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テイマーの、あれこれ。





 翌朝、ノックの音で目が覚めた。



 はぁいと寝ぼけた頭で返すと爽やかな低い声で、



「おはようございます。クランのサブマスターのユトです」



 と、返事がきた。

 慌てて起き上がってドアを開けると、とても背の高い、猫のような獣耳にすらっと長い尻尾を携えた獣人族のユトさんが、起こしてしまって申し訳ありませんと困ったようにはにかんでいた。



『イオリ、頭の毛が絡まっているぞ』



 どうやら寝ぐせがとんでもないことになっているみたい。ユトさんを招き入れ、ルビーにお相手を頼んでおいて、急いで洗面を済ませた。うーん、そろそろお風呂に入りたいな……。



「改めて初めまして。クランのサブマスターのユトです」



「初めまして、イオリです。こちらは従伴のルビー……紅竜、です」



「驚いた、本当に紅竜なのですね。エドから話はききました。テイマーのスキルを教えて欲しいとの事でしたね」



「はい。全然思い出せなくて……」



『……』


 もう!ルビーってば横で震えてるの見えてるんだからね!



「僕もまだまだ修行中の身なので、あまり沢山のスキルは会得していませんが、出来る範囲でお教えしたいと思います」



「よろしくお願いします。ミニマムと、ミニマムエンドは使えました」



「逆のラージ、ラージエンドもあるんですよ。小型の従伴を大きくするものですね。ミニマムとラージは、テイマーのレベルが上がると大きさの指定も出来るようになります。かなり高レベルにならないと無理なようで、僕もまだ使えません」



 ユトさんが使えないなら、私なんて遥か先のことになりそう。



「後はリンクと呼ばれるスキルで、これはイオリさんにはあまり関係ないかもしれませんが、言葉を持たない従伴とリンクすることで、テイマーの操る言語を共有することが出来ます。こちらは低いレベルでも使う事が可能です」



 今のところ、ルビーが喋ることが出来るからね。一応覚えておこう。あ!そうだ、あれを聞いておかないと!



「あのっ!従伴の姿を変えられるスキルなんてものはあるのでしょうか!」



「ありますよ。コートというスキルで、テイマーの思い描いた姿に変えられます。コートエンドで解除できます。但し、姿だけです。弱い従伴をいくら強い魔物にコートしても、弱いままです。これらはミニマムやラージにもあてはまり、小さくなっても強いものは強く、大きくなっても弱いものは弱いままです」



 なるほど。



「後は鑑定のスキルですね。従伴にしたい対象のレベルや強さ、持っているスキルを知ることが出来ます。人間族や物体にも使う事が出来るそうですよ。ただ、このスキルを使えるのはテイマーの中でも極わずかです。これは先天的なものが開花して初めて使用可能になる、才能のひとつなのです。僕は才能が無かったようですけどね」



 困ったようにはにかむユトさん、可愛い……!



「対象を従伴にするには、どうしたらいいんですか?」



「屈服させるのです。戦闘でも何でも構いません、“テイマーには敵わない”と思わせられたら従伴完了です」



 私、ルビーに何もしてないんだけどなぁ。



「後は従伴を強制的に戦闘状態にしたり、特攻させるもの、自爆を強いるスキルもあります」



「そういうのは、もう少しテイマーとしての自分を思い出す事が出来てからにします」



 ルビーにそんな事させられないし。友達だもんね。



「本当はもっと細かくお教えしたいのですが、今日はこれから用があるので行かなくてはいけないのです」



「いえいえ、助かりました!思い出せるように、少しずつ前に進んでいきますので、またお話をきかせてくださいね」



「はい、こちらこそ!記憶が戻るように、僕も応援していますから!頑張ってくださいね!」



 それでは! と去っていくユトさんは、後ろ姿も爽やかでした。





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