表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/109

シバの町、散策。





『そろそろ起きろイオリ。重いぞ』



 ルビーの声で、ふわふわの毛並みの大きな白猫のお腹に埋もれて目が覚めた。



「おはようルビー。ずっと動かないでいてくれたの? ごめんね」



『気持ちよさそうに寝ていたのでな』



 起き上がって伸びをしていると、朝食が運ばれてきた。持ってきてくれたのはユトさんだった。



「おはようございますイオリさ……ん……」



「おはようございます! 朝ご飯ありがとう!」



 返事をしながらユトさんの方を向くと、ルビーを見て固まっていた。



「ルビーですよ! コートで姿を変えているんです! 新しい従伴じゃないですよ!!」



「あ……ル、ルビーさんなのですか?」



『そうだ。いい毛並みだろう!』とルビーは自慢気に言い、シュッとした尻尾を丸めた。



「もしかして、レオパルの姿……なのですか……?」



『似ているだろう?』



「似ています! とってもいいですね!! 毛並みも羽も、純白で素晴らしいです……!」



 ユトさんのテンションがうなぎのぼり。そういえばユトさんも猫っぽいお耳に尻尾だ。親近感わくのかな?



 ユトさんに大絶賛されて、満足気なルビー。名残惜しそうにユトさんは「依頼があるので……」と去っていった。



『フハハハ! 我の姿に見惚れていたな!』



 そんな可愛いニャンコの姿で高笑いしたってだめよ、ルビーさん。



「さっ、朝ご飯食べよう!」



『手……手が使えぬ……!』



 今まで短いながらも手を上手に使っていたから、ちょっと不便そうだけど、すぐ慣れたみたいでお皿から上手に食べていた。





『さて。姿も変えられた事だ、次の町へ行くか?』



「うーん、シバの町の中を見てまわりたいなー。着替えも欲しいし」



『人間族は不便だな。ならば町へ出てみるとしようか』



 しばらく町中を歩いてみたけど、周りの人たちはルビーの大きさに驚くだけで、従伴だと気づくとそれ以上の騒ぎはなかった。レオパル万歳! みたことないけど!



『(服が欲しいのだったな)』



 そうだよー。この世界の服が欲しいの! ずっとショッピングで買ったやつ着てるから、洗いたいし。



 町を歩いていると、服が並べられた店があったから入ってみた。気さくなおばさんが、いらっしゃい〜! と挨拶してくれて、店内を見てまわった。大きなルビーにびっくりしてたけど、従伴で危害は絶対に加えませんと説明したらルビーの頭を撫でてくれた。



『(怯えられず触られるのは初めてだ)』



 私の従伴で危害も加えないってわかったら、見た目は可愛いニャンコだからね。あ、レオパルか。



『(嬉しいものだな)』



 紅竜の姿の頃と同じように、尻尾がフッサフッサ動きまわってる。



 私は外に並べられていたグレーのシャツとズボンをそれぞれ3セットずつ購入した。素材が何なのかはわからないけれど、手触りは綿のようで気持ちがいい。どうも色がきれいなものは高いみたいで、赤い色や青い色のものは大事そうに店内に並べられていた。



『(後はどこへ行く?)』



 ルビーこそ、行ってみたい所はないの?



『(飯屋に行ってみたい)』



 くいしんぼうルビー。でも、私もちょっとお腹が空いたしご飯食べられるお店に行こうか。



『(ここが飯屋のようだ)』



 看板に何が書いてあるかわからないから、ルビー任せで店に入ると、店内の人たちから一瞬注目を浴びたけど、従伴とわかると皆、わいわいと食事に戻った。



 空いてる席に座り、適当にメニューから選んで注文してみた。読めないし。ルビーはお座りをして私の横についている。



『(人が沢山いて賑やかだな。楽しそうに食事をしている)』



 人と一緒に食べるご飯は美味しいもんね。私もずっとひとりだったから、ルビーとご飯食べるのとっても楽しいよ。



『(……我もだ)』



 ふたりで脳内会話していると、頼んでいたものが運ばれてきた。結構ボリュームがあったけど半分こして、私が食べられなくなった残りもルビーがペロリと食べてくれた。



『(うまかった。特にイエローブルの肉の煮込みがうまかったな)』



 うん。イエローブルの煮込みがどれかわかんないよね。



 でも、美味しかった! また来ようね!



『(うむ)』



 満腹になって、クランの宿屋に戻った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ