あなたのコンビ。
ワ、ワンクルー……?
『ハイッ! 何デショウカ!』
喋らなくても通じるんだ……。
『オ答エシマス! 私ハ、イオリ様ノ固有スキルデアル、ショッピングノ一部デス! 小サクナッタスーパーダト思ッテクダサイ! ナノデ思念通話ガ可能ナノデス! 勿論、共二使用サレタルビー様ニモ可能デスヨ!』
……で、以前と何が変わったの?
『何ト! ゴ注文下サレバ私ワンクルーガ、注文ノ品ヲオ持チ致シマス! イオリ様ガ望メバ、以前ノヨウニ店内デノオ買イ物モ可能デス!』
ワンクルーと名乗るこのハスキー犬は、わちゃわちゃと身振り手振りで説明してくれる。
『後、+1ニナッタノデ、ショッピング自体モランクアップシマシタ!』
……取り扱う品が増えたとか?
『イオリ様ノオ言葉ヲ借リルト、「大型スーパー」ヘノランクアップ二加エテ「ホームセンター」ガ追加サレマシタ!』
それはどの程度のものなのかな?
『大キナ声デハ言エナイデスガ……“イ○ン”ト“コー○ン”ノ様ナ感ジデス』
いよいよワ○ンとか言い始めるんじゃないだろうか……。コー○ンか……。じゃあワンクルー、試しにトマト二つと、ドッグフード買ってきて。
『カシコマリマシタ! トマトハ、フルーツトマトデハナク、通常売場ニアルトマトデヨロシイデスカ? ドッグフードハ、メーカー指定ハゴザイマスカ?』
じゃ、じゃあフルーツトマト二つとD社のやわらかドッグフードでお願いします。
『承知シマシタ! ……ドウゾ! ドッグフードハ、ホームセンターノ方ガ安カッタノデ、ソチラデ買イマシタ!』
一瞬で、目の前にフルーツトマト二つとドッグフードが置かれる。これには私もルビーも驚愕。ルビーに至ってはずっと空気だし……!
『チャージ金額ガ100,000円ヲ切ッタラ、オ知ラセ致シマスネ!』
は、はい、わかりました。ありがとうございました……。
『アナタノコンビ! ワンクルーショッピング! マタノゴ利用オ待チシテオリマス!』
どこかのコンビニの謳い文句みたいな事を言いながら、ワンクルーは消えた。手元にはフルーツトマトとドッグフード……。
『(な、何と賑やかなスキルだ……)』
ルビー、口、開いてるよ。まさしくポカーンといった様子がぴったりな感じ。
フルーツトマトとドッグフード、食べる?
『(……喰う)』
フルーツトマトはとても甘くって、私がひとつ食べている間にルビーはペロリと食べてしまった。気に入ったみたいで、私の食べかけのトマトをじっと見ているから残りをあげると、美味しそうに頬張っていた。
ワンクルーのおかげで便利になったけど、やっぱ店内で買物する方が私は好きかなぁ。
『(我はどちらでもいいが気になるものはまだまだあるゆえ、時々は商店の中を見たいぞ)』
そうだね。トマトなんかはワンクルーに頼んで、たまにはお店で買物しようね。
満足そうにルビーはうんうんと頷いた。
『(それはメロウに渡したものと同じものか?)』
あぁ、ドッグフード。メロウのとはまたちょっと違うんだけど。食べてみる? どうぞ。
『(これはうまいな。肉のような風味もあり歯ごたえも程よくある。だが……イオリの作るものの方がうまい)』
ペロッと一袋食べちゃって、あまり説得力はないけれど嬉しいよ。
これで、レベル30になったら+2とかになっちゃうのかなー?
『(わからないが、ワンクルーが増えたら……少し嫌だ)』
二匹になったらどうしよう……。
『(まだ先の話だ。またその時に悩むとするか……)』




