肉フェス。
さて、カナンさんのリクエストにお応えしてメイン料理はお肉にしましょう。
【大きな塊肉ですね。そのままかじっても美味しそう】
「これでローストビーフ作るんだよ」
1kgの牛の塊肉をふたつ買ったから、それが入るくらいのフライパンも一緒に買っちゃった。
その大きなフライパンに、おしょうゆとお酒、お水とニンニクのスライスを放り込んで沸騰させておきます。そこへ塊肉を入れて、全面を2分ずつ程度焼いていく。
焼きあがったらお肉は取り出しておいて、煮汁をルビーに冷ましてもらう。いつも使う小さなつむじ風みたいなスキルでね。便利だなー。私も使えるようにならないのかな。
煮汁が冷めたら、これまた買ったタッパーにお肉と煮汁を入れて放置。超簡単ローストしないなんちゃってローストビーフの出来上がり。食べる直前に切ればオッケー♪
【いい匂いですね。楽しみです】
「今日はルビーが喜ぶお肉ばっかりのご飯になっちゃうよ。スミちゃん何か食べたいものは無いの?」
【あの、イオリ様が買われていた真っ白い塊が気になります】
……真っ白い塊? そんなもの買ったかな? そこの袋に入っていると思うから取り出してみてもらえるかな? どれの事を言っているんだろう。
ガサガサとスミちゃんが袋の中を探す。これです! と取り出したものはモッツァレラチーズでした。あはは、確かに真っ白い塊だ。
「それはね、チーズっていって私の世界にいる生き物のお乳を発酵させて作る食べ物なんだよ」
そうそう、ルビーのためにカプレーゼを作ろうと思って買っておいたんだ。ついでだし、作っておこうか。
お湯を沸かして、トマトを湯剥きしておく。ルビーの好物だからね。湯剥きした山のようなトマトを半分に切っていく。スミちゃん、お手伝いお願い出来るかな?
【任せてください!】
短い手で器用に小さめの包丁を使って、トマトを厚めのスライスにしていってくれる。上手だね。その横で私はチーズをスライスしていく。
「友達とこうしてお料理したりした事もないから、何だか嬉しいな」
スミちゃんにそう声を掛けると、ニコーッと笑ってご機嫌にスライスを進める。
私はモッツァレラを切り終わって、ソース作り。オリーブオイルに塩コショウと粗挽きのブラックペッパー、レモン汁と乾燥バジルを入れてよく混ぜれば完成。少しだけ味は濃い目に。
【イオリ様、終わりました~!】
「ありがとう。じゃあ盛り付けていこうか」
パーティ用の大きな平皿に、トマトとチーズを交互に挟んで並べる。バジルも買っておいたから、ちょんちょんとお皿に置く。見た目もきれい! 最後にソースをかけて出来上がり。
ニコニコしながらお皿を眺めているスミちゃんに、ひときれ味見してもらう。美味しそうだから私も。
【――!!】
うん、ハズれなく美味しいね。スミちゃんは美味しかったのか横でじたばたしている。女の子って異世界問わずじたばたするものなのかな。可愛い。
「次は何を作ろうかな。ミルフィーユカツの仕込みでもしておこうかな」
牛のスライス肉をただひたすら重ねてカツレツに仕上げるだけなんだけれどね。軽く塩コショウしておけば後は揚げるだけ。デミグラスソースはH社の物で手抜きします。
【後は何を作るのですか?】
後はエンリルが好きなサラダと、エビフライとトンテキと唐揚げのネギソースを作るよ。牛・豚・鶏の全種を作ればカナンさんもお気に召す物があるでしょう!