ごっちんと、ばさばさ。
風邪を引いて更新がままならなくて、申し訳ないです。相変わらず思いつきなので、熱で考えがまとまらない上にぐだぐだなので、後々改稿するかもです。
お腹がこなれた所で、先へと進む事にした。
見渡す限り草原で、景色はあまり代わり映えしないんだけれど、ルビーの背に乗せて貰っているおかげで楽しい。
エンリルも楽しそうに私達の少し上を飛びながらついてくる。
イレイドの谷まで後どのくらいなのかな?
『(ふむ、このまま行けば後二日ほどで着くと思うのだが)』
私は報酬でもらった毒消しの腕輪はずっと装備してあるけれど、エンリルはどうすればいいのかな。
バサバサッとエンリルが私の肩へと降りてくる。
『どうしたのー? ぼく呼んだ?』
『(エンリル、これから行く所は猛毒に侵された谷なのだ。かなり深くまで行かねばならぬが、どうする?)』
どうするって……どうしようもないんじゃ……?
『うーん……』
『(持っているスキルの中で使えるものは無いか?)』
『ぼくの使えるスキルはねー、ごっちんと、ばさばさかなー』
……ばさばさ?
『(ばさばさとは何だ? 使ってみろ)』
『はーい! いくよーばさばさー!』
翼を三度震わせると、エンリルの身体がクリーム色のオーラのようなものに包まれた。
『ばさばさしたよー』
『(それはシールドか?)』
シールド? 盾?
『えっとねー、うん! エアシールドだってー』
『(不可侵のバリアのようなものだな。いいスキルを持っているな、エンリル。術者が解くまでシールドは術者を守り続けるのだ)』
え、無敵じゃない? エンリル……。おそろしい子……!
『これはねー、主をまもるために出来たんだよ!』
エンリル曰く、主が怪我をしたら治してあげられるようになりたいなって思ったら、ごっちんを使えるようになって、ぼくが守らなきゃいけないんだって思ったら、ばさばさが使えるようになったんだって……。
『(どっ、どうしたイオリ?! なぜ泣いているのだ!?)』
「だって……エンリルがいい子すぎるんだもん~……」
不甲斐ない主でごめんね、とエンリルを撫でると『そのままの主がだいすきだよー』って、キューッとのどを鳴らしてくれた。
『(エンリルに報いるように、イオリも強くならねばな)』
「うん……」
私は、知らない世界に来ても、大した不自由もしないで過ごす事が出来ている。
ルビーに守られて、エンリルに守られて。
ありがとうって言葉だけじゃ足りない。
ふたりに報いるためにも強くならなくちゃ。
ひた走るルビーの背で、モロクで買ったテイマーの本を読みながら強く思った。




