友達のなまえ。
光がおさまり、目を開けてみる。
特に何も変わりはなく、私の前にはドラゴンが座っている。
『友達になったぞ』
「え?」
『ステータスを確認してみろ』
ステータス?またまた、ゲームじゃないんだからぁ。
“ステータスを確認しますか?”
「!?」
頭の中に響く、きれいな声。機械のような、肉声のような、それでいて女性か男性かもわからない。不思議な声。
「……あ、はい。確認します」
“名前︙橋本伊織 年齢︙26歳 召喚者”
“職業︙テイマー 従伴︙紅竜”
“固有スキル︙ショッピング”
確認できちゃったよ。こういうのがまかり通っちゃう世界な感じなの?職業がテイマーになってるし。固有スキルがショッピングっていったい何なの。確かにお買い物は好きだけど。
『イオリ、しょっぴんぐとは何だ』
「!?ドラゴン、私のステータスが見えるの?!」
『見えるぞ。友達だからな』
何て説明すればいいのかな。買い物?ドラゴンに買い物って通じるのかな?
『ふむ、買い物か。初めて見るスキルだな』
「ちょっとまって。私の考えてる事もわかるの?」
『わかるぞ。友達だからな!』
ふふんとふんぞり返って得意気に言うドラゴン。
友達になったからって、だだ漏れじゃないの、もう。
でもまぁ、いっか! 覇気のなかったドラゴンもちょっとだけ元気が出たみたいだし。
「いつまでもドラゴンじゃあ、味気ないね。呼ぶのにも困るし。名前つけてみない?」
『我が種族に名は必要ないのでな。どうしてもというならイオリが付けてくれ』
うーん。猫や犬じゃないんだからポチとかミーとかつけたら怒りそう。
『怒りはせぬが、少し哀しいぞ』
そうでした。だだ漏れなんでした。
「じゃあ、ルビー」
『るびー。どういった意味があるのだ?』
「私の世界で一番きれいな紅い宝石の名前!」
『…………名を持つというのも、悪くないものだ』
ルビーと名付けたドラゴンは、尻尾をぱたぱたさせて喜んでくれた。喜んでくれてると思う、多分。