サースコッコとスラープアント。
巨大な桃色たまごをアイテムインベントリにふたつ放り込んで、サースコッコが戻って来る前にその場を離れる事にした。
『(サースコッコもうまいのだがな……)』
ぽつりとルビーが呟く。
それは、ここで待ち受けてサースコッコも狩ってやるぜ的なあれ?
フンス! と鼻を鳴らしてドヤ顔でこっち見てるけれど、待たないからね。こんな大きなたまごがふたつあるんだから、サースコッコいらないでしょ!
『(獲物は多い方が困らぬではないか)』
捌けないから結局次の町まで食べる事もかなわないんだよ?
『(むぅ……)』
『あーっ!! 主!! 大っきなのが飛んできたよー!!』
エンリルが叫びながら見つめる先には、巨大なニワトリのようなものがバッサバッサと翼をはためかせて、こちらに向かう姿があった。
『(いいタイミングだ! サースコッコ!)』
何がいいタイミング!? 早く逃げるよ!
ますます距離が近づき、よく見るとしっぽが長くて蛇のようなウロコもあった。コカトリスにそっくりな風貌のサースコッコは、どうやら私達の存在に気づいたようで更にスピードアップして近づいてくる。
ちょっ!! ルビー!! 背中に乗せてよー!! 追いつかれちゃう!!
『(逃げても間に合わぬ! 迎え撃つ!!)』
爪を出して背を丸め、ネチスタの木の枝がしなる勢いで踏み込んでサースコッコへとジャンプするルビー。ルビーなら絶対逃げられるはずなのに。あなた、戦いたかっただけでしょう!!
『ぼくも戦うー!』
エンリルも私を置いて、向かってくるサースコッコへと飛んでいった。
サースコッコの頭はルビー、蛇のような尻尾をエンリルが相手している。
頭はまるでニワトリのようだけれど、鶏冠の部分が赤く燃える炎のように長く伸びていて、鋭いくちばしの中には鮫のような牙も見えた。
尻尾の蛇も、エンリルに向かって威嚇するように牙を剥いている。
ふたりが戦っているのを見上げていると、私のそばの葉っぱがガサガサと音をたてた。
音のした方を見ていると、真っ黒な私の背丈ほどの大きなものが現れた。
『イオリ! そいつはイオリが倒せ!』
現れたのは、大きな蟻。キキキ……と口のような所から鳴き声? をたてている。
『スラープアントだ! 動きも早くなく強くはないが、決して捕まるな!』
スラープ……って事は、捕まっちゃったら何かを啜られちゃう感じ……?
『魔力を含んだ体液を搾り取られるぞ! 頭と胴のつなぎ目が弱点だ! そこを狙え!』
もー!! どうして虫系の魔物は全部が全部体液を好むの!! きもちわるーい!!
『主ー! 頑張ってー! すぐにぼくも行くからねー!』
ルビーもエンリルもサースコッコと対峙していて手が離せない様子だから、頑張りますとも!
いつもいつも守ってもらうばかりのイオリさんじゃない所を見せないと!
腰に携えておいたウィップを構えて、一度深呼吸をしてからスラープアントと向き合った。




