三階のラムチョップ。
オコなルビー様のおかげで二階も楽々と突破出来たので、三階へと上がる石畳の階段を進んだ。
「えっ、三階……真っ暗……」
『(えらく暗いな。我らは見えているが、これはイオリには見えないだろう)』
『ぼく見えるよー!』
どうやらルビー達には暗さも関係なく見えているらしい。赤外線でも装備してるの?
『(灯りを出してやろう)』
そう言ってルビーは薄い桃色の、手のひら大のサイズの炎のかたまりを出してくれた。私の周りをふよふよと浮かんで、熱さは感じない。
『(触っても大丈夫だ。燃える事はない)』
あ、本当だ。
『主ー、ぼくお腹すいちゃったのー』
『(む、我も言われてみれば腹が減ったぞ。魔力も少し減ったのでな、あの緑色のポーションも飲みたい)』
ふたりともマイペース過ぎない? ここダンジョンだよ?
『(ふ、こんな所でどうにかなる我らだと思っているのか?)』
さっきレイドバタフリーにしてやられていたのはお忘れなご様子ですね?
『(……)』
遠い目をしたってだめよ。いつもやられてばかりなイオリさんじゃないんだからねっ!
気配探知をしてもらって、周りに魔物しか居ない事を確認してからワンクルーを喚び出す。
『ドウモー! 毎度オ世話ニナッテオリマス! ワンクルーデス!』
『(ワンクルー、トマトと桃を持ってきてくれ)』
『ぼくはね、ぼくは葉っぱがいいのー』
待て待て待て!! 子供か!!
フルーツトマト三つと桃を三つ、キャベツを一玉をとりあえず頼んだ。
『ハイ! オマタセシマシタ!』
ルビー達に先に手渡して、私が注文している間に食べていてもらった。
ラムチョップとしいたけとヒマラヤ岩塩、ミニボトルの安い赤ワインにオリーブオイル、カセットコンロのボンベを買って、ワンクルーは消えた。
『(今日は何を喰わせてくれるのだ?)』
トマトをもしゃもしゃ食べながらルビーが覗きこむ。あ、桃には大きな種があるからね、ペッしなさいね。前回は私が切って出したから種があるの知らないはず。
『(うん? あのごりごりしていたものは種だったのか。次からは喰わないようにする)』
もう食べちゃってた。
ラムチョップのお掃除をして、軽く塩コショウしておく。フライパンに薄くオリーブオイルをひいて熱したら、ラムを両面しっかり焼いて赤ワインを入れて蓋をして三分。
『いいにおいー!』と、キャベツを食べながらエンリルが言う。
三分経ったらラムをお皿に取って、ヒマラヤ岩塩をパラパラッと。
フライパンに残った脂でしいたけを焼いたら出来上がり。
手抜きラムチョップの岩塩焼きー!
本当はハーブをたっぷり効かせて焼くといいんだけれど、これはこれでじゅうぶん美味しいんだから!
いただきまーす!
「んー!! ラムの脂と岩塩がじゅわーっとマッチしてて美味しー! お肉もジューシー!!」
『うわあ! おいしいねー! このお肉! この茶色いのも柔らかくておいしいよ!!』
しいたけも脂を吸ってしっとり……!
『(うむ、うまい……!)』
骨は食べちゃだめだよ。ちゃんとペッしてね。
みんなでお腹いっぱい食べて、一休みしてから腰をあげる事にした。




