ネームド。
合間みて加筆していきます。間があきすぎて本当にごめんなさい。
「……―で? そのスミちゃんと追いかけっこしてたら、私達とはずいぶん離れてたってわけなのね?」
『うん。ごめんなさい』
私とルビーに叱られて、しょんぼりしているエンリルと、その足元にちょこんと居る、スミちゃん。
『(しかし、グリーンキングキャタピーが名前を持っているとは驚きだ。エンリルは話が出来るのか?)』
『うーん? お話するっていうよりも、ルビーみたいに頭の中でお話するかんじかなー?』
私とルビーがいつもしている会話の感じって事かな。
「ルビー、グリーンキングキャタピーってどんな魔物……魔物? なの?」
『(一応あれでも魔物だ。進化するのに果てしない時間と経験値が必要なのでな、中々進化した成体を見られる者は居ない。幼生でも繁殖が可能で、珍しい魔物ではないが幼生のうちは弱く、自守する技もない。ゆえに他の魔物の餌になるのが殆どだ)』
『食べちゃうの……?』
スミちゃんを翼で隠すようにして、こちらを見るエンリル。
「食べないよ。スミちゃんにもそう伝えてね」
食べはしないけれど……。
『(名前持ちだからな、もしかしたらとても強いのかもしれぬな)』
ルビー、私が見捨てられないの解ってて、さっきあんな説明したんでしょ。
『(何のことだ)』
しらばっくれちゃって。口元がにやけているのを私は見逃してないんだからね。
そりゃあエンリルが自分でつくった初めての友達だからね。また遊ぼうねの約束を守ってあげたいのは解るよ。
「……エンリルは、スミちゃんと一緒にいたいの?」
翼で隠したままのスミちゃんをじっと見つめるエンリル。私達にはふたりが何を話しているのかは解らない。
『スミちゃんは、簡単に食べられちゃう気は無いけれど、ワタシは弱いからそれも仕方のないことだって理解してるって言ってる』
お? 私ちょっと侮っていたかも。スミちゃんってエンリルより大人かもしれない……。
『(だろうな)』
『スミちゃんはぼくよりもずっと大きいんだって! 見た目はちっちゃいけれど、ずっとずっと長く生きてるんだって!』
『(進化するために必要な時間が長いと説明したであろう。個体によってややばらつきはあるが、何もしないままで短くても五百年はかかるはずだ。)』
「ごっ……!?」
『(そうだ。それを短縮するために経験値が必要なのだ)』
「え、でも経験値って……敵を倒したりって事だよね」
『(敵を倒す事もままならぬ、ましてや自守する術もない。成体がめったに見られぬ理由が解ったか? そして、そこのスミは多分二百年近く生きているはずだ)』
『ルビーすごいね! その通りだって言ってるよー!』
に、二百年……。




