知ですが――」


バッと一歩前に出て、騎士レイラが膝をつき、俺の手をとる。


「ブランデー様。王都においてあなたは危険です。

 これは任務であり護衛としての責務。どうか、私を選んでください」


もうだめだ。

世界が俺を殺しにかかってる。


(マスター、手札はまだあります)

(どんな?)

(“俺を選んでくれた順に試験を受けたい”と言って、全員と受ける方法です)

(優柔不断ハーレム主人公ムーブじゃねぇか?!)

(でも生存率100%です)


……くそ。

プライドなんて命の前では紙だ。


俺は息を吸い――叫んだ。


「俺は――!!」


会場が凍り付く。


全視線、真正面から受け止める。


「俺を選んでくれた順に、一緒に試験を受けたい!!!!」


――ド ッ ッ ッ ッ !!!


観客席まで衝撃が走った。


「え?!順番制?!」

「その手があった?!」

「規定違反では?!?!」

「いや、選んだ側が了承すれば成立だよな?」

「なんかすごい落とし所見つけた!!」


ローゼリアが顔を輝かせ、

アルティナは一瞬固まり、

レイラがため息を吐きながら微笑んだ。


そして――


「……良いだろう」


最初に指名したアルティナが返した。


「第一ペアは、私だ」


ローゼリアも続く。


「その次は、わ、私……ぜったいですよ!」


レイラは丁寧に一礼した。


「三番目、光栄に……」


会場はどよめきとため息と悲鳴の嵐。

俺はその中心で、ただひとこと心で叫んだ。


――生き残った……!!!


(マスター、生存率98%に向上)

(100にならないのか?!)

(まだイルミナ様が黙ってます)


観客席を見た。


イルミナは笑っていた。


――満面の笑みで。


“逃げられると思いましたか?”

そう書いてある笑顔。


(マスター、生存率30%に低下)

(なんでだよ!!)


学園長は頭を抱えながら手を叩いた。


「ペア成立――第1試験1位のブランデー・ハイボールと、2位アルティナ・エルフェリア!」


――こうして

俺の“第一ペア”は、氷の姫アルティナに決まった。


「第二試験『迷宮攻略ペアテスト』は明日開始とする!」


迷宮、という単語に

観客も受験者も一斉にざわつく。


アルティナは小さく囁いた。


「明日……あなたの全てを見せてもらう」


挑戦。期待。嫉妬。執念。

いろんな感情が込められた声。


それでも――

俺は答えるしかない。


「……やれるだけやるよ。よろしくな、アルティナ」


氷の姫は一瞬だけ、

雪が溶けるみたいに、微笑んだ。


その笑顔を見た瞬間――


観客席でイルミナの殺気が爆発した。


(マスター、いま死亡フラグが7本同時に立ちました)

(折れろ!!!折れてくれ!!!)


――明日、迷宮試験。


俺の命があるかは知らん。

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