ドア、消失。
なんということでしょう。ふと気付くと、私の部屋に繋がっていたゴテゴテのドアが消えているじゃありませんか!!
「ちょっ……ルビー!?」
『どうしたイオリ』
「ドアが、無い!」
『ここいらに漂っていた魔気が薄まったせいで、型をなしている事が出来なくなったのだろうな』
「困るよ! 帰れないと、明日も仕事だし!!」
『そうは言ってもな、魔導士が居なければ召喚術も使えぬぞ?』
うわーマジか。大丈夫かな。私、謎の失踪者とかになっちゃうんじゃないの。両親はとうに亡くなっているから身内に心配はかけないで済むけど、仕事はクビになるだろうなぁ〜。はぁ。
「ねぇルビー、その、魔導士様とやらはどこにいるの?」
『知らぬ』
そうだった。引きこもりだった。
「ルビーは魔導は使えないの?」
『使えるが、召喚術が出来るのは人間族だけだと聞いている。我は属性魔導が主なのでな』
「人間族って、この大陸のどこに居るの?」
『知らぬ』
だめだ! つかえねー! これだから引きこもりドラゴンは!!
『イオリ、聴こえているのだが』
「ごめん」
よし、腹を括ろう。
向こうの世界に帰る方法を探さないと。
向こうにあんまり未練があるわけではないけれど、それでもこっちの世界に居続けるには準備も心づもりも足りない。第一、私、パジャマにスリッパのまんまだよ。
「…………ルビー、私、あっちの世界に戻る方法が知りたいの」
『聴こえていたぞ』
話がはやくて助かるけど、こうもだだ漏れだと考え事とか隠し事は出来ないな。
「世界を見に行くついでに、召喚術が使える魔導士を探しに行きたいの。一緒に来てくれる?」
『勿論だ、友達だからな』
真っ赤なドラゴンは、真紅の瞳を輝かせ笑った。