持つべきものは友
私の妹はとても可愛い。よくモテる。優しくてちょっと病弱で。
それでも、そんな完璧な妹より私を選んでくれた。家族でも選ばなかった私を彼は選んでくれたはずだったのに…
家に帰ると妹は過呼吸になって倒れたらしく家に誰もいなかった。
机の上にはお母さんからの書き置きだけで、私はその書き置きをビリビリに破り捨てた。
そのまま部屋に入りベッドへと倒れこんだ
「…っ…ふぅっ…ぐ…うぅ…」
溜め込んだ涙が溢れ出す。
泣いても、泣いても、涙は枯れることなく溢れ、気がつけば朝になっていた。
泣き疲れて眠ってしまったらしく頭がガンガンと痛む。
…学校へ行こう。
身支度を整え家から出る。
学校に着くと友達に腫れた目元について尋ねられたが私は無視をした。
講義が終わり外で何か食べようと歩き出した時、目の前にいるはずのない彼がいた。
「昨日のは、誤解なんだ。」
開口一番にそれ。
「嘘は通用しないから。」
「嘘じゃないんだ。」
「嘘だよ。全部、聞こえたから。もう、おしまいだよ。」
私は少し苛立った声で言い放ってから急ぎ足で外へ出た。
「ねぇ、何かあったの?」
その日1日の日程を終え帰ろうとした時友達に聞かれた。
「うん…別に、気にすることじゃないよ、」
笑顔を作って答えると、友達にほっぺたをつねられた。
「いひゃいっ…」
「…言いたくないなら無理には聞かないけど、こんな無理くり作った笑顔なんて私の知ってる美香じゃないよ!」
「…うん」
なんだか、心に絡まる鎖が少し解けたようなスッとした優しさで心が包み込まれるようで私はふっと笑顔を浮かべた。