手がかり。
いつもいつも不定期&ちょろちょろ更新で申し訳ないです。
アウロラの町の話も聞きたかったから、ミュゼさん御一行と少し話をしてみる事にした。
ツインテールがミュゼさん、大剣を下げた男の人がマシュさんで、アウロラの領主の孫息子なのがモーリーさん。
腰をおろして話をしてみると、モーリーさんは父親を探しているのだそう。領主であるお祖父さんの身体の調子が良くなくて、後を継ぐにもモーリーさんでは若すぎるという事で、冒険者となった父親を探して継いでもらえないかお願いしたいんだって。
父親になっても冒険者になって家を空けちゃうのって、こっちの世界では普通なの?
『(そうだな。ダンジョンは魅力的だからな。良い宝を手に入れられれば名声も手に入る。あるダンジョンで世界唯一であると言われる魔具を入手し、国を築いたと言われる者も居るほどだ)』
命がけの宝くじみたいなものかな……。
「イオリさんも、もし私の父らしき人物を見かけたら、アウロラへ戻るように言って下さい」
「モーリーさんのお父様に会った事がないから、私が気づかないかもしれませんよ」
「モーリーの父親は、モーリーと同じ銀髪で頬に紋様がある。顔もよく似ている」
マシュさん曰く、お父様はモーリーさんに瓜二つなんだそうだ。
この三人組は家が近所で、いつも一緒になって遊んでいた友達同士なんだって。歳は違っても仲が良いなんて羨ましいな。
「イオリはテイマーなのか? なぜ旅をしているんだ?」
ミュゼさんが大きな目を開いて私に問う。さらさらのツインテールが似合っていて、とても可愛らしい。
「まだまだ未熟なテイマーです。旅をしている理由は……召喚術を使える方を探しているのです」
ルビーの目が、余計な事は話すなと言っている気がする。それくらい解ってますよ!
「アウロラにも召喚術の使える者が居ましたが……」
モーリーさんが少し悲しそうな顔をして、話を続ける。
「……とても変わった方で、町の外れに居を構えられていたのです。私はよくその方の家にお邪魔して、遊んでもらっていたのですよ」
何だろう、全部が過去形って事は、もしかして……。
「ふふっ、そんな顔をしないで下さい。死んでしまったかのように話してしまっていましたね、申し訳ありません」
「いえ。居なくなってしまった……とか?」
「そうです。私の父が居なくなったのと、ほぼ同時期に行方が解らなくなってしまったのです」
モーリーさんのお父様と一緒に出て行っちゃったのかな。
『(そうかもしれぬな)』
おっと、ルビーさん聞いていたのね。
『(イオリ、後で話がある)』
今じゃだめ……ですよね。やだなあ、睨まないでよ。
「モーリー、だいぶ陽が下がってきたぞ。今日はここで野営するのか? それとも……」
「アタシ、イオリともっと話がしたい」
ミュゼさんが割って入る。この三人組の中では一番若く見えるミュゼさん。マシュさんとモーリーさんが目線を合わせてため息がちに苦笑する。
「イオリさん達は、もう少し先へ進むのですか?」
少し困った顔で、モーリーさんが尋ねる。どうしよう、全然考えてなかったな。
『(共に野営しよう。我の話に、モーリーの父親が関係ないわけでは無さそうだからな)』
ん? よく解んないけれど、今夜はここで野営していくのね?
「今日はもう進まず、ここらで野営していきます」
「やったあ! イオリ、もっと話をしよう! イオリの話が聞きたい!」
やれやれといった様子で、嬉しそうにはしゃぐミュゼさんを眺めながら、マシュさんとモーリーさんは腰をおろした。




