どれもこれも、見た事ない。
「ふぁ〜あ、よく寝たぁー…………ッ?!」
『おはよう、イオリ』
爽やかな挨拶とは裏腹に、ルビーの横にはこんもりと積まれた動物の山と、果実の山。
「グロい……」
『イオリがゆうべ、狩ってこいと言っただろう』
確かに言った。言ったけれど。
「全部食べられるやつなの? っていうか、何があるの」
『うむ、まずこれはピグモールと言うやつだ。肉がとてもうまい』
「豚の鼻を持ったモグラね。大きさはモグラの比じゃないけれど。食べちゃえるんだ……」
『そしてこれはチューシープと言ってな、毛がとても深く見た目は可愛らしいのだが毒牙を持っている上にすばしっこい』
「もっこもこの羊のようだけれど、細い四本足に口元にはネズミのような歯が出てる……これが毒牙なのね」
『最後にこれがエレクバードだ。雷魔導を使う魔物で、額に魔導石があるやつが昔は高値で取引されていたぞ。こいつも付いておるな』
「見た感じはポケ○ンの黄色バージョンのリザー○ン。色違いだからレアかもしれない!」
『さっきから何を言っているのだ?』
「私の世界のもので解りやすくしているのよ、気にしないで」
『果実はプルの実とレグレの根を採ってきてあるぞ』
「プルの実、紫色に白い斑点があるんだけど毒とか無いよね」
『無いぞ』
「……レグレの根って事は埋まってたの?真っ赤な涙型の、ぶどう状に連なる根っこなんて初めて見たわ」
『そいつはな、土の上の部分は攻撃してくるので厄介なのだ。滅多に見かけないのだが、味はとても良いのでな』
「魔物なんだ……上の部分……。たくさんありがとう、大変だったね」
礼はトマトでいいぞ! だってさ。お気に入りだね、ルビーさん。
「とりあえずさ、この魔物や果実持ち歩けないし、ショッピングで大きめの袋でも買おうか。トマトも買わなきゃだし」
『ん?イオリはアイテムインベントリは持ってないのか?』
「なにそれ」
“アイテムインベントリを確認しますか?”
きたな、謎声。「はい」と答えるとゲームなんかでよくある持ち物一覧が出た。便利だな、これ。見た感じ容量も結構ありそうだ。
『あるではないか。これも特殊スキルのようなものでな、持っている者は数少ない。イオリは匂いが違うから持っていると思ったぞ』
そうなんだ。あまり他言しない方が良さそう。
『賢明だな』
ルビーの取ってきてくれたものをせっせとアイテムインベントリに入れていき、片づけ終わるのに結構時間をくっちゃった。
『食わぬのか?』
「うーん、魔物はさばかないといけないし、果実はまだ勇気が出ないから……」
シバの町でさばいてもらえたらいいな。ひとまず、トマトと私の朝ごはんを買うためにショッピングだ。
周りに何の気配も無いってルビーが気配探知?みたいな事をしてくれたから、安心して買い物を済ませて、朝ごはんも終わらせた。