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雨降りのキムチ鍋。





『ここらで野営するしかないな』



「山の中だね」



『木のうろや洞窟でもあればいいのだが』



 山頂あたりまでたどり着いた頃には、もう日が沈みはじめていた。辺りを探してみると、大きな木の根本にルビーと私が入れるサイズのうろがあったので今夜はそこで休むことにした。



「ここんとこ宿屋でちゃんと寝てたから、お布団が恋しいよ〜お風呂に入りたいよ〜」



『そうだな。明日にはモロクに着くはずだ、こらえろ』



「ごめんねルビー。私を乗せて歩いてくれて。疲れたでしょう、ありがとうね」



『疲れてはいないぞ、気にするな。それよりも雨が降りそうだ』



 初めての雨だなぁ。じわじわと雨雲が広がって、雨が降ってきた。途端気温が下がって冷えてきた。



「なんか暖まるもの食べようか」



『そうだな、イオリは身体も小さい。あまり冷えるのは良くない』



 こういう時こそ、鍋でしょ!



 ルビーの気配探知で周りに誰もいないことを確認して、ショッピングを使った。新しい大きめのお鍋とキムチ鍋の材料と、トマトとリンゴもね。レベルが少し上がったおかげか、ショッピングを連続使用してもだいぶ疲れにくくなってきたみたい。



 そういえばトリシャ様に貰って飲んだ特製ポーションがメロンソーダの味がした事を思い出して、がぶ○みメロンソーダも買ってみた。



 買い物を終えて、調理開始〜。



 白菜、水菜、しめじやえのきに長ネギ、春菊にニラに、まいたけも入れちゃう。はんぺんもお豆腐も厚揚げも、ひたすらざくざく切って、キムチもざく切り。キムチ鍋の素とだし昆布を鍋に入れて、沸騰したら野菜とお肉を放り込んで煮る。



「この匂い、お腹が減るー!」



 ルビーはトマトにかぶりついてる。飽きないね、ルビーさん。



 大体火が通ったら、仕上げに豆板醤を少しだけ入れて出来上がりー! イオリ特製かんたんキムチ鍋ー!



「『いただきまーす』」



「お野菜がおいしい〜! 白菜も春菊もおつゆをたっぷり吸ってたまんないね! ちょっと豆板醤入れすぎたかな? 辛いけどあたたまる〜」



『……イオリ! 口の中が痛いぞ! 毒ではないのか!?』



「えー……。毒なんか作らないし作り方も知らないよ。おいしくない?」



『味はうまい。肉も柔らかく炊けているが、口の中が痛いのだ……』



「この口の中がひりひりするのが、身体をあたためてくれる成分なんだよ!」



『言われてみれば、身体があたたかくなった』



「でしょ! ルビー、お野菜も食べなさい」



『……』



 ふてくされて食べてる……子供か!



『!! なんと、葉もこうして炊けば何とうまいことか!』



「ふっふっふ、そうでしょう〜美味しいんだから! いつも食べないんだから、今日はたっぷりお野菜食べなさいね!」



『この、緑のが特にうまい』



 またクセのある春菊がお好みなのね。



 お鍋いっぱいのキムチ鍋も殆どルビーがたいらげて、ごちそうさまでした。



『そういえばイオリ、しょっぴんぐで買っていた緑色のものは何だったのだ?』



「あ、忘れてた」



 がぶ○みメロンソーダ飲んでみよう。パシュッとふたを開けると、音に驚いたのかルビーの尻尾がふくらんでいた。



「びっくりした? ごめんね」



『なんだそれは。武器か?』



 甘い飲み物だよ、と説明すると『我も飲みたい』と言うので、半分こしてお皿に入れて渡した。



『舌がしゅわしゅわする……が、甘くてうまいな』



「毒じゃないからね」



『わかっている』



「やっぱりトリシャ様にもらったのと同じ味だなぁ」



『ふむ、魔力が回復しているな。ポーションか』



 ルビーの言葉で、自分のステータスを確認してみるとショッピングで減った魔力が回復していた。



「がぶ○みメロンソーダがポーションだと……」



『イオリの世界にはこのようなものまで商店で売っているのか』



 目をまんまるくさせてルビーがこっち見てるけど、がぶ○みメロンソーダはあくまでジュースだからね! ポーションなのはこっちの世界でだけだからね!



「ま、まあこれで魔力切れでダウンすることはなくなったね!」



『いつでもトマトとリンゴが喰えるということか』



 違わなくもないけど。



「がぶ○みメロンソーダ、買い溜めしてアイテムインベントリに入れておこう……」



 言葉通り、大量に買ってアイテムインベントリに入れた。それからルビーのお腹にもぐりこんで、ふわふわな毛に埋もれて眠りについた。






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