裏切られた日
別に期待したわけじゃない。
初めから分かっていた。
それでも、やっぱり悔しくて
自分の醜さを思い知らされた。
初夏の日差しが眩しく私は目元に手で影を作り前方にいる人物を見る。
青いチェックのシャツを肘まで捲り爽やかな笑顔を浮かべる彼。
彼と出会ったのは2年前。
お互い高校生で全てが新しかった。
私は彼のことを心から愛していた。
駆け寄ると手を広げて私を包み込んでくれる。
夏の暑さなんてどこかへ行ってただ、彼の優しいぬくもりがふわりと伝わる。
これが、幸せだ、と。彼と手を繋ぎながら歩き出した。
こんな関係が続くのもそう長くはないものだ。
ある日家に帰ると彼氏の方が置いてあった。
不思議に思い急いだ靴を脱ぎ二階へ上がる。すると、甘い嬌声が妹の部屋から聞こえて来た。
その直後に聞こえる楽しそうな笑い声。
その中に微かに彼の声が混じっていた。
私は扉を開け中を見る。そこには、いきなりのことで驚き目を丸くした2人の姿があった。
「ねぇ、…どう言うこと?」
泣き出しそうになるのを堪えて絞り出した声はどこまでも冷たかった。
「こ、これは違うの、環さんがさっき来て、お姉ちゃんあと少しで帰って来るって言っ…」
「バカにしないでよ!!!!」
私は妹にそう怒鳴りつけそのまま家を出た。
最低最低最低っ…!
涙で顔を濡らしながら私は心の中で何度もそう叫んだ。