桃色たまごフルコース。
ひたすら桃色たまごを使って料理を作り続けたら、とんでもない量のたまご料理が出来上がった。
『(おおっ!! 何とうまそうではないか!!)』
『わあーすごーい!! ぼくお腹ぺこぺこー!!』
作ったのは、スパニッシュオムレツと巨大オムライス、それからベジタブルサンドとかきたま味噌汁。
スパニッシュオムレツは、玉ねぎとにんじんにパプリカやマッシュルームとひき肉を炒めたものに、塩コショウと顆粒だしなんかで適当に味付けしたものをたまご焼きでまとめるだけの簡単なもの。具だくさんだから食べがいがあるし、プリンプリンの桃色たまごならしっかりまとまりそうだったからね。
巨大オムライスは、いっちばん大きなフライパンとたっぷりの卵液を使って作った。乗せるお皿が無くて慌ててワンクルーに頼んじゃったよ。中身のチキンライスにはコッソリお野菜をふんだんに入れ込んでみた。ケチャップで名前も書いておいた。
ベジタブルサンドは、スクランブルエッグとトマトやベーコン、レタスをフレンチドレッシングとマヨネーズで和えて、ロールパンに挟み込んだもの。
かきたま味噌汁には説明はいらないね!
『(食べてもいいか?)』
待っててくれたの? ごめんね! 食べよう!
いただきまーす!! と皆で手を合わせた。
『(我の名前が書いてあるものは我が喰っていいのか?!)』
どうぞ。ルビーだけのものだよ。エンリルも自分のお名前があるオムライスは全部食べていいんだからね。
『このお野菜がいっぱい入ってるの、シャキシャキしてておいしいね! お名前が書いてあるのもおいしいよ!!』
『(我の名前からトマトの匂いがする……)』
訝しげにオムライスの匂いをふんふんと嗅ぎながら見つめるルビー。噛み付いたりしないから食べてごらんよ。
『(中の穀物からもトマトの匂いがする!! こっ、これはうまいな!!)』
お野菜たっぷり入れてあるのに文句言わない。大成功。
『主ー、にこにこしてどうしたのー? 食べようよー』
ルビーを見ながらにやにやしていたらエンリルに突っ込まれちゃった。
じゃあまずはベジタブルサンドから。
うーん、パンも柔らかくてお野菜も新鮮で美味しいなぁ。桃色たまごのスクランブルエッグがぷりぷりしてて食感の違いが面白くて楽しい。
豚汁作ってからお味噌汁飲んでなかったから、かきたま味噌汁も胃にしみるー! やっぱり日本人はお味噌汁がないとだめね。
『(イオリ、もう一度名前を書いてくれ)』
ずい、とお皿を寄せてくるルビーさん。そのお口の周りのべたべたはどうしたのかな?
『(トマトの味がして美味かったので、つい……)』
名前だけ舐め取ったな。今度はオムライスと一緒に食べるんだよ! 大きなオムライスに、大きく名前を書いてあげた。
ふたりとも止まる事なく食べ続けている。作った料理を自分以外の誰かが食べてくれるって、すごく嬉しいし、しあわせ。
両親が亡くなって、兄弟も居なかったから、ひとりで作ってひとりで食べるのが当たり前になっちゃってたもんね。
ぼんやりとしあわせに浸っていたら、ルビーがぴたりと食べるのを止めてこちらを見て、言った。
『我がイオリをこちらの世界へ引きずり込んだ。そんな我を怒る事もなく、トモダチになってくれた。エンリルもあのまま放っておけば、ここまで成長もせずに朽ちていただろう。そしてイオリの作るものはどれも美味い。我らもシアワセだ』
……!
ばかルビー! 泣かさないでよ!!
ぼたぼた溢れる涙を拭う私を見て、ドヤ顔で食事に戻るルビー。でも、私を泣かすための嘘なんかじゃなくて、多分本心なんだと思う。ルビーの尻尾が落ち着かずにあっちこっち動き回ってる。尻尾は口ほどにものを言う……。
『どうしたの!? 主、どこか痛いの!? ご、ごっちんする!?』
エンリル、食べながら喋らない。お口の中のトマト達がミサイルみたいに飛んできたじゃない。
大丈夫だよ、嬉しくて泣いているだけだから、どこも痛くないよ。
よしよしとエンリルの頭を撫でて、食事に戻って桃色たまごづくしを楽しんだ。




