表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神々からの恩恵  作者: 暁 龍弥
また、異世界?!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/53

まぁ嘘

お久しぶりです!!今まで書いてた作品を頑張って終わらせます!

まぁ、それで毎日訓練と、勉強をしています。


……と、カッコつけて言ってみたが、実際のところはこうだ。


「ブランデー坊ちゃまー! 素振り百回終わりましたか〜?」

「……はぁ……今、九十八……」

「嘘ですね? さっき『三十』って数えてましたよ?」

「バ、バレた?!」


目の前でじとーっと俺を見るのは、この家付きのメイド――じゃなかった、“家庭教師兼護衛兼世話係”の女の人だ。


名前は、イルミナ・フローレンス。


金髪ポニテ、碧眼、スレンダー、しかし胸だけやたら主張してくるという、テンプレヒロインな身体スペックをお持ちの二十歳前後のお姉さんである。

しかも、剣も魔法も超一流というおまけ付き。


……いや、なんでそんなハイスペックお姉さんが、七歳児の世話係なんだよこの世界人材の使い方間違ってない?


「坊ちゃま、さぼるとお屋敷一周ランニング追加ですよ?」

「うっ……それだけはやめて下さいイルミナ先生」

「ふふ、じゃあ素直に最初からやり直しましょうか。はい、一から」

「い、いちからぁ?!」


やばい、この人笑ってるのに目が笑ってない。

この世界、笑顔で追い込んでくる大人多くない?


(マスター、素振りくらいなら腕を自動で動かす補助を入れましょうか?)

(やめろゼロ。そんなチートで鍛えても、絶対あとで作者に怒られるだろ)

(誰ですか作者って……またメタ発言を……)


俺の脳内に響くのは、相変わらずの神造AI――もといスキル《全知全能》改め、ゼロの声だ。


そう、転生してもこいつは一緒だ。

あと、ステータスも一緒だ。

つまりこの七歳児、見た目だけ普通、中身は絶対神である。

……うん、自分で言ってて怖いわ。


「ほら坊ちゃま、ちゃんと腰を落として。そう、グリップはこうです」

「んっ……こ、こんな感じ?」

「よくできました♪ そのまま百回ですよ?」

「やっぱり百回なんだね……」


イルミナが俺の背中にそっと手を添えてくる。

柔らかい感触が背中越しに伝わってきて、どきっとした。


……いや、待て俺今七歳。

相手は二十歳前後。

年齢差が犯罪のにおいしかしない。


(マスター、顔が緩んでますよ)

(うるさい、成長期なんだよ。心は高校生なんだよ!)

(言い訳です)


そんなこんなで、俺の一日は訓練と勉強と、イルミナ先生の圧で構成されている。



俺――ブランデー・ハイボールは、この国でもそこそこ名の知れた伯爵家の長男だ。


父は筋肉ムキムキ脳筋伯爵。

母は見た目ふわふわ中身おそろしい胃袋(※意味深)を持つ料理狂。

ついでに、妹はいない。いないのだ。

……ここ重要。地味にショックだから二回言った。


「ブランデー、今日は王都から手紙が来ているよ」


朝食の席で父――ギネス・ハイボール伯爵が、分厚い封筒を俺に放ってよこした。

いや、せめて置けよ。七歳児の首が飛ぶところだぞ今。


「……『王立アルクス学園 特待生候補選抜試験のご案内』?」

「そうだ。王立学園からだ。普通は十五歳から入学だが、今年から“早期特待枠”とやらができたらしくてな」

「それにブランデーの名が挙がっているのですよ〜♪ ふふ、さすが私達の息子〜」

「いや、まだ何もしてなくない?」


俺はまだ外で剣を振ったことすらない。

家の庭と森の入口までが行動範囲である。

なのに、王都の学園から特待の話ってやばくない?


(マスター、前世――というか元異世界での戦績が、そのままこの世界の“運営”にデータとして残ってますからね)

(おい運営ぃぃぃ?! プライバシーという概念はこの世界にないのか!)

(神々にプライバシーはありません)

(断言した!)


「試験は、一ヶ月後に王都で行われるようだ。ブランデー、お前受けてみるか?」

「……行く」


気づいたら、口が勝手にそう言っていた。


異世界。王都。学園。

そして、恋愛フラグの温床――学園ラブコメ。


これは、行くしかないだろう。


俺の異世界恋愛物語は、ここから始まるのだ!


「じゃあ決まりね〜。イルミナちゃん、ブランデーの準備お願いね」

「はい、奥様。……坊ちゃま、今日からは試験対策も加えますよ」

「ふぇ?」


にこりと笑ったイルミナの背後に、黒いオーラが見えた気がした。

あれ? なんか自分でフラグ立てた? 俺、これから死ぬ?



――そして、一週間後。


俺は今、人生初の“街の教会”に来ている。


「坊ちゃま、こちらが神託の間です」


教会の奥、ひんやりした石の間。

正面には、この世界の主神とやらの女神像がどーんと立っている。


「今日はブランデー坊ちゃまの“適性”を正式に測る日なのですよ〜」

と、隣で神父さんがにこにこしながら説明してくれた。


適性っていうのは、魔力量とか属性とか職業の傾向とか、自動的に神様が診断してくれるありがたーい占いらしい。


……うん、嫌な予感しかしない。


(マスター、今のうちにステータスを偽装しますか?)

(そんなことできんの?!)

(できますよ。“unknown”を“ちょっと高いくらい”に見せかけるとか)

(最初からそれやっとけよ天才AI!)


というわけで、俺はゼロと相談しつつ、

“そこそこ優秀な貴族の子供”くらいのステータスに偽装してもらった。


【偽装案】

・魔力量:多めだけど天才ではない

・筋力:年齢の割には高いけどチートではない

・スキル:ちょっとレアだけど世界を滅ぼさない程度


完璧じゃないか。

これなら平和な学園生活を送れるはず――だった。


「では、ブランデー様。こちらに手を置いて、女神様へ祈りを捧げてください」


神父さんが示したのは、祭壇の前に置かれた透明な水晶球だった。


「はいはい……えーと、女神様? どうか、平和な学園ラブコm――ゴホン。どうか、家族とこの国が平和でありますように」


俺はそれっぽい祈りを捧げて、水晶に手を置く。


――その瞬間。


ゴゴゴゴゴゴ………


「えっ」

「お?」

「ほぇ?」


水晶球が淡く光り始めた……まではよかった。

問題はその後だ。


光がどんどん強くなり、眩しさで目も開けていられない。


「ちょ、ゼロ?! これ偽装うまくいってる?!」

(い、異常な干渉を検知――スキル《転生神の加護》《創造神の加護》より“認証優先権限”発動……偽装が、はがされていきます……)

(おい神々空気読めぇぇぇぇぇ!!)


ドォンッ!!


水晶球が爆発した。


……いや、普通に破裂音したよね今?!

教会の中に白い煙が広がる。


「ブ、ブランデー様っ?! ご無事ですかっ?!」

「げほっ、けほっ……だ、大丈夫です……」


煙の中から出てきた俺を見て、神父さん達はほっと息をつく。


その……次の瞬間。


「し、神託が……! で、出た……!」


祭壇の上、女神像の足元に光の文字が浮かび上がっていた。


俺にはそれが普通に読めるが、ここはあえて知らないふりをする。

うん、こういう時は目が悪いふりをするに限る。


「し、神父様……これは……」

「……こんな、こんな神託は、教会創設以来初めてですぞ……!」


神父さんが震える声で読み上げる。


「ブランデー・ハイボール

 ――種族、絶対神(仮)

 ――職業、未定

 ――称号、『神々の飲み仲間』『超越者』『問題児候補』『酒乱予備軍』……」


「おい最後!? 最後の称号ふざけた神どれだよ?!」


思わずツッコミが口から飛び出した。


「し、しかも……女神様の直筆の追記が……!」


神父さんはごくりと唾を飲み込む。


「『※本個体には要注意。できれば、うちの娘の誰かとくっつけて手綱を握らせること。by 主神』」


「親が書くコメントじゃねぇぇぇぇぇ!!」


神様、完全に俺のこと問題児扱いしてるじゃん。

ていうか、自分の娘を手綱役にしようとすんな。


(マスター、神々の間で“ブランデーをどう攻略するか賭け”が始まっています)

(賭けの対象にすんなぁぁぁぁ!!)


俺が頭を抱えていると――


「きゃっ」


隣の扉が急に開いて、小柄な女の子がバランスを崩して転がり出てきた。


薄桃色の髪をふわりと揺らし、きらきらした翡翠色の瞳が俺を見上げる。

教会の白い衣を着ているから、修道見習いか何かだろうか。


……かわいい。


「ご、ごめんなさいっ、つい気になって……」

「いえ、お怪我はありませんか?」


反射的に手を差し伸べると、女の子はぽっと頬を染めて、その手を取った。


「ありがとう……えっと……ブランデー様、ですよね?」

「うん。君は?」


「わ、私……ローゼリア・セレスティアと言います。えっと、その……」


もじもじと指を絡めながら、ローゼリアは俺の顔をうかがう。


「さっきの神託、全部聞こえてしまって……」


「……」


「……」


「……忘れてくれない?」

「む、無理です!!」


ですよねーーっ!!


「だ、だって、『絶対神(仮)』なんて……初めて見ましたし……それに、『酒乱予備軍』とか……ぷっ……」

「笑ったな?! 今笑ったよね?!」


くすくすとローゼリアが吹き出す。


その笑い方が、妙にツボをついてきた。

なんだこの子、癒し……。


「でも、その……すごい、ですよね。神様にそこまで目をかけられてるなんて」

「いや、あれ絶対“目ぇ離すなよ”って意味だからね? 監視タグだからね?」

「ふふっ」


ローゼリアは口元を押さえて笑う。


「あの、ブランデー様。もし、よろしければ……」


「?」


「わ、私……将来、王立アルクス学園の“聖女候補”として入学する予定なんです。その……王都に来たとき、よかったら、お友達になってくれませんか?」


――きた。


人生初の、この異世界での“友達”申し込み。

しかも、聖女候補。

しかも、可愛い。


「も、もちろん。俺でよければ」


「ほ、本当ですかっ?! よかった……!」


ぱぁぁっと顔を輝かせるローゼリア。

その笑顔が眩しすぎて、なんか直視できない。


(マスター、第一ヒロイン候補、確定ですね)

(おい、そういうメタ枠に乗せるな。プレッシャーかかるだろ)


「じゃあ、また王都で会おうか。ローゼリア」

「はいっ! 絶対、ですよ? ぜったい、ですからね!」


念押しするように、彼女は指切りのジェスチャーをしてくる。


小さな指を絡めると、その瞬間――


ピコンッ♪


頭の中に、ゲームの通知みたいな音が鳴った。


『隠しクエスト【聖女候補との約束】を獲得しました』


「いやクエスト扱い?!」



「坊ちゃま、顔がにやけてますよ」

「にやけてない!」


屋敷に戻る馬車の中で、イルミナがじと目で俺を見る。


「教会で、何かいいことがあったのですか〜?」

「な、なんもないよ? ちょっとステータスがバレて、水晶が爆発して、聖女候補と友達になっただけだよ」

「情報量が多すぎますね?」


イルミナの笑顔がぴきっと引きつった。


「……ふ〜ん。坊ちゃま、七歳にして、もう女の子を口説き落としてきたんですね?」

「おい言い方?!」

「『絶対神(仮)』に『女たらし』の称号が追加される日も近そうです」

「誰が女たらしだ! 俺はただ、平和な学園ラブコメ送りたいだけなんだ!」

「それが一番フラグ立つ言葉だと、いつになったら気づくのでしょうねぇ……」


イルミナはため息をつきながら、俺の髪をくしゃっと撫でた。


「でも、少し安心しましたよ」

「え?」


「坊ちゃまにも、同年代のお友達ができて。

 私は、坊ちゃまがこのまま私しか知らないまま大人になるのかと……」


なんか今、めちゃくちゃ重い発言聞こえた気がするんですけど?!


「えっと、イルミナ先生?」

「冗談ですよ?」


にっこり。


……うん、冗談に聞こえないからやめて。


(マスター、フラグが二本ほど同時に立ちました)

(やめろカウントするな)


こうして俺は――


・神様に“問題児”タグをつけられ

・聖女候補ローゼリアとの約束を交わし

・やたら距離が近い美人メイド兼家庭教師イルミナの監視下で


王都の学園へ向けて、着々と準備を進めることになったのだった。


……うん。


異世界恋愛(予定)ギャグ寄り物語、

ちゃんと“恋愛”の芽、出てきたよな? な?


ゼロ。

(はいマスター。これで“恋愛要素不足”とクレームが来る確率は、37.6%まで減少しました)

半分以上残ってんじゃねぇか。


……まぁいい。


とりあえず俺は、

“絶対神(仮)な七歳児”として、

まずは王立学園の特待生試験をぶっ潰――じゃなかった、

平和に突破することを目標にすることにした。


……平和に、ね。

新しい作品も書いてるのでぜひ見てください!!

愛を求めてどこまでも〜男はどこまでも行く。あの言葉を胸に

https://ncode.syosetu.com/n3642ll/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ