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グリーンキングキャタピー。





 昨日はあのままネチスタの木の上で、ルビーのお腹に埋もれて、エンリルも一緒にくっついて団子になって眠った。



『(我は布団ではないぞ)』



 目が覚めて、ルビーの第一声。



 ルビーの毛って本当にふわふわで暖かくて、とっても気持ちいいんだもん。重たかったんだよね、ごめんね。



『(……朝飯にうまいものを喰わせてくれるのなら許そう)』



 しょうがないなあ。じゃ、朝ご飯作ろうか。

 あれ? エンリルは?



『(つい先ほどまで、そこで葉をついばんでいたのだが……)』



 エンリルー! 朝ご飯にするよー!



『(気配探知で探してみるか)』



 お願い、ルビー。エンリルったら! あんまり私達から離れちゃだめだよって言ってあるのに。



『(少し離れてはいるが、我の探知が届く距離だ。エンリルのそばに小さな気配があるのだが敵意はないようだ)』



 ルビー、背中に乗せてね! エンリルの所まで行ってみて!



『(わかった。行くぞ)』





 迷子になりそうなくらい枝分かれした木の上を、迷う事なく走り抜けるルビーの背で、振り落とされないようにしがみついて、ようやくエンリルの所へたどり着いた。



 エンリルは、丁度すっぽりと入るくらいの木のうろのような所に隠れていた。



「エンリル! 何やってるの!」



 私の声に、ビクッと身体を震わせてこちらを向くエンリル。



『ごめんなさい……』



 俯いたまま、小さな声で呟いた。



「何にも言わないで私達から離れちゃだめでしょう?」



『(……イオリ、エンリルの後ろに何か居るぞ)』



 ルビーの言葉に、エンリルの尻尾のあたりをじっと見つめると確かに何かが動いている。



「エンリル? 後ろに隠しているのはなあに?」



 私の顔を見て少しだけ考えた後、エンリルは自分の後ろに隠していたものを咥えて、差し出した。



 手のひらを出すと、ずしっとした重みと、ぷにっとした感触が伝わる。



『追いかけっこしてたの……ごめんなさい……』



 手のひらへと目線を落とすと、そこには緑色のむちむちした……。



「いっ……芋っ……!!」



『グリーンキングキャタピーのスミちゃんだよ!』



 嬉しそうに話すエンリルの手前、手のひらに乗せたままにしているけれど、私としては一刻も早く放り投げたい……!



 そんな気持ちは表に出さず、スミちゃんという芋虫をそっと地面に降ろす。ただ、後ろで見ていたルビーだけは身体を揺らして愉快そうに笑っていたけれど。






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