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第45話 森の探索行 5 初日の終わり

あけましておめでとうございます。


遅くなりましたが、投稿します。


今年もよろしくお願いします。


 レジー君が泣き止み、一緒に食事を取りながら、俺は俺の情報を隠匿する事について話を切り出す。


「ところでレジー君。今回の件ですが、皆さんが死んだという事実を隠し通して貰えないでしょうか?」


「え? ・・・あ、そうか、分かりました」


 最初は驚いたようだが、少し考えた後で、了解してくれた。


「ありがとうございます。グレタさんについては恐らく問題なく誤魔化せると思うんですが、クルーズ君とリディアさんについては状況が状況だけに、直前の記憶が残っていると誤魔化すのは難しいと思うんですよ」


「・・・そ、、そうですね・・・」


「レジー君。何か良い方法はありませんかね?」


「・・・すみません。何も思い浮かばないです・・・」


 心なしか少し震えているように見える。


「どうしました? レジー君。君には私の事を隠し通して貰わないと困るんですよ」


 そう言うと、ビクッとなって謝るレジー君。


「すみません ラクタローさん。俺、嘘が下手なんです・・・」


「はい? って、どういう事です?」


「・・・俺、顔に出ちゃうらしいんですよ」


「表情でばれるって事ですか?」


「はい」


 義賊って職業だから、てっきり嘘吐くのは得意だと思ってた。 今回助かった経緯を適当な説明(カバーストーリー)で乗り切って、後は『良かったね』で済まそうと思っていたんだが、うーん。どうしよう。


「レジー君。試しにこれから私が3つ質問します。答えは『はい』か『いいえ』のみで答えてください。良いですか?」


「分かりました」


「あと、私のする質問に対して、1つだけ嘘を吐いてください」


 そう言うと、少し困惑した顔をしたが、レジー君は了解してくれた。


「では1つ目の質問です。 あなたは右利きですか?」


「はい」


 表情は変わらない。視線もこちらをじっと見返したままだ。 変なところは無さそうだ。恐らく本当のことを言っているだろう。


「2つ目の質問です。 あなたは約束を破ったことがありますか?」


「いいえ」


 そう言ったレジー君の眼が一瞬横に泳いだ。・・・多分嘘を吐いたんだろう。ってか、この質問に嘘で答えるって、あんまりにもセンスが無いんじゃないか? そう考え、少し揺さぶってみる。


「本当に約束破ったことないんですか?」


「あ、ありませんよ・・・」


 重ねて質問すると、否定の言葉と動揺が返ってきた。 ・・・こりゃ嘘吐かせるのは厳しいな。


 俺は最後にチョビッとだけ意地悪な質問をする。


「最後の質問です。あなたはグレタさんの事が好きですか?」


「?! ・・・いいえ」


 この質問にレジー君は否定の言葉で答えたが、目は泳ぎまくっているし、顔は真っ赤だし、嘘吐いてるのはバレバレだ。


「レジー君。嘘で答えるのは1つだけと言いましたが、なんで2回も嘘を吐くんです?」


「そ、そんな事はない! 俺は1つしか嘘を吐いてない! どこに証拠があるんだ?!」


「君の表情や態度に出てますよ」


「・・・」


「君は2つ目と3つ目の質問で嘘を吐きましたね?」


 そう言うと、一瞬驚いた顔をし、その後、悔しそうにこちらを睨んでくる。 俺はニヤニヤした笑顔を返してやると、レジー君は押し黙ってしまった。 青春だなぁ少年、オッサンはちょっと楽しいぞ。


 と、まぁ、お巫山戯はこの位にしておこう。


「まぁ、これでレジー君の嘘が下手なのは分かりました。 こうなると、レジー君はあまり話さない方が良いですね。そうなると・・・どうしようか・・・」


 そう言って俺が考え始めると、レジー君は本当にすまなそうな顔になって謝ってきた。


「すみません」


「気にすることはありませんよ。ただ、これから君は私の秘密を守り通す必要があります。仲間にも言えない秘密ですから、辛い立場に立たされる事もあると思いますが、よろしくお願いしますよ」


「わかってます」


 真剣な表情で返事を返すレジー君。 嘘の苦手なレジー君の顔を暫らく観察したが、変化は無かった。信用しても大丈夫そうだな。


 さて、ある程度情報が出揃ったので、レジー君が仲間に説明する内容を考えてみるか。


 1つ目は俺が助けた事を説明するパターンだが、俺にとってのメリットはあまり無い。 回復魔法が使える事はある程度知られていると思うが、説明している最中に何か突込みがあった時、アドリブで対処できるか不安だ。寧ろ助けた事すら知られない方が俺にとっては安全な気がする。このパターンは無いな。


 2つ目は、俺がこの場を離れ、後はレジー君に任せて『助けた人の事を話さないことを条件に助けると言われたので話せない』とか言って押し通して貰う方法。これなら俺が助けたとも言えないし、助けてくれた人の条件なので助けられた側の彼らも強く出れないし、レジー君もだんまりを決め込むことが出来るだろう。あぁ、序でにリディアの鞄から失敬した回復ポーションを代金の代わりに渡したって事にすれば良いかもな。うむ、これならイケるんじゃないか?


 そう考え、レジー君に2つ目の案を説明した所、レジー君も納得してくれた様だ。


 おし、それじゃ俺はこの場から消えるとしよう。


「それじゃレジー君。 くれぐれも気を付けてくださいね。今回は偶然助ける事が出来ましたが、次も助かるという保証はありませんよ」


「はい、ありがとうございました」


 そうして去ろうとした俺は、ふと何か忘れている気がして、思い出そうとしたが、丁度グレタが身動ぎ(みじろぎ)し始めたので、慌てて俺はその場を離れた。





 今日の探索がこれで終わりか聞こうとしていたことを思い出したのは、それから暫らくしてからで、「地図」でジェラルド氏や他のメンバーも殆んど動いていないことを確認し、俺は木の上に登り、「隠密」スキルを発動すると辺りを警戒しつつ、眠りについた。






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ホラーが大丈夫な人はこちらの短編もよかったらどうぞ。
ナニかがいる。
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