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神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

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22/53

「特待生試験開始! 殺意と好意の視線が飛び交う会場で生き延びます」

王立アルクス学園・試験会場。


円形闘技場のような広大なフィールドに、受験者たち百名以上が並ぶ。

上段観客席には王侯貴族らしき大人達が陣取り、ギラギラした視線で子供らを観察している。


……いや、受験者全員十〜十五歳くらいの見た目なんですけど。

七歳児の俺だけ浮きすぎてるんですけど。


(マスター、皆さんの視線が痛いですね。物理的に痛いレベルです)

(分かってる!見たら即死の彫像みたいな視線ばっかりだよ!)


正面に立つ学園長――顔長ヒゲも長、白髪と白いマントの偉そうなおじいちゃんが手を掲げた。


「静寂!」


声が響くだけで、会場は一瞬で沈黙した。すごい権威。


「只今より――特待生選抜試験を開始する!」


巨大モニターに試験内容が表示された。


【第一試験:バトルロイヤル試験】


・参加者全員で戦闘

・降参or戦闘不能or落下で脱落

・最後まで残った者上位10名が合格

・殺害行為は禁止(※未遂はセーフ)


ザワァッッ!!!


一気に緊張が走る。


……バトルロイヤルって何?

俺、平和に突破したいんだが。


(マスター、素直にやると全員消滅しますよ)

(だよなぁ?! つまり俺は手加減しながら負けないようにする必要がある)

(最悪、全員を“戦闘不能(無傷)”にできます)

(発想がすでにバトル漫画のラスボスなんよ)


ローゼリアは不安げに俺の袖をぎゅっと握り、

イルミナは観客席から冷酷な目で全員を威圧し、

アルティナはなぜか挑発的な視線を向け続けてくる。


そして、試験開始の合図がいまにも下される――その寸前。


「ひとつ言っておく」


アルティナが静かに俺へ囁いた。


「――あなた、絶対勝ちなさい。その上で、私を見上げる立場のままでいればいい」


挑発とも、期待とも、嫉妬とも、全部混ざった感情。


言葉の意味はよく分からない。

ただ、言葉とは裏腹に耳が赤い。


……ツンデレの匂いがするぞ。


『魅了効果を受けています(無自覚)』


頭の中で、ゼロの通知が鳴った。


(いや、どこへの通知なんだよ!)



学園長が高らかに手を振り上げた。


「始め!」


ドンッ!!!


開始の合図と同時に、あちこちから魔法や斬撃が飛ぶ!


火球、氷柱、鎌風、雷撃――凄まじい魔力の渦。

戦闘開始0.5秒でもう地獄絵図。


しかし、俺の周囲だけ奇妙に静かだった。


……いや、“静かにされた”。


周りの受験者20人ほどが、俺の周囲を囲みながら、互いに牽制して動かないのだ。


「……計画通り、ここで潰すぞ」

「奴は邪魔だ。聖女候補と氷の姫が目をつけたなら尚更だ」

「ハイボール家の息子?関係ない。ここで終わらせろ」


おおおおぉぉぉぉぉぉぉい!!!


なんで俺いきなり集中砲火イベントなんだよ!


ローゼリアが叫ぶ。

「だ、だめです! ブランデー様は――っ!」


しかし、敵は無視して魔法の詠唱を開始。


十人同時詠唱。

あれ、普通にまずい。


(マスター、回避します?反撃します?無力化します?)

(無傷で平和解決!)

(了解、“無血 三秒制圧”プロトコル起動)


ゼロの宣言と同時。


俺は一歩、前に出た。


次の瞬間――


* * * * * * * *


気付いたら、俺を囲んでいた全員が地面に突っ伏していた。


傷もなく、眠るように戦闘不能。


「…………」


「…………」


「い、今……何が起きたの……?」


観客席がざわつき、魔法審査員が全員目を見開く。


(マスター、魔力干渉と神威で全員の意識を三秒停止させました。安全です)

(え、それ俺やった感ゼロなんだけど)

(大丈夫です。“やったのはマスター”に見えるよう演出しています)

(マジで余計な気遣いやめろ?!)


そんな俺の混乱をよそに――


観客席の大人たちの評価コメントが聞こえてしまう。


「今のは……神性魔法か……?」

「七歳でこれは規格外だぞ……」

「ハイボール伯爵家……恐ろしい……!」


完全に目立った。

平和終了。



だが、試験はまだ終わらない。


残りの受験者達は戦闘続行。

最後の10名に残れば勝ち。


――な、はずなのだが。


俺が立っている位置を中心に、周囲が避けていくのだ。


「おい、あそこ行くな!殺されるぞ!」

「攻撃禁止領域だ、あれはボス戦のエリアだ!」

「やめろ死ぬぞ! あいつはヤバい!!」


どんな扱いだよ。

俺はただの“平和を望む少年”だぞ(?)


戦場の中でローゼリアが駆け寄ってくる。


「ブランデー様! ケガしてませんか?! よかったです! よかったぁ……!」


胸に飛び込んできそうな勢いだったので、ギリ避けた。

……いや避けるのも心が痛いんだけど。


「や、やめてローゼリア。今抱きつかれたら、他の受験者が死ぬ」

「あ……そ、そうですね……///」


頬を赤くしながら引き下がるローゼリア。


それをじっと見ていた少女がひとり。


アルティナだ。


視線が鋭く、氷のよう。


「……“助けてもらう”だけで満足しているようでは、私には勝てない」


挑発というより、これは――宣言。


“同じ土俵で戦う”と。


「……発言の意味がわからない」

「わからなくていい。ただ――」


アルティナは俺の胸元にまた指を添え、小さく告げた。


「あなたには負けない」


その瞬間、観客席の女子達から黄色い悲鳴。

男子達から殺意のどす黒いオーラ。


(マスター、死亡フラグスコアが急上昇しています)

(なんで俺の人生にスコア制あるんだよ!)


そんな混乱と殺意と恋愛の渦中。


学園長が声を響かせた。


「第一試験終了! 合格者を発表する!――」


巨大モニターに名前が映し出される。


《1位:ブランデー・ハイボール》


やっぱりだよォォォ!!!

首位で目立つやつだよォォォ!!!


《2位:アルティナ・エルフェリア》

《3位:ローゼリア・セレスティア》

《4位:???》

《5位:???》

(以下略)


ローゼリアとアルティナが並んで俺の両隣に立つ。


そして――


「次の第二試験は“二人一組のペア試験”とする!」


会場がどよめく。


「ペアの相性・連携・シナジー・心理的相性など全てを鑑みて評価する!」


心理的相性って言ったよね?

完全に恋愛フラグの評価項目だよね?!


学園長がドヤ顔で続ける。


「なお、ペアは相互に選んでもらう! 相手を指名し、指名された側が了承すれば成立!」


ざわっ!!!


どよめきと殺気が同時に膨れ上がった。


そして――


「ブランデー様と組みたいです!」

「彼は私と組むのよ」

「その子は危険です。私の隊が保護します」


ローゼリア、アルティナ、レイラ副団長なぜいる

そしてその他、複数の女生徒までもが一斉に名乗りを上げる。


試験前に修羅場。

てかこの展開、何話で二人殺し合い始める?


俺は静かに宣言した。


「俺は――」


ローゼリアの期待、

アルティナの挑戦、

イルミナの威圧(観客席からガン見)、

レイラの忠誠、

その他多くの視線を浴びながら。


「平和に生き延びたいだけなんだ!!!」


叫んだ。


――伝説の受験者、爆誕の瞬間である。

新しい作品も書いてるのでぜひ見てください!!

愛を求めてどこまでも〜男はどこまでも行く。あの言葉を胸に

https://ncode.syosetu.com/n3642ll/

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