第59話 洞窟の中 4
こちらもなんとか更新できました。
お待たせして申し訳ありません。
さて、その後はサクサク進んだわけではなかったが、「隠密1」を発動しつつ洞窟内をしばらく彷徨った。
途中、幾つかの行き止まりにオークの死体が積み重なっていたので、オークの死体の回収も忘れず行う。
本来の目的もこれだけ集めれば達成したと言っても良いだろう。
予想を遥かに超える数だったが、孔明先生の蒸し焼きにより恐ろしい成果を挙げること成功し、懐もあったまる。
流石は孔明先生。と畏敬の念を向けたのは内緒だ。
まぁ、そんなこんなで、探索を進めていたんだが、オークキングに辿り着く前に一つの扉に辿り着いてしまった・・・
扉の奥なんだが、こちらは扉の傍には敵性反応がなく、奥の方に敵性反応が距離をほぼ等間隔に開けて5つくらいある。そしてそれにくっつくように他の生き物の反応があり、それ以外にも敵性ではない生き物の反応が多数あるが、先程助けた人達とは違いそれほど衰弱してはいなさそうだ。
そこから推測すると・・・
ゴブリンの時と同じで犯られちゃってるって事か・・・
俺はゴブリンの時を思い出し、妄想から現実へと移行したであろうR18指定のオーク物・・・を想像し、今後は使えなくなるだろうと溜め息をつく。
俺のオカズリストから次々とネタが消えて行く・・・
せっかく洞窟探索で孔明先生の蒸し焼きの成果を確認し、少し気分が向上していた所だったのに・・・
オークキングゥ・・・ 本気で許さんゾォ・・・
心の底から血の涙を流す俺が立ちあがり、扉に目を向ける。
オカズリストを守るために助けない・・・って訳にも行くまい。
そんな事は俺のちっぽけな良心が許さないだろうし、何より助けなかったと言う負い目を背負いたくない。
こういう負い目は後々響くのだ。 ちょっとした瞬間にふと思い出し、ブルーな気分に苛まれるのだ。
あの時こうしておけば・・・
そんな後悔で苛まれるのは課金ガチャだけで十分だ。
ゴブリンの塒の時にも同じ葛藤をした所為か、今回はすんなりと助ける覚悟を決められた。
だが、精神安定の為、泣く泣くオカズリストが減っていくのも覚悟しなければならない悔しさは筆舌に尽くし難い。頭を抱えて無駄に転げまわりたい衝動に駆られるが、ここは敵地。必死に感情を抑え、この悲しみも、憎しみも、怒りも、全てをオークキングへぶつける事を固く心に誓う。
王都でのモヤッとした蟠りもついでにぶつけよう。
1人になったからだろうか、仄暗い感情を隠す事も無く発露し始める自分が居た。
オークキングをどうやって料理しようかと考えていると、右の扉の内側からこちらに近付く敵性反応があり、俺は慌てて身を壁際に張り付けると、中から扉が開いた。
どうやらオークが1匹廊下に出たようだ。
俺は賺さず「鑑定」を使って相手のステータスを確認する。
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名前 :-
性別 :雄
年齢 :7
種族 :オーク
職業 :近衛兵
称号 :-
レベル:30
ステータス
HP : 980 (+30 +100)
MP : 70
STR : 730 (+30 +100)
VIT : 400 (+30)
INT : 150 (+100)
AGI : 290 (+30 +100)
DEX : 190 (+30)
MND : 320
LUK : 34
特記事項
オークキングの加護
※ 効果 対象のHP,STR,VIT,AGI,DEXにオークキングのレベルに応じた補正が付く。
ちょっと前ならビビったかもしれないが、今なら楽勝だ。こいつ程度なら「隠密1」は解けない。
そう確信すると、俺は急いで背後を取ってオークの首を捻る。 ゴキッという音と共にくぐもった呻き声が小さく聞こえた。
そして殺った奴は「無限収納」へと素早く放り込み、「隠密1」を再度発動し、閉まりかけている半開きの扉に体を滑り込ませ、俺は室内に侵入した。
扉が閉まると同時に敵性反応とは逆の方に体を滑らせ、目の前にあった柱の陰に隠れる。
周辺の確認を行おうと、視線を巡らせると、木の板で細かく区切られた部屋?と言えばいいのか、そんな場所に丸太に括られた女性達がいた。
うーむ、例えるなら、厩舎もしくは牛舎といった感じだろうか、ただ、そこには牛や馬の代わりに女性が繋がれている。
やっぱりか・・・
予想していたことではあるが、実物を見ると目が釘付けになる。
暫し見詰めてしまったが、正直その恰好にはそそられるものがある。ただし、異臭と女性の表情が異なっていればの話だ。
丸太に括られた女性達の口には輪っかのようなものが嵌められ、口が開いたままにされていた。 あれじゃ舌を噛んで自害する事も出来ないし、食べ物も無理矢理喉に流し込まれそうだ。
それに糞尿は垂れ流しのようで汚物が股下から垂れ、饐えた臭いが漂っている。少し前までゲロや汚物に塗れていた所為で馬鹿になっていた俺の鼻でも臭いと感じる程だ。
これは欲情の捌け口というより、一種の生産工場って感じに見える。 欲望の捌け口の側面もあるだろうが、あくまで子作りを主眼に置いた家畜小屋とでも言ったところだろう。正直胸糞が悪くなる。
既に何人かの女性はお腹が大きくなっており、それらの女性の表情は一様に虚ろで、呼吸で胸が上下していなければ死人と区別がつかない。
そんな表情のない女性達には憐みの感情しか湧いて来ない。
そして、そう思う自分に少し安堵した。
ゴブリンの時は少ーしだけ欲情してしまったが、あれは女性の裸に反応しただけだ。ノーカンです。 そう自分に言い訳してきたのだ。
そして今回、流石にここまで酷い光景を目の前にしても欲情していたら、自分が信じられなくなっていたかもしれない。 俺はまだ常識人だ。ドSじゃない。
こんな酷い光景を見せられたのだ、残りの4匹にはサクッと退場して頂き、女性達を手早く解放しよう。
そう決意を新たにし、薄暗い柱の陰から敵性反応の方をそっと覗くと、足元にズボンかな?を落として前後に揺れている汚い豚の尻が見え、動きに合わせる様に豚の鳴き声と女の悲鳴が聞こえ、それ以外にも複数の息遣いの音が小さく聞こえた。
・・・
俺は素早く汚い豚のケツに「鑑定」を使いさっとレベルを確認すると、レベルは28だった。 よし、俺の「隠密1」は見破られない。
そう確認し、俺はゆっくりとその豚の方へ近付き、更に奥に居るオーク3匹に「鑑定」を掛けるが、どれもレベルは30前後で問題なかった。
どいつもこいつも汚いケツを一心不乱に振っているようだ。
よし、一気に行くぞ!
そう覚悟を決めて槍を取り出すと、手近に居るオークから順に首を刎ねて行った。
オーク達はケツを振るのに忙しかったようで思ったよりもあっさりと片付いた。
さて、この後が大変だ。 ゴブリンの時で少しは慣れたが、事後の彼女達の状況を考え・・・ない。 考えると俺のテンションがおかしな事になりそうだ。
やる事だけを淡々と熟そう。まずは回復魔法でサクッと回復させるか。
そう考え、先に女性達の拘束を解くと1か所に集まって貰うために声を掛けたんだが、俺の格好を見ると「ひぃッ! オ、オーガ?!」とか言ってパニック発作に襲われていたり、無反応だったりで誤解を解いたり担いで移動させたりと、精神的にも肉体的にも疲れた。 肉体的って言うのは、相手が裸だったからだよ?
そうして一か所に集めた女性達にエリアハイヒールを掛けると、女性達の顔色が見る見る良くなっていくが、お腹が大きい人達の絶望の表情は変わらない。
魔法によって身体的には回復したが、彼女達の大半は精神的にも病んでいる。
さて、どうしたものか・・・うーむ、試しに『リフレッシュ』を連発してみるか。 あれならハイになって気分が高揚するはずだ。
思うが早いか、俺は無反応の一人に『リフレッシュ』を連発して掛けて行くが、表情は変わらなかった。
これでもダメか・・・そう思っていると、他の女性達が不審そうにこちらを見ていたので、全員に『リフレッシュ』を掛けると、他の女性達は体力回復したからなのか、気分が高揚したからなのかはわからないが、気力も戻ったようだった。
「うーむ、それにしてもどうしたものか・・・この人達が無反応だと移動するのも手間だしな、何とか自力で動ける様にならないかな」
そう考え、少し手荒いとは思ったが頬を軽くビンタしてみようと考えたが、俺がやると絵面的にかな~り不味い気がしたので他の女性にお願いする。
「ちょっとすみません。なんとかこの人達の正気を取り戻したいので軽くビンタして貰えますか?」
そう言うと彼女は俺にビンタしてきた。 なんて奴だ。普通わかるだろう。
「いや、俺じゃなくて彼女の頬にビンタして欲しいんだけど?」
「も、申し訳ございません。何卒お許しください」
そう言って土下座して来たんだけど、俺ってそんなに怖いかな? てか、そもそもそんなに怖いなら普通ビンタできないんじゃないか?
何か理不尽なものを感じたが、事を穏便に済ませ彼女にビンタさせたんだが、やっぱり正気には戻らなかった。
こうなると、どうすれば良いんだろう?
今この時で使える手はショック療法位か・・・何かのショックを与えて意識を戻せば・・・って、汚物は消毒だ!を使ってみるのも手なんじゃ・・・
なんか、良い考えに思える。あの魔法はダメージは一切受けないが、熱さと痛みはすごいものがある。 実際体験した俺が言うんだから間違いない。
あれでダメなら大概のショック療法は無駄だろう。
よし、汚物は消毒だ!を使う大義名分は出来た! 早速試すぞ! そして俺の痛みを知れ!
って、なんか目的変わって来たか? まぁ、いいや。やっちまおう。
そして俺は禁断の魔法を使う。
「汚物は消毒だ!」
果して効果は・・・と思ったら、効果は劇的だった。
今まで無反応だった女性は痛みにのた打ち回り、悲鳴を上げていた。 おぉ! いいぞ! 正気が戻って来たようだ。
「成功だな! やった!」
ついつい喜びの声が漏れてしまう。 だが、経験上知っているのだが、のた打ち回ると余計体が土で汚れるので苦痛が長引くのだ。
俺は親切心から彼女を取り押さえ、声を掛ける。
「大丈夫だ。痛みはあるが一時的なものだ。それより暴れると苦痛を受ける時間が長くなる。申し訳ないが堪えてくれ」
そう説得する俺に彼女は半狂乱で暴れたが、ステータスの差が開いている所為で全く抵抗できていなかった。
そうして数分暴れる彼女を抑えていると、急に彼女の力が抜けた。
「おい! 大丈夫か?」
「だい・・じょ・・ぶ・じゃ・・・ない」
俺が掛けた言葉に返事が出来る様になっていた。 よし、これなら・・・って、うん?
よく見ると、俺の周りにいた筈の女性達が俺を遠巻きにして引き攣った顔で怯えていた。
どういう事だ?良くわからない。そう思い近くにいた女性に声を掛ける。
「どうしたんだ? 何かあったのか?」
「いやぁぁぁぁぁ! 殺さないでェェェェ!」
「?! 殺す訳ないだろう? 何を言ってるんだ?」
「で、でも、でも彼女!し、死んでるんじゃないの?!」
そう言って先程取り押さえていた女性を指差す。
「いや、浄化魔法を掛けただけだが?」
「うそよぉぉぉぉ! それに彼女が苦しんでるのを笑ってみていたじゃない!」
・・・
俺は冷や汗を流した。 確かに俺の魔法は回復魔法だったが、受けた女性は苦痛にのた打ち回っていた。
俺はその姿を見て無反応だった女性が反応し、正気が戻って来たと思い喜び笑みを浮かべた。
そして苦しむ彼女を取り押さえ、安心できるように顔を見て優しく微笑みつつ、声を掛けたつもりだった。
だが、これを客観的に見るとどうだろう?
女性に苦痛を与える魔法を行使し、受けた女性が苦痛にのた打ち回る。
そんな女性を見て喜びの表情を見せる加虐性愛者。
そして苦しむ女性を取り押さえ、苦痛にゆがむ表情を見て微笑む変態。
・・・
い、いや、違うよ? 俺はそんな性的嗜好は持っていない・・・はず。
「ち、違う! あ、あれは浄化魔法なんだ!」
言い訳をして一歩前に踏み出すと、女性達が一斉に一歩下がった。
・・・
もう、どうしろと言うんだ?! えぇーい! 面倒臭い。 もう悪役でいい!
そう腹を決めると、俺は女性たち全員に汚物は消毒だ!を掛ける準備に入る。
「信じられないならその身を持って味わえ! 汚物は消毒だ!」
そうして地下には彼女達の悲鳴が轟くのであった。
あ、因みにお腹が大きくなってた人達だけど、汚物は消毒だ!を掛けたら、どうも堕胎できたようでお腹が引っ込んでいた。
魔物の種だったからできたのか、それとも赤子が異物と認識されたのか、怖くて試す気はない。 と言う事で普通の妊婦さんには使わないよう気を付けないとね。
と言う事で、またしても一旦地上に戻る羽目になり、オークキング討伐が少し遅れるのであった。
一応、次回からオークキング戦に突入できたらと考えてます。
また遅くなるかもしれませんが、よろしくお願いします。