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人間観察
「あ、いいや、大丈夫、買う。」彼は言った。「え?」
「場所わかる?本屋連れていこうか?」私は歩く。彼は後ろからついてくる。「いい、場所を教えてくれればいい!」彼は言う。私は駅へと向かった。
駅は近未来的な高層ビルが立ち並ぶ、商業オフィス地域だ。
吹き抜けの空間があるエスカレーター。ベンチがあるスペースは天井が高く、イベントホールとなっている。
白とグレーの無機質な空間だ。
「何を見てるんですか?」と彼。「え...?人間観察です。」私は何故その時、言ったのか。どこかで見聞きした言葉を選んだのか。
私はこの空間が好きで、雰囲気が好きなのだ。
「人間観察ですか?そんな、寂しい。」彼は言った。