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レア個体はとっても高値。





 しばらく待つと、リグルドさんが凄い勢いで部屋に入ってきた。



「そっ、そりゃライグルじゃねえか! あのポム爺の許しを得たのか?!」



「はい、村長さんのお許しを得て育成を引き受けて来ました。あと、報告もしてきましたよ」



「あンの爺〜! 何度行っても俺には「駄目だ」の一点張りだったくせに……! おっと、報告は助かったよ、ありがとうな」



「リグルドさんもライグルを育成したいんですか?」



「ああ! ライグルの角があるだろ? 本来は白い角が生えるんだが、極稀に色のついたのが生える奴が居てな、今現在されているのが赤と青で、それぞれ火魔導と水魔導のスキルに特化していてレア個体として高値で取引されているんだ!」



 リグルドさん、目がキラッキラしてる。お金儲けのためなのね。そりゃポムさんが許してくれるはずないや……。



「譲ってくれよ〜! そのライグル〜!」



 手をわきわきさせながらエンリルに近づくリグルドさん。



『あるじ……このひとこわい……』



 サッとルビーに隠れるエンリルを見て、話を聞いていたルビーがやれやれといった感じで立ち上がり、リグルドさんに唸る。



「冗談だよ、おっ、怒るなよ、なっ!」



 ちっとも冗談には聞こえなかったけれど。

 その様子を見て、ルビーは腰をおろして尻尾でエンリルを巻くようにして守っている。



「もしレア個体であっても、ひとには譲りませんよ。村にお返ししなきゃいけませんし。さ、ミノオルグスのお話を!」



「お、おう」と少し引いてるリグルドさんが、冷蔵庫みたいな箱の中から取り出したのは、片手に乗るほどの少しオレンジがかったお肉の塊だった。



「素材の皮と牙、それと角はクランで買い取りで、肉が返却希望だったな」



 大きなミノオルグスから、たったこれだけしか食べられる所はとれないとのことだった。周りは筋肉で硬くて食べられないんだって。でも、中のお肉はその頑強な筋肉に守られていて、とっても美味しいんだそう。



「んじゃ、解体費用を差し引いた残りな!」と麻袋みたいな袋に入った金貨を渡してくれた。



「ありがとうございました!」



「おう! 大事に育てろよ! 俺もポム爺の所に行ってみるかぁ」と言いながら、リグルドさんは部屋から出て行った。



『(困ったドワーフだな。だが、エンリルはイオリと同じ匂いがする……。と、いう事はレアである確率は高いと思うがな……)』



 エンリルが本当にレア個体だったらびっくりしちゃうね! 何色の角が生えるんだろう、楽しみだねエンリル!



『かっこいいのがいいのー』と、エンリルはピキューッと鳴き声をあげている。ルビーの声はふつうのひとにも聞こえるけれど、エンリルのはやっぱり周りからは鳴き声しか聞こえないみたい。私達は会話出来るから不便はないけれど、変なの。



『(さて、これで今夜はミノオルグスの肉が喰えるな)』



『おっにくーおっにくー』



 夜ご飯のメニューは決定なのね。じゃあ、それまで何しよっか?



『(特訓だ)』



『とぶれんしゅうするのー』



 はいはい……。

 クランを出て、宿屋のおかみさんに前払いしてお部屋をキープしてから、町を出た。






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