YES or はい。
ソフトな表現にしていますが、黒いGの話があります。ご注意ください。
モロクから出て、道なりに南へと下る。
途中で馬車とすれ違ったけれど、引いていたのは馬じゃなかった。何というか、ファ○ナルファン○ジーに出てくる大きなチョ○ボみたいな……。
まぁ、私はルビーの背中に乗ってるんだから、すれ違ったチョ○ボの方が驚いちゃうよね。
『(イオリ、もう少し行った所にダンジョンがあるはずだが、寄って行くか?)』
え、寄らないって選択肢があるの?
『(……)』
行かなきゃだめな流れでしょ。しってる。
『ぼくダンジョンはじめて! 敵がいっぱいいるんでしょ!』
エンリル、君はビビリなのに何でそんなにテンション上がってるのかな?
少しスピードアップしたルビーから、わくわくしている感じが伝わってくる。レベリングを頼んだのは私だし、忘れていたけれど買った鞭も使わなきゃもったいないもんね。
しばらく走ると、雲を突き抜けそうな高さの大きな木の根本でルビーが止まった。根本にはこれまた大きなうろのような入口があって、人が立っていた。
ひとまず木の陰に隠れて、ワンクルーを喚び出した。こんな時はとっても便利なワンクルー。
『喚バレテ飛ビ出テ、ワンクルー! サテ、今日ノゴ注文ハ!?』
……相変わらずのテンションですね。
ワンクルーに買ってきて欲しいものを頼んで、それらをアイテムインベントリに放り込んだ。主に、食べ物と飲み物。ダンジョン内じゃ、さすがに手のこんだ料理も出来ないだろうし。
『ソレデハ! ゴ機嫌ヨウ!』
ワンクルーが消える時の、苦情が来そうな挨拶シリーズはやめたのかな? それともネタ切れかな?
『(スキルは術者の性格を反映させているものが多いと聞くが……)』
私って、あんな感じなのかなぁ。
『主はもっと静かだよ! 大丈夫!』
フォローありがと、エンリル。
『(トマト……)』
本屋さんで私がトマト買わないって言ったから気になってたみたい。しょんぼりと尻尾が垂れてる。心配しなくても、ちゃんと買ったよ。
『(ありがたい……!)』
そりゃあね、ルビー様のおかげで食いっぱぐれもしないで旅が出来るんだもの。買いますとも、トマトくらい。
準備も出来たところで、入口に向かう。
立っていた人に登録証の提示を求められて、あらかじめ出しておいた登録証を見せる。
「従伴の名がひとつしか印字されていないが?」
そっか、エンリルは従伴じゃないんだった。
「育成を頼まれているので、こちらは従伴ではありません」
「ダンジョン内で頼まれている方が死んでも、責任はとれないが構わないか?」
「はい、大丈夫です」
「気をつけてな」
見送られて、ダンジョンへと足を踏み入れた。
……………………
ダンジョンに入ると、鬱蒼としげった森の小路に出た。木の中のダンジョンだから木で出来ているのかと思いきや、こうきたか。
『(エンリル、強くはないが魔物がいるぞ。森の中だ、毒を持っているものも少なくないから気をつけろ)』
『わかったー!』
虫とか居るんだろうな〜……苦手なんだよなぁ……。
『主! あぶないよ!』
エンリルがそう叫んで、私の足元に急降下して鉤爪をめり込ませた。
つやっつやで黒々とした体表面、びよんびよんした触角、毛の生えた脚……どうみても巨大なG!
「いやぁぁぁぁあああ!!!!!!」
腹の底から叫びながら、腰に携えていた鞭を振り下ろした。私の知ってるGよりも硬いようで、振り下ろした鞭はベチンベチンと音を立てて跳ね返される。
『このー! 主をいじめるなー!』
めり込ませた鉤爪を、さらに深く沈めるエンリル。すると息絶えたのか、スーッとGが地面に吸い込まれて、触角が残った。
『消えちゃったー。食べようと思ったのになー』
『(ここにいる魔物は全て、このダンジョンの木が創りだしたものだ。死ねば木へと戻り、ドロップ品が残される仕組みになっておるのだ)』
なるほど、そういう仕組みなのね。……で、このドロップ品は誰が拾うのかな?
『食べていいの?』
食べちゃだめ!!
だけれど、拾いたくもない……!
『(放っておけば、そのうち木がとり込むだろう。要らぬのならば置いておけ)』
遠慮なく。
Gの脚なんて触れないし、アイテムインベントリであっても入れたくないもの。
『えー! ぼくが食べるよー!』
おいしいもの食べさせてあげるから、あれは諦めなさい! とエンリルを引きずって先に進んだ。
上にあがる階段を見つけるまで、エンリルは食べたかったとゴネていた……。




